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伯爵の本音 伯爵と部下の会話 ルクシアとの話合の後
伯爵の居室。ルクシアが退出したあと、側近の男が口を開く。
側近「あの娘に、そこまで肩入れを?」
伯爵「肩入れなどしていない。ただ……利用価値はある」
側近「しかし、あのような素人同然の子供たちを前線に立たせるなど、狂気の沙汰では?」
伯爵「彼女たちは《力》を持っている。国王の側にいる“影の五人”――あれを真正面から叩けるのは、あの娘たちだけだ」
側近「確かに、妖精の力では互角……いえ、互角以上かもしれません」
伯爵「そして民は“英雄”を求めている。王家の血を引く少女が先頭に立てば、士気も上がる。“純粋な復讐者”というのは、都合がいい。お飾りとして、実に最適だ」
側近は苦い表情を浮かべた。
側近「戦が終わったあと……彼女たちを、どうなさるおつもりで?」
伯爵「妖精使いが政に関わっては混乱を招く。必要なら、彼女たちの力は“封印”する。死なせる必要はない。ただ……都合のいい場所にいてもらうさ」
窓の外には、夜風に揺れる旗。
伯爵はグラスを傾けながら、ひとつ、静かに吐息を漏らした。
伯爵「……正義とは、美しい仮面だ。だが、仮面の裏で笑う者こそ、真に勝者となる」




