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秋葉原ヲタク白書11 バブルの泡が消えぬ間に

作者: ヘンリィ

主人公は、SF作家を夢見るサラリーマン。

相棒は、老舗メイドバーの美しきメイド長。


このコンビが、秋葉原で起こる事件を次々と解決して行くという、オヤジの妄想満載な「オヤジのオヤジによるオヤジのためのラノベ」シリーズ第11作です。


今回は往年の戦隊ヒーロー「金持ち戦隊バブルマン」のレッド&ピンク夫婦の息子が「半島の麻薬王」と接触し、悪の道にハマりかけますが…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 ママは戦隊ヒロイン(でAV女優)


僕は新人類だ。


実は、そう呼ばれてから、かなーり経つんだけど、今でもその呼び名には反応してしまう。

人は、多感多情な頃に触れた言葉や社会の空気というモノは死ぬまで引きずるモノらしい。


というワケで、僕にとってアラ(ナイン)(1990年頃)の「バブルの時代」には特別な意味がある。

そして、そのコダワリは、当時流行った戦隊シリーズが何だったかにまでに及ぶのだ。


「バブルの泡は地球の未来!」

「我ら金持ち戦隊、バブルマン!」

「ひょえええー!カッコいい!」


屋敷(みせ)の中に、歓声と口笛が満ち溢れ、拍手喝采の爆発が連鎖する。

ココは僕の推し(てるメイド)ミユリさんがメイド長を務める秋葉原のメイドバーだ。


「泡ある限り戦いましょう!」

「バブル、消え果てるまで!」

「うおぉぉぉ!もうタマンねぇ!」


毎月イベントがあってメイドさんがコスプレとかするんだけど今月は「戦隊デー」だ。

早速メイドさんの戦隊ヒロイン姿を見に来たら何と往年の戦隊俳優&女優さんが来店中!


いやぁ、コレは盛り上がらないハズがない。

ホント、アキバって面白い街だ。


「モノホンのヤンエグレッドだっ!懐かしい!最終話で死んだと思ってたのに!」

「コチラは…ワンレンピンク?確か戦隊でデビューしてからAVに転んだとか…」

「あれ?お二人って結婚されてましたょね?!」


「金持ち戦隊バブルマン」は、文字通りバブルの頃に流行った戦隊ヒーローモノだ。


そもそも、戦隊モノってレンジャーを名乗り出した辺りからつまらなくなったと思う。

最近では、レンジャーのレンも抜けてジャーだけになったりして情けないったらナイ。


やはり、ヒーローはマンでなきゃ!マン!


