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21 彼女の原稿①

セリフ多いです。

「まずはここまでで明らかになったことが三つある。一つは国語力の不足。誤字脱字がこれだけ短い文章の中にこんなにあるのは問題だ。例えば一作目の五行目、なんだよ伝説の饅頭って。超豪華な和菓子か。それと文全体の書き方。文の書き出しは一段落下げろと教わらなかったか? いや、答えなくていい。二つ目は思考の停止。ラノベはとりあえずエロいことを書いとけばいいだろうくらいに思っているのが嫌でも伝わってくる。おっぱい書き過ぎだ。しかも、性剣士とかいうキャラまで出てくる。ギャグか本気かまったくわからん」

「だって私が読んだ小説では、男の子が裸の女の子に抱きついて胸揉んでたよ? おっぱいの描写なんてすっごいんだから。まるでメレンゲのように白くて柔らかいとか言ってるけど、あれ嘘だかんね。これただの肉だよ? そこそこ固いからね? あとメレンゲとか触ったことないからわかんないし」

「うん、そうだな。とりあえず自分の胸を鷲掴みにするのはやめろ。――え? 今度はカップからはみ出した? さっさと直しなさい。それで三つ目だが、これが最も重要だ。お前、これ途中で飽きて投げ出しただろ」

「いやいやだから、それまだ書きかけだから」

「その点を踏まえても、後半のやっつけ感が半端ないんだよ。性剣士がきた。妹がきた。みんなきた。逆にテンポよくなってるよ。だが、どう考えてもキャラの描写が少なすぎる」

「いいじゃないですか。みんなおっぱいあるし」

「お前のキャラ基準はおっぱいか! だったらウチのさーやはどうなる⁉ 何気ない言葉で傷つく人もいるんだぞ!」

「ハイ、スミマセン・・・・・・」


 ここで小休止。いい加減喉が疲れた。もうひと踏ん張りしたら、自販機で飲み物でも買おう。

 目の前で萎れている弟子に奢ってやるのもいいかもしれない。こいつのことだから、音速の速さで復活するに違いない。


「ここまでダメ出しばかりだったが、いいところもあるんだ」

「そんな、いいところなんてあるはずないッスよ。自分クズなんで。そこらの雑草と一緒に誰かに踏みつけられる人生がお似合いなんスよ・・・・・・」

「落ち込み過ぎだ。元気を出せ」

「後でジュース奢ってください」

「・・・・・・わかったから、今は聞け。まず、この設定が面白い。魔王が一〇八匹ってのがいい。普通、魔王なんて大物は多くて五、六人のところを驚異の三桁越えだ。しかも魔王なのに匹という数え方。一体この世界の魔王はどんな存在なのだと興味をそそられる。そして王道のハーレム物を思わせるストーリーは、うまく書ければ大いに化ける可能性を秘めている。次におっぱいの表現だ。柔らかいでもやわらかいでもなく、『やーらかい』というのはなかなかどうして、男心をついていると言わざるを得ない。間延びした感じがエロスに浸る主人公の下心をうまく表しているし、ひらがなで表現することで言葉自体がとっつきやすい」

「マジかー」


次回、佐々さんがやらかします。

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