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17 師匠

佐久間くんがカッコイイ!

「あ、あの、もう一つだけ!」

「なんだ、言ってみろ。この僕が瞬く間に解決してやる」

「警察には通報しないで・・・・・・」

「覚えてたのかよ! しないよ今さら!」

「じゃ、じゃあ、ホントのホントに、私の・・・・・・」

「まだわからないのか? まったく貴様は本当にダメダメだな」

「ダメじゃないもん! 私、がんばるもん! 今までだってがんばってきたもん!」

「よし、その意気だ」


 佐々の顔が輝いた。


「師匠っ!」

「ああ、なってやるとも」


 佐々が僕の胸に飛び込んだ。


 不意打ちを食らった僕は思い切り後ろにぶっ倒れ後頭部を強打した。しかしここで不甲斐ない姿を見せるわけにはいかない。遠くに行ってしまいそうな意識を渾身の精神力で繋ぎとめた。

「師匠! 師匠~!」

「ああ、師匠だ。お前は弟子だ。佐々翠よ」

「師匠ぁあばあああああ~!」

「・・・・・・おっと悪い、ちょっと寝てた。今なんて言った?」


 このダメダメな弟子に小説を書かせてやる。


 それも、誰もが驚き、笑い、感動しておしっこもらすような傑作を、だ。


 佐々はまたも泣き出してしまった。裸の胸に彼女の涙やら鼻水やら涎やらが塗りたくられて、不快感が半端ない。


 しかし心は晴れやかだった。


 視界がやけに明るく輝いて見える。


 思えば今日はいろいろなことが起こり過ぎた。一七歳の少年には忙しすぎる一日だった。


女の子が泣くのはイヤだけど、泣き顔を躊躇なく見せてくれるのは萌える。それって私だけ?

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