そういう意味でも、バブルマンは最高だ。

金持ち=善という割り切りの良さが潔い。


リーダーのヤンエグレッドは、そもそも勤め人なのかも怪しいが、自らの金欲と率直に向き合い、金持ちを目指す若きリーダー。


ワンレンピンクは、これまた毎日何やってんだか全く不明だが、やたら元気でゴージャスな元祖・物(&性)欲全開のヒロインだ。


レッドとピンクの2人は、番組を通じて知り合い、やがて実生活(リアル)でも夫婦となる。

しかし、既に時代は「失われた20年」に入ってて夫婦が経営する焼肉チェーンは火の車だ。


すると、芸能界?のお約束で「ワンレンピンクがAV出演?!」なんて噂が流れる。

今となっては都市伝説の類になってしまったのだが、真偽のホドは今もって不明。


まぁ、ヘアヌードになったって話は、完全に都市伝説らしいんだけどね←


「あはは!ファンのみなさんと会えて楽しいなぁ!今宵は来て良かったな、ピンク!」

「ホント!みなさんの応援あっての私達ですもの!お招きありがとう、ミユリ」

「いいえ。呼んでナイから、貴方達」


カウンターの中でミユリさん(悪の女幹部のコスプレだっ!)が苦笑い。

例によって、顔の広いミユリさんはピンクとも顔(古?)馴染みのようだ。


「あらぁ。ミユリったら」

「うふふ。何か御用なの?ピンク?」

「実は、ミユリさんとミユリさんの御主人様に折り入ってお願いがあるのです」


急に折り目正しくなり、頭を下げるヤンエグレッドの姿にお屋敷がシンとなる。

どうやら「金持ち戦隊バブルマン」から僕達へのお願いがあるらしい。


まさか、寝る前には歯を磨けとか逝うんじゃナイだろうな笑。


第2章 空間プロデューサーを救え

「実は愚息のコトなんです」

「ホント出来が悪くて…」

「えっ?お2人にお子さんが?おいくつ?」


よく見れば、レッドもピンクも体型の崩れた中年のオッサン&オバサンだ。

いや、ピンクの方は、バブル風に逝えばオバタリアンって奴かもしれない。


でも、AV経験アリと逝うコトは、今でも熟女モノとかで御活躍なのでは?


ともかく!


ガキンチョの1人や2人、いても全然おかしくない中年夫婦なのだ。


「御子息は、何かお仕事でもされてるのですか?」

「ええ。実は空間プロデューサーを…」

「ええっ?!」


空間プロデューサーと来たょ?そんな商売が生き残ってたコト自体が驚きだ。

ってか、その肩書き、とっくに死語でしょ?


あ、空間プロデューサーって逝うのは、バブルの昔、喫茶店をカフェバー、埋立地をウォーターフロントと呼び変えるだけで大儲けしてたアコギな(やから)のコトだ←


全く親がバブルなら子もバブルだょ?遺伝?


「で、その空間プロデューサーの御愚息、じゃなかった御子息が何か?」

「実は今、プロデュースしてる物件でお付き合いしてる人達に変な噂がありまして…」

「練塀町界隈でやってるヌーベルレトロな箱なんですけど…」


え?え?ヌーベルレトロ?何それ?

とりあえずヌーベルなのかレトロなのか、どっちかにして欲しいな。


で、御夫婦の話をよく伺うと、何のコトはない普通のコスプレキャバクラらしく、ヌーベルもレトロも関係なさそう。


「でも、90年代ヒーロー限定というレトロ&レアなコス(プレ)キャバ(クラ)なのです!」

「バブルでウカれた人なら、きっと通い出したら止まらなくなるわっ!」

「なんだかなー」


ダメだょこの夫婦。

地面から足が離れちゃってる。


よく見ると、ヤンエグレッドは、目がもう完全に逝っちゃってるアブない人。

ワンレンピンクは、通販番組専門の芸能人に特有の死んだ魚の目をしている。


「で、何か心配な(やから)と付き合ってルンですか?」

「あぁ心配なんです。心配過ぎる」

「困ったわ。どうしましょう」


全く話にならない。


もうどうでもいいや、と思い始めた時にお屋敷のヘルプのつぼみんから助け舟が出る。

あ、あれ?つぼみん、今宵は…


「みんな、逝くわよっ!我らカフェ戦隊スターバジャー!」

「お嬢、かわいいー!スタバピンク、萌え萌えー!」

「うるさいのょ虎吉!もうハズいなー!」


おおっ!つぼみん、シアトル系資本と初提携で話題となった戦隊ヒロインのコスプレだ!

絡んでる「プロフェッサー真夜中」のコスプレをしてるのは…あれ?虎吉さんだょ?


