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光と影の感情 伯爵の援助に揺れる五人



伯爵邸の離れの一室。簡素な寝台が並び、古いランプが柔らかく部屋を照らす。

ルクシアが扉を開け、明るい足取りで部屋に入ってくる。


「ねえ、聞いて! すごいのよ!伯爵、私たちに力を貸してくださるって!」


ミリアとフェルヴィアが目を丸くする。



「えっ……ほんとうに?」



「ええ、兵も、情報も!」


フェルヴィアが笑いながら身を乗り出す。

「すごいじゃん、ルクシア! 私たち、ついに“味方”ができたってことだね!」


「これでもう失敗しなくてすむかもしれない… 今度こそ……王を討てるかもしれない…」


レリアも思わず拍手を打つ。


笑い声が弾ける。室内の空気が、久々に明るさで満たされる。

……だが、その輪の外に、一人だけ沈んだ影が立っていた。



「……浮かれすぎだ」


皆の笑顔が一瞬止まり、セレナの方を振り向く。

彼女は部屋の片隅、窓際で腕を組んでいた。窓の外、闇に煙る森を見つめている。


「なによ、セレナ。素直に喜べばいいのに」


「“兵も情報もくれる”……ね。見返りを求めない大人なんていない」


沈黙が落ちる。


「伯爵は、私たちの戦いに“意味”を見たわけじゃない。ただ、“都合がいい”と思っただけ」


「……でも、協力してくださるのよ? 本当に優しくて、話もちゃんと聞いてくださって……」


「それが一番、危険なのよ」


ルクシアの笑顔が揺らぐ。フェルヴィアが口を開こうとするが、ミリアがそっと手を握って止める。

セレナは一歩、窓から離れ、壁にもたれかかる。



「優しい言葉で、判断を鈍らせないで。あいつは私たちを、飾りにしようとしてる」


ルクシアはそれでも笑みを作ろうとするが、頬が引きつっているのがわかる。

フェルヴィアも何か言い返しかけたが、飲み込んだ。


そのまま、部屋には静かな余韻だけが残った。

喜びと不安、光と影――その境界線が、静かに浮かび上がる夜だった。


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