初夏の頃 2
うわっ!!
綺麗なお姉さん。
そうか、もしかしてお見合い中??
健太郎!
お前こそ、こんな不似合いな所で何やってんだ?
不似合いって、ズイブンな言われかただなぁ。
まあ、確かにそうかも知れないけどさ。
商売上の打ち合わせってところかな。
ふ〜ん、まあいいか。
それなら、その打ち合わせとやらにさっさと行くんだな。
こりゃまた、つれないなぁ兄貴。
こちらの美人、紹介してくれないの?
あっ、あぁ…
じゃ!自己紹介ってことで、初めまして健之助の弟の健太郎って言います。
はい、私は坂山久仁子と申します。
うわっ!
声まで、美人さんだぁ♪
よろしくね。
もし兄貴がダメなら、俺が立候補しようかな♪
健太郎さん!
いい加減に、しなさい。
あらら、お袋そんなに睨まなくても。
冗談だってば。
そろそろ退散しますよ。
兄貴も親父も、またね。
ホントに、健太郎のやつは…
久仁子さん、こんな時にすいませんなぁ。
この健之助の弟で、まあわが家のお荷物、不肖の息子と言ったところ……
あなた!!
あっ!い、いや、まぁ。
久仁子さん、あいつの事は気にしないで下さい。
は、はい……
その後はまあ、ありきたりなお見合いの流れで…
若いお二人だけで、とかなんとか・・・・
たっだいまぁ〜〜
あぁ〜〜疲れたぁ!!
カズくん、帰ったよぉ。
おぉ〜〜〜いっ!
フニャァ〜オゥ
こらっ!
カズくん、鳴き声はもっと凛々しくしなさい。
フニャァ〜〜
ほんとにもう。
せっかく、坂山・キングカズって立派な名前つけてあげたんだからね。
あぁ〜あ、しまらない顔して。
ピンポ〜〜ン♪
あら、誰かしら?
はぁ〜い。
センパ〜イ。
あたし、美奈子ですぅ。
美奈子ちゃん!
どうしたの?こんな時間に。
聞いて下さいよ先輩!
今日ね、部長のお供で取引先のパーティーとかに連れて行かれたんですよぉ。
まあ、まあ、美奈子ちゃん。
玄関先で話すのもなんだから、上がって。
はぁい。オジャマしま〜す。
あら!カズくん、こんばんわ。
どしたの?お腹減ってるの?
先輩、カズくんに晩御飯あげましたか?
やだ、忘れてた!
ってか、今帰ってきたところなのよ。
今?どこから?
えっ…ち、ちょっとね…
あららん♪
先輩、なんか今日のメイクって・・・
うわっ!お洋服も!
なんだか、いつもと違いませんか?
べ、べつに‥普通よ。
い〜〜えっ!!
ははぁん♪
デートだなぁ!!
違うわよ!!
じゃあ、お見合いだぁ♪
な、な、なんでお見合いなのよ。
いいなぁ〜。
お相手はどんな人?
お金持ちですかぁ?
それより、さっきの話しの続きは?
あっ!そうだった。
先輩、聞いて下さいよぉ。
ホントに、あのスケベオヤジ。
それってもしかして、YK貿易の社長さん?
そうそう、そのオヤジ。
可愛いお嬢ちゃん♪とか言ってなにげに人のお尻とか触るし。
危うく、胸まで触られるところでしたよ。
あの、セクハラ野郎。
私も常務のお供で、先月お会いしたけどホントにねぇ
ええっ!
先輩も被害にあったんですか。
まぁ……
人のこと、キャバクラのお姉さんかなんかと間違ってるんだから。
今度あんな事したら、容赦しないんだからね。
ダメよ、美奈子ちゃん。
一応、わが社の上得意様なんだから。
わかってます。
わかってますよぉ!
ああ〜〜!先輩!
飲みましょ。ワイン、ワイン飲みましょ。
冷蔵庫に入ってるから、美奈子ちゃん自分で用意してね。
私は、カズくんのご飯しなくちゃならないからね。
はあぁ〜いっ♪