彼は、何処かで何かの若頭とかをやってる人なんだが…


「で、どうなの?虎吉は何か聞いてるの?」

「え?スターバジャーの最終回のコトですか?」

「ばか。練塀町の物件のコトよ!」


虎吉さんは、つぼみんの肢体にヤタラ粘っこい視線を絡めていたが、激しく睨み返されて名残惜し気に戦隊夫婦の方を向く。


つぼみんは、実はその筋の会長さんの孫娘なんだ。


「おい、ヤンエグレッドの兄さん。ネアカなレッドが手を出した不動産は何処なのかな?」

「練塀町架道橋の手前にあるビルの地下なんですけど」

「あ、先月、水が出てカーペットがオジャンになった箱か?」


虎吉さんは、その物件をご存知のようだ。

みかじめ料とか取ってたのかもしれない。


「確か、オーナーは…イスラ?」

「そうそう!そんな名前でした!どんな人なんでしょう?」

「半島の麻薬王だょ」


虎吉さんは、小学生が新聞記事を読み上げるような口調で元気よく教えてくれる。

でも、その一言で戦隊夫婦はモチロン、僕達も含め御屋敷にいる全員が凍りつく。


どうやら、戦隊夫婦のドラ息子はトンデモナイ世界に足を踏み入れてるようだ。

さしものスタバピンク、じゃなかったつぼみんさえ黙ら…ないか、さすがだ笑。


「何ょソレ。ソレじゃ虎吉の蚊帳の外だって逝うの?」

「お嬢、ウチは薬屋とは付き合わないんですょ、御存知でしょ?」

「ま、まぁソレは立派だと思うけど…」


ココで、やっとつぼみんは黙る、というか思案顔で何かを考え出す。

一息ついた戦隊夫婦にバトンが回る。


「そんな!虎吉さんともあろうお方が、この聖地アキバで悪事を許すと(おっしゃ)る?!」

「うーん。そんなコトを逝われても正義を守るのはアンタ達の仕事だしな」

「だから、ファンのみなさんあっての私達なんだ、と申し上げているっ!」


ん?全然スジは通ってないが、レッドがもっともらしい言葉で虎吉さんをやり込めている。

さすがは戦隊のリーダー格だ!虎吉さんには悪いがココは高見の見物と洒落込むコトにする。


「ま、待て!だから、先日アンタらみたいな人が来た時にも色々と教えてやったんだ」

「アンタらみたいな人?誰?」

「うーん。確か何とかグリーンとか逝ってたな」


戦隊夫婦が、思わず顔を見合わせる。


「金持ち戦隊バブルマン」の緑担当は、ザイテクグリーンで、劇中はもとより私生活(リアル)でも物静かな役者により演じられている。


「グリーンが来たの?何?グリーンが何故アナタを尋ねたの?ハッキリ答えて!」

「だ、だ、だから、地回りがヘンなコト聞いて回る奴がいるってんで、ヲレが…」

「え?え?アナタが直接出てったの?ダメじゃない!若頭でしょ!アンタ、軽過ぎるのょ!」


何だかワンレンピンクの激昂ぶりが異常でハンパないんだけど何かあったのだろうか?

さしもの虎吉さんもタジタジ…ん?何となく喜んでる風情もチラ見えて、まさかM?笑


全く曲がりなりにも恐怖四天王の1人「プロフェッサー真夜中」なんだからさ!

ココはもう少しシッカリして欲しいな。


「何か話があるらしくて、いつもイスラが遊んでる場所を教えろってうるさかったな」

「で、どうなの?教えたの?グリーンに?」

「おぅ。教えたさ」


その瞬間、その場にいた全員がワンレンピンクの中で「ガチャ!」とギアが入る音を聞く。

次の瞬間、彼女は人妻の熟れた肢体を虎吉さんに預け媚び媚び視線でシナ垂れかかっている。


「ソレ、何処なの?教えて」


第3章 復活!金持ち戦隊バブルマン!

僕達は、中央通りのドンキ側の歩道を肩で風を切り、横一列で颯爽と歩いている。

全員で6人と逝うか、5人+1人(僕です)なんだが全員が中年太りでエラい通行の邪魔←


中央通り的には既に深夜だが、通行人は未だ多数で、その全員が慌てて僕達に道を譲る。

エラい恥ずかしくて僕は、全員で戦隊ヒーローのコスプレをしたコトを全力で後悔する。


中央を逝くのはヤンエグレッドだ。


その右にワンレンピンク、左にボディコンイエローの両ヒロイン。

さらに、その外側をジアゲブルーとザイテクグリーンが固める。


今宵、一夜限りの限定で「金持ち戦隊バブルマン」が復活したのだ。

ヘルメットにコスプレ姿ながら、中身は全員モノホンというファン感涙ヴァージョン。


惜しいコトに、シルエットが中年太りしてて戦隊の登場シーンなのか水戸黄門のエンディングなのか見分けがつかないのがやや残念。


え?僕?


