僕が機械化歩兵になったこと
よろしくッス!
XE-00 type:shuten‐doji
脳以外のすべてを機械にしたサイボーグ兵器。それが今の俺。
何故、ニートだった俺がそんな人間兵器になったかといえば、英雄願望と愛国心と存在理由だろう。
2020年、ヨーロッパの移民排斥問題から始まったヨーロッパ動乱。人間の持つ暗い根の炎がめらめらと世界に広がるまで2年もかからなかった。
俺の暮らす大日本国は大陸に近い島国。隣国との間には根深い歴史問題があった。さらに我国の近海に天然ガスが見つかったのだ。当然、戦争になった。
25倍の兵力差を覆すには非常の手段しかなかった。兵士達の一部を機械化することにしたのだ。
国民に内緒ではなく、広く公募したのだ。当時、ニートだった俺は応募した。そして、何故か受かった。
プロトタイプとして身体能力に特化して予算度外視で強化された俺の体は、その後人道上の問題から少数量産された一般兵士のものより強くされていた。
大日本国、そして協力関係にあった国は戦争に勝った。敗れなかったというだけで御の字であったのだが。
俺は特務実験小隊の部隊長として戦闘に参加して4年の戦争を戦い通した。戦闘と生物としての生命を放棄した身体のおかげで俺の精神は完全に戦闘機械と一般人に分かれることとなった。
異常な身体能力と擬似的な不死のおかげで、本土に帰国しても職業軍人として歩くしかないというおまけ付だが。
ある日、俺は書店を巡りファーストフードを食べて部屋で読書をするという、いつものオフを満喫しようとしていた。京都府の北の駐屯地に勤務していた俺は駐屯地を出て一人カラオケをするためにビルのエレベーターに乗る。
到着の音が鳴り、カラオケの会員カードを財布から取り出しながらエレベーターを出る。
一歩踏み出すとタイルの音ではなく、砂利の音がする。ハッと気がつくと、知らない田舎道に居た。・・・ここは何処だろう?