はじまり
灰色の雲がたちこめる11月。
リリアーヌは部屋の窓から外を眺めていた。
18歳になったばかりの彼女は
流れるような金色の髪と透けるような白い肌をしている。
しかし、その輝くばかりの容姿とは真逆なほど
彼女の表情は沈んでいた。
なぜなら
結婚式が明日にせまっていたからである。
3か月前の夕食で、
リリアーヌは自分の結婚について聞かされた。
「リリアーヌ、おまえはもう18だ。
そろそろ結婚してもよいだろう。いや、
遅いくらいだ。」
突然父親であるシャルトン伯爵が切り出した。
「えっ、お父様。でも.......」
「なんだ、おまえは私のいうことに異論があるのか?」
「いえ、そのようなわけでは.......。」
「それなら口答えするな。式は3か月後だ。
相手はフォンテンバロー伯爵。いいな。」
「...はい、お父様。」
そのときの父とのやりとりを思い出して
一層気が重くなったリリアーヌであった。
「考えても仕方ないわ。お父様の言うことには逆らえない。
フォンテンバロー伯爵はずいぶん年上な方だけれど
優しいと評判だし。明日に備えてもう寝なくては。」
こうして結婚前夜の夜はふけていく。
はじめまして。初投稿です。よろしくお願いいたします。。。