僕は、シーズン途中で登場して最終回で戦死するネクラブラックのコスプレをしている。

いわゆる「途中戦士」って奴で、モノホンの役者は水戸で電気屋をやってるとのコトだ。


コレで番組のオープニングなら、背後は華々しい爆発が繰り返されるが今回はソレもない。

その代わりと逝っては何だが、怪しい客引きのお兄さん達が雨後の戦闘員の如く殺到する。


「イェーイ。社長、イベント帰りですか?カッコいいなー!その勢いで遊んで逝きませんか?」

「コスプレ割引きがあるって聞いたけど」

「アリますょー!しかもグループ全員がコスプレなら断然お得な『戦隊割り』ってのがアリますぜっ!」


そんなコトは知っている。

だから、恥を忍んで全員でコスプレして来たのだ。


まぁ、ソレがなくても、僕以外の全員はコスプレする気満々だったようだが。

半分、同窓会気分なんだょな、この人達。


あの日、ワンレンピンクは人妻の色香か中年女の体重かわからないが、彼女の「全重量」をかけてイスラの夜遊び先を聞き出す。


ソレは、中央通りからUDXへ1本入ったビルの最上階にあるコス(プレ)キャバ(レー)。

半島の麻薬王イスラは、ソコの太客(ふときゃく)らしくて週に何日も通う入込みブリらしい。


早速、ペンシルビルの狭いエレベーターにカラフルな1コ戦隊が丸々乗り込み最上階へ急ぐ。

ドアが開くとエレベーターホールがヤタラ狭くて否応なく正面のドアを開けるコトになる。


「『戦隊割り』で遊ばせてもらうぜ」

「ココ、ウーロン茶は無料ょね?」

「指名はナイ。フリーだ」

「1セット!領収書も頂戴ね。ハイ、宛名」

「女の子にドリンク飲ませられないから」

「この箱、メイラグだったょね?」


応対に出た黒服は、戦隊コスプレの団体客から一斉に話しかけられて後ずさり。

あ、最後のメイラグ云々って逝うのが僕の台詞(セリフ)だ。


「メイドラグジュアリー AKBザ・トップ」は、高級指向がウリのお屋敷(メイドカフェ)だ。

アキバ貴族をビクトリアンな調度と最上品?メイドがお出迎え致しマスと逝うコンセプト。


オープン初日に御帰宅したらイキナリ貴族風のカツラ(バッハとかが肖像画で被ってそうな奴)を被せられて面喰らった覚えがある。


しかし、最上品メイドとやらが揃いも揃って全員ロングのメイド服だったので、それっきり薄い御縁となって今日に至る。


人伝(ひとづて)に最後の半年は、お屋敷内(てんない)が随分荒れたと聞いたが、まさか、そのまま今のコスキャバに流れたのだろうか?


怪訝な顔をする黒服を脇にどけ、僕達は勝手に近くのボックスにズカズカ入り込む。

お屋敷のゲストもキャストも、みんな呆気にとられてポカンと口を開けて見ている。


よし!コッチのペースだ!

MAKE MY DAY!


