第二話:出逢いの日
AM9:43、正門に着く。
クラス替えが発表されてる掲示板。すごい人だかり。
あそこに入り込むのか、髪くずれるじゃん。
あー嫌だ嫌だ、なんて思ってたら後ろから腕を掴まれた。
「おっはよー舞!掲示板見た?うちら同じクラスだよっ」
中一のとき仲の良かった恵理。いつも私を笑わせてくれる明るいやつ。
よかった。今年一年楽しく過ごせそうだ。
私にはクラス替えってかなり重要。
クラスメイトによって今年の運勢変わるし。
血液型より星座より信じられる占い、ってとこ。
今年の運勢、☆4つって感じかな。
「まじっすかー?恵理と一緒とかかなり嬉しいんですけどー」
「うちも!親友と同じクラスって最高だし!」
掲示板を見に行かずにすんだ私は恵理と2組の教室へ向かう。
がらがら・・・
ドアを開けるとすでに大半のクラスメイトが中にいた。
出席番号順の席に鞄を置くとチャイムが鳴った。
同時くらいに担任が教室に入ってきて起立、礼。
これからの一年がどうとか、長い話が始まる。
くだらねーんだよ。意味もなく爪をいじってみる。
トップコートが剥げてる。最悪だ。
左隣から手が伸びてきて机をトントンと叩いてきた。
隣り、誰だっけ?手の方向に顔を向ける。
知らない男子だ。6クラスもあると未だに知らない男子がいたりする。
「名前なんてゆーの?俺、智っつーの。よろしくねー」
名前は聞いたことある。
確か、去年かっこいいとか皆が騒いでた・・・
顔をよく見てみる。え、えぇえ?かなりかっこいい。
「あ、はい。よろしくお願いします。え、えと舞です。」
動揺して上手く話せない。
「もーそんな緊張しないで!舞ちゃん!俺そんな恐く見えるー?」
「え、や、そんなことないよ。考え事してたから驚いちゃって。
ごめんね、智くん。」
今度は普通に返事できた。
「よかったー、早速嫌われたかと思ったし。あ、智でいいから。」
「それではホールの方に向かってー・・・」
担任の話が終わったようだ。
それから始業式が終わって家に帰った。
夜ベッドに転がって今日一日のことを思い出す。
智、かっこよかったなぁ。
そんなことを考えながらそのまま眠ってしまった。
こんななんでもない一日が智と出逢った日。
私にとって大切な大切な日。