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1-3

友人に、短くても毎日更新がんばれば? というお言葉を頂いたので、1000文字ぐらいでの毎日更新をしていこうと思います。


 さすがに寝過ぎたのか、ティアナは夜遅くに目を覚ました。軽く身震いして、毛布から出る。梯子を見て、固まった。何かを探すように辺りを見回す。すぐに肩を落とし、静かに梯子へと歩いて行く。

 足をかけて、ゆっくりと下りる。思いの外しっかりとした梯子だ。二階にたどり着いて、その部屋の様子を見る。二階は闇に包まれているため、中の様子ははっきりとは分からない。目的のものはないだろうと判断して、そのままさらに下へ下りた。

 その階で梯子は終わっていた。一階にたどり着いたティアナはその部屋が仄かに明るいことにすぐに気が付き、光源を探す。部屋の中央に、いすに座って眠るハルとテーブルに浮かぶ光球があった。

 自分が毛布を取ってしまったのかと不安に思いながら、ハルに近づく。そして、


「何か用?」


 ハルの声で、びくりと体の動きを止めた。


「あ、あの……。お手洗い、とかありませんか……?」


 ティアナがおずおずとそう聞くと、ハルは大きなため息をついた。入口の方へと指先を向ける。


「そんなものはないから、外でやって。この側に近づく獣や魔獣はいないから、その点は安心するといい」

「はい。分かりました」

「あと、ちゃんと寝るように」


 少しぶっきらぼうな物言いに、ティアナは思わず苦笑した。小さく頭を下げて、部屋を出る。


「あれ……?」


 なんだか、今までとは違ってはっきりとした話し方だった。そう言えば、髪の色が金に見えたような……。

 そう思って振り返ったティアナの目に映ったのは、いすに深く腰掛けて眠る白髪の少年だった。


   ・・・・・


 翌日早朝。

 日の出と共に起きたハルは、巨木の周囲を巡って果物を集めてきた。本来なら小動物の食料となるものなのだが、巨木の周囲には獣は寄ってこない。結界などを張ったわけではなく、ここで暮らしている間に自然と何も寄りつかなくなっていた。

 おそらくだが、ティアナに貸している部屋にはまだ果物は余っているだろう。だが果物はあっという間に劣化していくものだ。できれば新鮮な物を食べてもらいたい。

 拳大ほどの赤い果物を集めると、ハルは巨木に戻った。三階に向かうと、ティアナはまだ眠っているようだった。ハルがすぐ側に近づいても、何の反応も示さない。少しは警戒心を抱かないのかなと疑問に思うが、アークが仕方ないよと苦笑した。


 ――多分、まだ訓練とかばかりで実戦経験はないんだと思うよ。当然ながら、寝ている間に気配を察知して起きるなんてこともできるはずがない。

 ――それは分かるけど。僕だってアークとヴォイドに任せてるし。でも早めに起きようとするものじゃないの?

 ――信頼されてるんだよ、きっと。


 それ以前に意識して早く起きられる人間などほとんどいないとアークは考えているが、それはあえて言わなかった。


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