ようやく立ち直った黒服が、セーラー戦士コスプレの5人組を繰り出してくる。

しかし、急いで指名を剥がして集めたせいかセーラームーンが2人いてマーズがいない。


僕には「太った方のセーラームーン」がつき太い声で「キャサリンです」と名乗る。

なんだかなー?ミニの戦士服なのにイキナリ脚とか組むなょ。


「あ!貴方!アソコ!」

「ん?スキ蔵?スキ蔵じゃナイか!ソコで何をしてルンだ!?」

「あれれ?パパ、ママ…じゃなかったヤンエグレッド!ワンレンピンク!どうしてココに?」


あ、そのリアクションはヤバい!と思った時はもう遅い。

キャバクラの闇の中に5人の人影がスックと立ち上がる。


「ヤンエグレッド!」

「ワンレンピンク!」

「ジアゲブルー!」

「ボディコンイエロー!」

「ザイテクグリーン!」

「儲けろ!金持ち戦隊、バブルマン!」

「くっそー!バブルマンめ、またも邪魔しに現れたか!やってしまえ!」

「キィー!」


解説しよう。


先ず最初の口上は、元バブルマンの面々が夫々ポーズをキメながら述べている。

次の台詞は、スキ蔵と話し込んでた、恐らく半島の麻薬王イスラと思われる優男。


最後の「キィー!」は、本来は戦闘員だが、今宵は僕達のテーブルについたセーラー戦士が叫んで一斉にバブルマンに襲いかかる!


強い!


キャバ嬢のクセして格闘経験でもあるのか、レッドも僕もボコボコにやられ、特に僕は「キャサリン」の首4の字固めに七転八倒←


ん?戦隊側は6人でセーラー戦士は5人?戦隊の方が1人多いハズだが…

おおっ!グリーンだ!グリーンが戦隊夫婦がスケ蔵と呼んだ息子のボックスに殺到する!


ソコには、スケ蔵と話し込んでいた恐らく半島の麻薬王イスラがいる。

両脇を固めるボディガードと思しき黒スーツの凸凹コンビが立ちはだかる。


凹を転がし凸を蹴り倒したグリーンだったが、イスラに股間を蹴られ(うずくま)ったトコロを凸凹コンビに取り押さえられる。


「ぎゃあああっ!」


中年女の絶叫に振り向けば、ワンレンピンクはセーラージュピターにベアハッグを決められ、ボディコンイエローはセーラービーナスのカンパーナに捕まり、それぞれ太目の肢体を反らせて悶絶している。


僕は、さっきからキャサリンのムチムチな太腿に首を絞められ、ヤンエグレッドはいつの間に投げられたのかフロアに大の字にノビてもう1人のセーラームーンに足蹴にされている。


バブルマン全滅!


このまま地球は悪の手(と逝ってもセーラー戦士なんだけど)に落ちてしまうのか?!

宇宙に輝く青きエメラルド、地球の運命はいかに?ではまた来週!


…と思われた、その時!


「外部太陽系三戦士!新たな危険に誘われて!ココに参上!」


ん?もしかして…ミユリさんの声?


振り向けば、開け放たれたキャバのドアに逆光で顔は見えないが女子3名のシルエット。

今度はチャーリーズエンジェルか?と思ったが、どうやら新たなセーラー戦士の登場だ。


女子3名の詠唱!


「この愛すべきアキバを貴方達の思い通りにはさせません!禁忌(タブー)を侵す者は消去します!」


ココで、センターの子が1歩前に進み出て大見得を切ってキメのポーズ!

彼女は、セーラープルートのコスプレをしてて手にはトレードマークの時空の杖!


間違いない!ミユリさんだ!


「偉大なる時空の守護神 我らが父テリィよ 我に力を 裂かれた禁忌(タブー)の扉を閉じよ!」


深緑色のロングヘアをコスキャバの空調にそよがせながら、ミユリさんが手にしたガーネット・ロッド(時空の杖)を回転させる…


次の瞬間「光のビッグバン」が起こる!

いや、ホントに起きたんだ!


ミユリさんの足元から、小さな何かが転がり出たと思うや否や光の大爆発が起きる!

バブルマンも、セーラー戦士も、イスラも、スケ蔵も…そして僕でさえも!


今、ソコにあるモノの全てが、まばゆい光の海へと飲み込まれて逝く!


第4章 戦隊、還る

外部太陽系三戦士とは、冥王星(プルート)天王星(ウラヌス)海王星(ネプチューン)を守護星とするセーラー戦士3人組だ。

なにしろセーラームーンは、冥王星が未だ惑星として扱われていた頃の作品だからね。


この中で、僕が推してるのがセーラープルート(ミユリさんがコスプレしてくれてる)だ。

アニメでは、セーラームーンの旦那に横恋慕するので俗に「愛人戦士」とか呼ばれてる。


うーん女房がセーラー戦士なのはともかく、愛人までセーラー戦士とは!

