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玄関のドアが閉まってから、しばらくミミナはその場から動けなかったが、すぐに自分のやるべき事を探した。煤で汚れた暖炉、部屋の隅で張ったクモの巣が、この家が大清掃を必要としていることがわかる。ミミナは太陽の高さを見て、朝ごはんを食べたら掃除をしようと決めた。
キッチンに回り、冷蔵庫を確認したが、入っていたのはバターとチーズとピクルスだけで、ミミナは冷蔵庫にも改革が必要だと思った。戸棚に入っていたパンとバターで朝ごはんを済ませると、早速部屋の掃除に取り掛かった。到底1日では終わらせることができない事が始めてすぐに分かったので、今日のターゲットはリビングになった。
床を磨きながら、たくさんの事を考えていた。
私の目を見ても、敵意や憎悪を向けないクラウス。優しい笑顔。あの戦場から私を助け出したと言うことは、腕の立つ騎士なのだろう。なのに、冷蔵庫は空っぽで、部屋は埃まみれだなんて。ちょっと笑っちゃう。ふふ、と声を漏らしてちょっとだけ笑って、窓を開けた。そよ風が頬を撫でる。青空を仰いで、目を細めて、なんとなく、彼の役に立ちたいと思った。何気なく窓の枠に指を滑らせたら、指が黒くなった。
まだまだ掃除は終わりそうもない。