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転生少女の愚痴

作者: scorer

思いついたことを軽くまとめました。


続くかもしれません。

みなさんごきげんよう。

突然だが、君は賢者という存在を知っているだろうか。



「あ、勇者のお供のことだ!」という答えなら、パーフェクト。

時には主人公となって魔王を倒したり、時には石なんかも作ったりもする。


もし、世界の果ての寂れた城に住み世界の征服を狙ってる、なんて答えた君は少し認識を改めるべきだと思う。



それからもう一つ。


賢者の見た目について。


曰く、賢者は若作りをしているとか、いやいや賢者は老成している、とか。

兄ちゃんだろうが爺ちゃんだろうがどっちでもいいんだけどさ。


男ばっかりだと思わないでほしいんだよね。


だって私は――。




「紫絵羅?おーい。」

目の前で手をふりふりされる。


おっと。これ以上は話せなさそう。

もうしばし待っていてね。




さっきは話を中断してごめんね。

さすがに友人の前でボケーっとしてるとこ見せるわけにいかないじゃない?


今?

今は大丈夫だよ。私の家はちょっと離れてるから、ここら辺まで来ると一人になるんだ。


わかんない、って顔してるね。…わかんなかったかな?

そもそもお前は誰だって?…そうだった。自己紹介がまだだったね。


私は紫絵羅。今の名前は賢家(けんか)紫絵羅(しえら)

17歳の高校2年で、今はその帰りなの。


そして私――、



なんと賢者なのです!




…え、ちょ、ま、待って!

そんな引かないでよ。泣いちゃうよー?…な、泣かないから、待ってー!!


お願いだから聞いて!



確かに考えてみればいきなり賢者って言われてもだよね。

女の子なら誰しもお姫様とか、ヒロインに憧れるものだけど、賢者…。


もさくて裏方で、目立たない…。

自分で言ってて悲しくなるわ。ううっ。


しかも私転生者なんだ。

転生ヒロインならぬ転生賢者…なんて残念な響き。



ま、それはおいといて。


んじゃ賢者って何って話から入ると。

賢者ってゆうのは世界の調整者なの。


ちゅうに…?

今厨二病って言おうとしたでしょ!

怒るよー!


ほんとの話なのに。

調整って言っても特にこれと言ってするわけじゃないんだけど。


賢者そのものが調整として存在しているから…うーん説明が難しいな。

もちろん動物愛護とか政治家とか、はたまた魔王退治とかそれっぽいことをすることもあるんだけど、今はただの女子高生だし将来も普通に民間企業に就職しようと思ってる。


上手く説明できないから、なんとなく理解しといて。



それから転生って話なんだけど、世界に存在する賢者っていう器に私の魂が宿るんだ。

それをいろいろな世界で繰り返すの。


世界って一つじゃなくてたくさんあるの。

今私がいるのは日本ってとこ。

君がいる世界と同じかもしれないね。


でも、魔法が使える世界や魔王や勇者がいる世界、貴族様がいる中世ヨーロッパみたいのとかも転生したことあるんだよ。

やっぱり賢者だけあって森に住むことが多いんだ。

だからなのかな…砂漠しかないとこに転生したときは超辛かった。暑さには弱いんです。



今度は賢者って器について。

器っていうのは…役割のことかな。


人にはそれぞれ役割がある。私には賢者という役割みたいに。

みんな役割は違うし、私みたいに毎回同じ役割の人はいない。

他の人は一度役割を終わり死を迎えたら、今度は別の器――役割――を持って新たな生を受けるの。


役割って言っても役割ごとに名前があるわけじゃないから、あなたが何の役ってゆうのは決まってないけど。

運命、みたいなものかなぁ…将来とか人生の道筋がある程度決められているってこと。


賢者のこともそう呼ばれることが多いだけ。聖女様とかならその器が見えるみたいで、必要に応じてそう呼ばれる。

私の場合、世界によっては賢者じゃなくて、「智あるもの」とか「魔法使い様」とか、悪いときには「破滅呼ぶ魔女」とか呼ばれたときもあったな…。


今いる世界は私を賢者って呼ぶ人はいない。

器が見える人がいないっていうのもある。

それ以外にも魔法が使えたり文明の進んでいない世界では、私は重宝されたり恐れられたりするけど、今は魔法も使えないし文明もそれなりに進んでいるからね。

もちろんこれ以上に進んでいる世界もあるけど。



こんな軽く喋っちゃってるけど、実際これ呪いなんだけどね。

だって、死んでもまた生を受けて、それには終わりがない。


ほら、人はいつか死を迎えるから命は尊いんだ、って誰かが言ってたでしょ?

あれがよくわかるよ。


目的がなかったらきっと狂ってた。



…ちょっと暗くなっちゃったね。ごめん。

私は何度もいろいろな世界の賢者枠で転生しているんだけど、私は人を探しているの。


私の前に賢者をやっていた人。

言い換えれば師匠、かな。


訳あって今は私が引き継いでいるんだけど、あの人にこの呪いを返したいんだ。

…あの人を恨んでいるわけじゃないよ?呪詛返しじゃないからね!

ただ、返したいの。賢者はあの人がやるべきだから。


何があったのかについては…また今度話してあげるね。




「おかえり。紫絵羅さん。」


「ただいま帰りました。」


帰宅の挨拶を済ませると部屋に鞄を置きにいく。

着替えて本堂へ戻った。


私の今の家はお寺だ。

しかも回りは林と田んぼが広がる田舎。


私はどうやら捨て子だったようで、今はこのお寺の和尚さんにお世話になっている。

私には最初の死を迎えて以降、親という存在がいない。

いない、っていうのは私の物心がついた――3歳くらいから転生のことを思い出した――頃には親がいないのだ。


捨てられたり、病死だったり、行方不明になったり。

理由はさまざまだが、物心ついたときには孤児か養子っていう状態になってる。


どの世界においても自分の両親の存在が出てこないのは、転生という性質上、精神が老成してるのを隠すためなんじゃないかなと思ってる。

単純に人から生まれてない可能性もあるけど。


まあそこらへんはいろいろ整合性を保つためってことでいいよね。



のんびり過ごせるこの世界は大好きだ。

もとより忙しないことが苦手な、のんびり屋の自分には賢者など似合わないのだ。


ある世界では魔王退治に協力してくれ、ってほんとのRPGみたいに戦いに参戦させられてさ。

あのときは怖かったなぁ。

魔力的に私の足元にも及ばなかったけど、怖かった。


またあるときは、魔女として迫害されて死の森ってゆう霧の多い森に幽閉されたりもした。

あのときは寂しかったけど、動物が遊びに来てくれたからなんとかなった。

まあそれなりに平穏だったしね。



結局あの人は見つかってない。どこにいるんだろ…。

なんども転生していろいろなとこを探したけど見つからなかった。


のんびり過ごしたいとか言ってる辺り根気が足りないのだろうか。

今も民間企業に就職するとか言ってるしなー。



まだしばらくは見つからないかもしれない。

今度転生するならまたこんなのんびりした世界がいいなー。



ありがとうございました。

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