タキシード仮面、お前だけは絶対に許せん←


因みに、ミユリさんの右に仕えるセーラーネプチューンはお屋敷(みせ)でヘルプをやってるつぼみんだったんだけど、左に仕えるセーラーウラヌスは…


「アキバの時代に誘われて!セーラーウラヌス、カレーライス、じゃなかった華麗に活躍!」


やや?カレーライス、じゃなかった華麗に口上をキメたのは…サリィさん?!

セーラー戦士のコスプレしてるけど、確か国益優先の不正規部隊の隊員だったょね?


また何かの潜入捜査中?いや、今回は半島の麻薬王狙いに決まってるか。

大方ミユリさんがサリィさんに連絡を取ったら彼女自身が潜入中だったとか逝う話だろう。


そして、別班(パスファインダー)の彼女が閃光グレネード(公称100万カンデラ!)を投げ、直後にお仲間が突入して店内を制圧する。


おや?今回は突入部隊の全員が消防士のコスプレをしている。

いや、コレはもうコスプレではないな。


「防弾チョッキに重装備の部隊をサイレン鳴らした消防車で緊急展開するワケか。考えたね」

「あぁ驚いた!ホントの火事かと思ったょ」

「まぁ基本的には、この世の火消しみたいなワケょ」


セーラー戦士姿のサリィさんが、消防隊?にテキパキと命令しながら僕達に微笑む。

消防士達は、イスラ一味(本人+ボディガード&内部太陽系セーラー戦士5名)を連行する。


後にポツンと取り残されたのは…


「スケ蔵!スケ蔵!」

「あぁ!パパ、ママ!僕は、僕は危うく…」

「いいんだ。もういい。全て終わった」


子供のようにワアッと泣き崩れるアラサーで空間プロデューサーの息子。

その息子の肩を抱き慰める両親は「金持ち戦隊バブルマン」のコスプレ。


何も知らない人から見ればトンデモナイ絵に見えるに違いない。

しかし、コレだって僕達にしてみれば、立派な大団円シーンだ。


バブルの頃に、一世を風靡した「金持ち戦隊バブルマン」。

「失われた20年」を経て、ようやく今宵がホントの最終回。


ところが、この話には、もう1つとんでもないオマケがある。

それを僕にそっと教えてくれたのは、ミユリさんだ。


「スケ蔵さんのホントのパパは…実はグリーンなんですって」

「ええっ?!」

「結婚直前のロケ先での出来事らしくて」


ギョッとなって振り向く僕の視野の片隅に、人知れずひっそりとコスキャバを出て逝くザイテクグリーンの後姿。


前を向けば、コスプレ姿のまま大団円を迎えシッカリと絆を確かめ合う親子3人。

しかし、無邪気に肩を叩き合う父子の横で母だけが、女の直感で僕を振り向く。


「テリィ様。笑って」

「あ、ああ。そうだね」

「誰にも過去は変えられない」

「そ、そうだょね」


時の番人セーラープルートにそう逝われたら途中戦士に返す言葉などあるハズがない。

僕は、ワンレンピンクの氷のような視線に、指2本の敬礼を返して別れの挨拶をする。


ミユリさんが勝手に腕を絡めてきて、どうやらネクラブラックも退場のお時間だ。

しかし、セーラー戦士同伴の退場(アフターじゃないょ笑)なんて少しやり過ぎか?


でも、タマにはこんなマニアックな最終回もアリじゃない?

だって、この街はヲタクの聖都、アキハバラなんだからさ。



おしまい

今回は、バブルの世に一世を風靡した「金持ち戦隊バブルマン」のOB&OG達の絆と活躍?を描き、噛ませ犬として「半島の麻薬王」、配下のセーラー戦士姿のコスキャバキャスト、ソレと戦う消防士姿の不正規部隊などが登場しました。


傭兵映画?のエクスペンダブルスとかの影響を受けています笑。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。



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