人間の擬態
掲載日:2026/04/09
私は人と話す時、少しだけ遅れて反応をする癖がある。
教室で誰かが面白いことを言い、笑い声が上がる時も、半拍遅れて笑う。
理由は分からない。だがその方が周りと馴染める気がして安心できる。
いつも顔を見合わせるクラスメイトと毎日同じ場所で同じ授業を受け、同じ景色を見ている。なのに私だけ違うところにいる気がする。
見ているものが遠く感じる。
すぐそこにいるはずなのに、触れられない。
帰り道になると、あれは本当に自分なのか分からなくなる。
同い年くらいの学生を横目に観察しながら歩く。
まるで動物を見るみたいに。
どうすれば自然に話せるのか。
どんな顔をして過ごせばいいのか。
それを覚えるために。
私は少しずれている。
それでも明日も同じように過ごす。




