愛は宇宙の基本法
【序章&教育編】
このところ毎日のように夢の中に現れる不思議な少女がいる
最初は怖かったが、だんだん慣れてきて今では会うのが楽しみになってきた
僕はその子に会うために、今日も早めに眠りにつくことにした
ミック「スヤスヤ… 」
プリン「こんにちは!ミック」
ミック「やあ プリン 待ってたよ」
プリン「もう、すっかり私のことに慣れたみたいね。」
ミック「うん 毎日会ってるからね」
プリン「じゃあ 今日は以前から約束していた私の住む星プレアデスに連れて行ってあげるわ」
ミック「やった〜 行こう行こう〜」
少年ミックは、謎の少女プリンに異世界へと導かれて行った。
プリン「さあ 着いたわよ。ここがプレアデス。私の住む星」
ミック「わあ 自然がいっぱいあって、きれいな所だね。それになんだかファンタジーの世界のように感じる」
プリン「うん この星は、みんなの夢を形にした世界だからね〜」「人も動物も虫たちもみんな仲良く暮らしているわ」
ミック「ここには猛獣とか危険な生き物はいないの?」
プリン「うん プレアデスには他者を害する生き物は全くいないから安心してね」
ここはなんて平和な世界なんだろう…
ミック「王様とか大統領とか偉い人はいるの?」
プリンはクスクス笑いながら説明を始めた
プリン「ここは太陽が父、星が母、あとは全員が兄弟姉妹。動物や他の生き物はみんな友達。みんなで大家族だから法律も無いし義務も無い。何をしても、何もしなくても無条件で愛し、愛される世界」
ミック「……」僕には返す言葉が無かった
プリン「一通り、案内するから付いてきて」
ミックは言われるままに、あとを付いていくと円形都市のような場所が見えてきた
プリン「ここがプレアデスの中心地 地球で言う都会にあたるところ」
いろいろな建物があるが、どれも丸みを帯びていて僕には可愛いらしい印象を受けた
プリン「まずはここから案内するわね。この建物が子供たちが通う遊び場。地球の学校にあたるところよ」「先生もいないし授業もテストも無いから、みんな楽しく遊んでるでしょ。本当はそれが1番勉強になるのよ」
ミック「子供たちだけにしてケンカになったりしないの?」
プリン「さっき言ったでしょ。ここには他者を害する生き物はいないって」
さっきの話しの生き物って人間も含まれていたのか…
プリン「授業が無いから、それぞれ好きな事だけを選び、遊びたいだけ遊んでるわ。ゲームでも漫画でも、子供にとっては全てが勉強だから、それを奪い取る大人もいないしね。テストも無いから、競争心も起きずに、みんなが友達のままでいられるのよ。それに行きたい時に行き、帰りたい時に帰れるし、行きたくない時には行かなくても構わないしね。つまり完全セルフ学校ってことなの。」
これならイジメとか不登校とかは、絶対にあり得ないだろうなと僕は思った
プリン「大人が介入するのは、子供が求めてきた時だけで、それ以外では干渉する事は無いの。真の教育とは子供を信頼し、見守ることだからね。地球のような過干渉は子供の自主性も個性も奪ってしまうだけなの」
ここまで聞いて、ふと我に返った。そうだこれは夢の中の世界だった
ミック「夢の中の世界だけに、どれも夢のような話しばかりだね(笑)現実では、あり得ない事ばかりだよ」
その話しを聞いて突然、プリンが真顔になり語り始めた
プリン「ミック、この世界は実在しているわ。ミックがもしも肉体を持ったままでプレアデスにやって来たとしたら、岩がごろごろしているだけの荒涼とした無機質な惑星にしか見えない。3次元の肉体で見えるのは3次元的な部分だけなの。でも本当は同じ空間を共有したべつの次元の世界がある。もちろん地球にもね。でも3次元の住人には、それを感じ取る事が出来ない」
それで夢の中でしかプリンに会えず、プレアデスにも来れないのか…
プリン「宇宙は多次元構造なの。複数の次元が重なり合ったレイヤー構造なんだけど、別の次元は3次元の肉体では認識する事は出来ないのよ」
ミック「地球でも妖精を見たとか小さいおじさんを見たとか言っている人がいるけど、もしかして本当のことなの?」
プリン「本当よ テレビと同じで周波数さえ合わせれば見る事が出来るわ。」
分かったような分からないような…
プリン「さあ学校の説明はこのくらいにして次に行きましょう」
つづく
【育児編】
プリン「次はここよ。さっき見たのは完全セルフ学校だったけど、ここは完全セルフ育児所。と言っても建物は無くて自然の中で遊ばせるだけだけどね」
