1/3
カピバラのきもち
小説を書くと言いつつ、なかなか書けないので特訓始めます。
ぽかぽかの陽だまりに一匹のカピバラがまどろんでいる。僕はそっと彼に近づき笹の葉を鼻先に差し出してみた。青々しい香りに彼はすぐさま鼻をひくつかせ、むしゃりと噛みついた。もむもむと口先が動き、小さく薄い耳が満足げにピピピと動く。笹を食べ終えてやっと彼は目を開け僕をちらりと見た。もう笹がないことに気づくと興味を失い、再び目を閉じる。僕は彼の隣にしゃがむとゴワゴワする背中をなでた。
キュルルと音がする。なでながらポツリポツリと話しかけた。彼は返事もしなかったが逃げもしなかった。
「長々としゃべってごめんね」
そう一声かけると立ち上がり彼に背を向けた。
「またおいで。話ならいくらでも聞いてやるさ」
驚きふり返ると彼と目があった。彼は目を細めて上唇をめくり上げ前歯をむき出し、耳をピピッと動かすと悠々と去っていった。
カピさんはみんなの味方さ。