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伯爵と部下の会話ルクシアの印象 1―3
静かな書斎。謁見を終えた後の余韻。部下がそっと扉を閉める。伯爵は窓のそばに立ち、腕を組んで考え込んでいる。
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部下が声をかけた。
「……どうされました? 思ったより悪くなかったのでは?」
伯爵はしばらく間をおいて
「ああ、そうだな。いや、むしろ……想像以上に面白かったよ。」
「でしたら……?」
「ただな、あの娘が、あんな“異才の集まり”を自然と引き寄せたってのが、ちょっと……できすぎてる気がしてな。」
「偶然……とは思えない?」
「うん。呼び合ったのか、惹かれ合ったのか……あるいは、もっと別の何かが働いたのか。どちらにしても、人の理屈だけじゃ説明できん。」
伯爵は椅子に腰掛けてため息をついた
「まあ、こういうのは昔から“神意”とか“運命”とか言うんだろうが……私は、そういうのが一番信用ならん。」
「……まさか妖精たちが、なにか意志を?」
「ありえないとは言わんさ。でもな、理屈が通らないものは、たいてい人間の手に余る。だからこそ……頼りたくはないんだよ、そういう力には。」
伯爵は苦笑いしていた。
「不確かすぎてね。管理する側からすれば、気が気じゃないんだよ。」