あたり一面が芝生のようなものが植えられた広場に、幼児や付き添いの大人数人、そして動物がたくさんいた
プリン「ここで子供たちを遊ばせておくだけで、自然と母性愛の強い人がやってきて世話をしたり、子供好きな動物がやって来て一緒に遊び始めるのよ。自然の中で育てることで自然を愛する心が芽生え、動物と触れ合うことで差別や偏見も無く育つしね。そして付き添いの大人が、時折抱きしめて人の温もりを教えてあげるの」
ここでは人も自然も動物も一体化しているようだった。地球のように別々に見てはいないらしい。
僕は腰を降ろし、しばしその模様を眺めていた。
ミック「この芝生のような草は、まるで猫の毛みたいに柔らかくて優しい、それに温かみを感じるよ。」
プリン「それ、ただの芝生よ。地球と全く同じ種類」
ミック「ウソだ。だって触った感じが全然違うじゃないか」
プリン「同じ種類でも、環境次第で別物になってしまうの。ここでは肥沃な大地から愛を吸収して優しい陽の光を浴び、清らかな水で育つから、猫の毛のようにモフモフになるのよ。動物も同じで、優しい世界で安心して暮らせる環境で育つから、鋭いツメやキバも退化して無くなっていき、性格も穏やかになるのよ。人間も同じよ」
そうだったのか。環境ってそんなに大切さなものだったのか。
プリン「そしてプレアデスで愛と光を吸収して育ち、充分な強さに達した人間は、もはや環境に左右される事は無くなる。自ら志願して未開惑星に転生し、進化のお手伝いをしにいく人もいるのよ。スターシードと呼ばれている人たちがそれよ。記憶は失っても、愛と光は失うことは無いから劣悪な環境で育っても屈することも媚びることも染まることも無いわ。彼らは自分の純度を下げるようなことは絶対にしない強さを持っているの」
なんか聞いた事があるような気がする
旧い社会を変え、新しいシステムを提案している人たちをネットで見たことがある
プリン「社会から離脱をして人々の見本となるようなコミュニティを作ったり、社会に属し中から改善したりしているわ。歌手や芸術家、作家やジャーナリストその他様々な分野で愛と光を広める奉仕活動をするの」
それで地球は近年、急に変わり始めたのか。愛のある人が増えて来た理由がこれで分かった。
プリン「育児、教育に関しては、このくらいかしら。どう?ミック、プレアデスの世界は」
ミック「ここにいると、もう地球には戻りたく無くなるよ。僕もここで暮らしてみたいな」
プリンの返事はYESだった。でも本当にそれでいいのだろうか。自分だけ楽園に逃げ込むのは、なんか違う気がする。ここで暮らすより、地球をプレアデスのような楽園にする方が前向きではないだろうか。プリンは何も言わなかったが、僕の決意を感じ取ったのか、とてもうれしそうにニコニコと微笑んでいる
つづく
【農産物編】
プリン「さあ次はここよ。野菜や果物などの畑。誰でも自由に持っていっていいのよ。もちろん完全無農薬」
広大な土地に農産物がたくさん実っている。そしてそこには人よりも、動物や虫の方が多かった
ミック「無農薬で動物対策もしなかったら、全部食べられてしまうんじゃないの?」
プリン「動物や虫だって、お腹空くでしょ? それに彼らが食べ切れないほど生産すればいいだけよ。プレアデスではみんな家族だから、他の生き物を追い払ったりしないわ。家族みんながお腹いっぱい食べられるようにたくさん作れば、農薬も動物対策も要らないでしょ?」
なんて心の広い人たちの世界だろう。人間の事しか考えない地球とは、まるで別世界だ
プリン「プレアデスのことわざに"何かを犠牲にして成り立つ幸せ無し"というのがあるんだけど、ここでは何一つ犠牲にする事は無いの。誰にもツライ思いをさせない、我慢を強いることも無い、置いてきぼりにする事も無い」
よく見ると、どの作物も実を付けるものばかりで命ごと奪う葉物野菜は無かった。植物にとっては種を遠くに運んで種を繁栄させるために美味しい実を付けると何かの本で読んだことがある。つまりお互いにとってメリットがあるウインウインの関係ということだろう。プレアデスでは植物さえもが尊重されているようだった。
プリン「でもね、プレアデスにも物質的に貧しい時代もあってね、一家で食べるものが焼き芋1個だった事もある。それをみんなで分け合うとお腹は満たされなくても、心は満たされるのよ。精神的に豊かな世界では物質的貧困なんて苦にならない。そして心の豊かな人が協力し合う事で、結果的に物質的にも豊かになっていったの」
