《揺らぐ絆 戦いの意味を見失う仲間たち
夜の野営地。篝火の煙が空へ細くのび、沈黙の兵士たちが散り散りに休むなか、ルクシアたちはひとつの焚き火を囲んでいた。
最初に口を開いたのはフェルヴィアだった。
「……もう無理だよ、ルクシア。私たちは最初、あなたの復讐のために剣を振るったはずだ。それが今じゃ、ただ反乱軍の兵士の一部みたいになってる」
苦い声と共に、フェルヴィアは拳を握り締める。その隣でレリアも俯き、小さく頷いた。
「わたしも……。このままじゃ、自分が何のために戦ってるのか、わからなくなる」
その言葉にミレアが勢いよく立ち上がった。
「ふざけないで! あんたたち、今さら逃げる気? 反乱軍がどうとか関係ないでしょ。ルクシア様の仇を討つためにここまで来たんじゃないの? それを裏切るなんて――」
「裏切りじゃない!」フェルヴィアが言葉を荒げた。「これは……自分の心に正直でいたいってだけだ!」
「言い訳!」ミレアは唇を噛み、レリアを睨みつける。「あなたまで同じなんて、信じられない!」
火花のように言葉がぶつかり合い、場の空気は一気に緊張に包まれた。
ルクシアは必死に声を上げる。
「待って、二人とも……! フェルヴィア、レリア。私は……まだ復讐を捨てられない。でも、国のことも考えずにはいられない。だから、お願い……」
だが、その懸命な言葉は二人に届かない。
フェルヴィアは首を振り、レリアは涙を浮かべながら俯いたまま。ミレアはなおも「裏切り者」と吐き捨てるばかりだった。
そのやりとりを、少し離れた場所からセレナが見ていた。
焚き火の赤が彼女の横顔を照らす。
「……くだらない」
小さく吐き出したその声は、誰にも届かない。
だがその視線は、仲間の混乱すべてを冷ややかに映していた。




