表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/110

31 突撃! 隣の朝ごはん

焦げた料理は食べない方がいいです。

 とにかく腹が減って仕方がないので、遅い朝食兼昼食をとりに隣家へと向かう。思えば紗綾子がうちに来たのは朝食のお誘いのためだ。


「今日はさーやの手作りオムライスだよ。隠し味に炭素を加えてみた」

「はっはっは。それは焦がしただけだろう」

「違うもん。お兄ちゃんの健康被害を考えて、意図的に炭化させたんだもん」

「このあわてんぼさんめ。計画殺人にしても気が長すぎるってもんだ」


 ふくれっ面をして見せる紗綾子をなだめながら、いざ隣の部屋へ。持つべきものは頼れる親戚とかわいい従妹だ。


「あ、おはよう師匠。さーやちゃんも。先にいただいてるよ」


 そこにはやつがいた。


 誰であろう、史上最悪の弟子・佐々翠だ。


「・・・・・・言いたいことは、いつもながら山ほどある――が、まずは貴様。なにを食べている」

「これ? 確か『さーやちゃんの手作りオムライス~台所の炭を添えて~』だったかな?」

「ふんーっま! ふんーっま!」

「お兄ちゃん落ち着いて。ここで手を下さなくても、数年後には決着がつくはずだから」

「そう・・・・・・そうだったな。そんな短期決戦を予期して作られた代物だったのか。まったく、末恐ろしい妹だよ」

「でも、この黒いところは食べないでねって、おばさんに言われて捨てちゃった」

「ハンガー! ハンガー!」

「お兄ちゃん落ち着いて。炭ならまた焼いてあげるから」


 こいつは確実に己の手で始末せねばなるまい。そう決意した休日だった。


「それで、なにをしに来た? つまらないことを言ってみろ。その瞬間に首と胴が泣き別れだ」

「なに物騒なこと言ってるのよこの子は。せっかくお友達が来てくれたのに」


 そう言って僕の前に茶碗を置くのは、紗綾子の母である佐久間(さくま)加代子(かよこ)さんだ。


 ふくよかな体に柔和な笑みを浮かべた様は、娘の無表情とは似ても似つかない。


 しかしよくよく見れば、どう見ても親子にしか見えないほど顔の作りが似通っている。表情とは大事なものだと、この二人を見ていると実感する。


次回、佐々さんの目的が明らかになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