プリンが言いたいのは、プレアデスでは、まず心ありきで物質はその後に自然に付いてくるということだろう
ミック「どんなに物質的に豊かな世界でも心の貧しい人たちは、分け合う事はせずに独り占めしようとする。それでは、いつまで経っても競争社会が続くだけ。こういう事でしょ?プリン」
プリンは、うれしそうに微笑んで何度もうなずいた。
ミック「これまでの見学でだんだん、プレアデスの事が分かってきたよ。ここはきっと完全セルフ農園て名前でしょ?要するに全てが自由な世界なんだね」
プリン「その通りよ。だって家族間に法律なんて要らないでしょ。でもね、その惑星の愛が充分なレベルに達するまでは、ある程度の決まり事はやむを得ないの。愛の無い自由では、ただの無法地帯になってしまうから」
自由の前に必要なのは愛なのか。法律の無いプレアデスにある唯一の決まり事は【愛】を基本とすることのようだった。
ミック「その愛のレベルって、どうやって判別するの?」
プリン「どんな人の心にもプラスマイナスの両面があって、それの比率で分かるわ。プラスの多いほど与えたり、奉仕ををする事に喜びを感じる。マイナスの多いほどもらう、奪う、搾取する事を喜ぶの。プラスの多い人が増えれば自然と与え合い、支え合う共存社会。マイナスが多い世界は競争社会、共食い社会。簡単に言えば、こんなところ」
プリンは言わなかったが、地球は間違い無く後者の方だろう。そして、プラスが上回ればお金というシステムが消えて、プレアデスのように無償奉仕社会になるということか。おそらくそれを伝えるために、僕をここへ連れて来たのかも知れない。
つづく
【家事編】
ミック「ところで、プリンの家はどこにあるの?」
プリン「プレアデスでは、地球のように決まった家に住む習慣は無いのよ。みんな自由に好きなところで寝泊まりしているわ。私は旅行が好きだから、毎日移動しながら暮らしてるの。空いてる家は自由に使って構わないし、お外で夜空を眺めながら眠ることも楽しいしね」
女の子が一人旅出来て、好きな家に泊まれ、お外で寝ることもある?
自由過ぎだろ(笑)プレアデス。 地球では、すぐに補導されてしまうだろう
プリン「じゃあ、そこに空いてる家があるから説明するわね。来て」
丸いドーム状の一軒家の中には家電製品らしき物がいくつかあるだけのシンプルな室内だった。
プリン「まず、この装置がレプリケータ(複製機)といって、地球の3Dプリンターを4D、5D、…10Dくらいに進化させたような物かしら。」
ミック「これで、何でも作れるの?」
プリン「うん、生活に必要な物は、これ1台でほとんどの物は作れるわ。では衣服を作ってみましょうか」
ものの数秒で、出来上がり、プリンはそれに着替えて説明を続けた。
プリン「着終わった衣服は、こっちの材料タンクに入れて溶かして、また新たな物の材料として再利用するの」
ミック「これなら洗濯しなくても済むね。それに毎日新しい服を着れるなんてスゴイ装置だね」
プリン「うん 地球の洗濯は衣服の汚れを水に押し付けているだけだから、自然が汚染されてしまうわ。プレアデスでは何も犠牲にする事が無いように考えられているのよ。前にも言ったけど、星は私達みんなのお母さんだもの」
言われてみれば、確かに衣服の汚れが水に移動しただけだ。洗濯とは見方を変えれば環境汚染という事なのか。でも他に、どんな方法があるというのだろう。僕には、何も思い付かなかった。
プリン「地球でも自然からの恵みをいただいて、暮らしているでしょ。でもその自然を汚してしまったら、汚れた作物を口にする事になるのよ。そして1番怖いのは、汚染に気付かない、または慣れてしまい危険性を把握出来なくなってしまう事なの。自然の汚染は心の汚染の始まりだから、自然を汚す事に何の抵抗も感じなくなってしまう」
確かに習慣になっている事を疑問に感じる人は少ない。手遅れになる前に、どうにかしなければ。
ミック「掃除は、どうしてるの?」
プリン「掃除は、ほとんどする必要が無いように設計されているの。丸い建物の風の入る方向に出入り口を作ると、風が室内をグルッと回って、そのまま出て行くからホコリがたまる事は無いの。わずかに中央付近にたまったホコリを掃除するくらいかしらね。」
ミック「掃除も洗濯も無いの? でも食器洗いくらいはあるんでしょ?」
プリン「食器は、さっきとは別機種のレプリケータで使う時に作り、終われば材料に還元するから洗い物も無いわ。」
ミック「つまり家事は、何にもしなくてもいいってこと?」
プリンは、それが当たり前の事のような素振りでうなずいた
ミック「トイレやお風呂は、どうしてるの?」
プリン「おトイレやお風呂は作者の記憶が曖昧だから割愛させていただくわ」
ミック「???」 作者「ヘックション(>ω<)/。・゜゜・」
ミック「今、何か聞こえたような…」
プリン「そう? 何も聞こえなかったわよ」
つづく
【恋愛編】
初めて来た場所なのに、僕はもうすっかりプレアデスを気に入ってしまった。そしてプリンのことも…
ミック「プリンは恋人とかいるの?子供だから、まだいないか」
プリン「人を愛するのに年齢制限なんて無いわ。それにプレアデスには年齢を数える習慣も無いしね。」
ミック「ええ? まさかプレアデスでは子供でも恋愛OKなの?」
プリン「もちろんよ。感受性の強い子供のうちに愛だけでは無く、感情表現を抑圧してしまったら、心が発達しないまま、大人になってしまうわ。イヤなものもイヤと言えず、何をすればいいのかも自分では判断出来ず、好きな物も自分で選べずに周囲に同調するだけの人間になってしまうでしょ」
確かに地球の人の多くは、自分を押し殺し、長いものに巻かれている。否定や孤立を恐れるあまり、自己表現をする事をためらってしまう。原因は、それだったのか
プリン「だから恋人というのは、いないけど好きな人はいっぱいいるわよ。」
ミック「いっぱい?プリンは気が多いんだね」
プリン「真の愛は無条件、無制限。兄弟姉妹が仲良くするのは自然な事でしょ」
プレアデスとは、どこまでも自由な世界のようだ。でも地球で育った僕には、この習慣は、すぐには受け入れられそうもない
ミック「自分の好きな人が、他の誰かとイチャイチャしていても嫉妬したりしないの?」
プリン「本当に愛するという事は、その人の幸福を願うことなの。自分の所有物にする行為は愛では無くて利己心と呼ぶもの。地球でも母親は、そうでしょ?自分の子供が遠くに引っ越して会えなくなっても、誰かと結婚しても、愛情は変わらないでしょ。ただ子供の幸福を願うだけ。プレアデスでの愛とは母性愛レベルの愛を指すの。嫉妬なんて、あり得ないことよ」
母性愛レベルとか言われても、子供の僕にはよく分からなかったけど、きっと、とても強い愛なのだろうと思った
ミック「ねえプリン。ハッキリ言っていい?ここの人たちって、美男美女ばかりかと思ったけど、そうでも無い人も結構多いよね(笑)それでも無条件で愛せるの?」
プリン「まず、この星には判断基準が無いの。地球のようにメディアが流すモデルケースを美と思い込ませ、価値観や思想統一をする事は無いわ。それに容姿で人を裁く人なんて一人もいないしね。人には無限の魅力があるのよ。容姿は、その中のたった1面にしかすぎない。みんな、それぞれ素敵な場所が違うだけなのよ。」
僕はこれまで顔や体型だけで、人を判断していた事を恥じた。考えてみれば容姿以外にも、たくさんの魅力があるはずなのに、そこを探そうともしなかった。ブサイクな人を低く見ていた自分の人間性が低かった事に気付かさせれた。
プリン「本当の魅力とは内面にあるものなの。優しい心の人は優しい行動や言動をするし、知性の高い人は知的な振る舞いをするし、明るい人は、ユーモアを発揮して周囲の人を笑顔に変えたりとかね。誰もが何かの魅力を必ず持っているの。でも、そんな事は関係なく無条件で愛するだけだけどね」
僕は、その後も様々なところを見て回り、プレアデス文明を一通り見学をさせてもらった。
中でも人や物を瞬時に移動させるテレポート技術や、ケガや病気を治すメディカルマシン等の魔法のようなテクノロジーには驚かされた。
でも、プレアデスの魅力は技術的な事よりも、何もかもが自由で、全てが愛を基本としているところだと思った。
だから、全ての人が幸せで動物も虫も、みんな仲良く暮らせるんだ
ミック「ねえプリン! 僕は、ここで知ったことを地球の人に伝えればいいの?」
プリン「いいえ 私は何も頼んだりしないわよ。プレアデスでは自由意志を尊重するので、ミックがここで知ったことを、どうしようと無条件で尊重するだけよ」
ミック「じゃあ なぜ僕の夢に毎晩現れたんだい?プレアデスに連れて来るためじゃ無かったの?」
プリン「それはね、あなたに会いたかったから。ただそれだけ」
ミック「なぜ、僕のことを知っているの? それになぜ会いたかったの?」
プリン「それはね〜 あなたが私のツインソウルだからよ♡」
(完) 多分