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別れの見送り



日が経ち、蓄えもできた頃。

ルクシアたちは酒場を離れる決断をする。


「……そろそろ、また旅に出ます」


そう告げたルクシアに、女主人は黙って頷いた。

そしてそっと、袋に詰めた銀貨を差し出す。


「これだけ持っていきな。あんたらの出演料さ。余計な口はきかないよ。でもね、道中、ちゃんと食べるんだよ。あんたたち、まだ子供なんだからね」


ルクシアはその手を握って、こらえきれずに泣いた。


「……ありがとうございます……本当に……このご恩は忘れません……ありがとう……ございます……」


女主人も、言葉少なに少女たちの背をそっと撫でた。


「……まったく……母親ってのは、こういう時が一番つらいんだよ……」


そういうと女主人は一人一人抱きしめた。

まだ多少母親の存在が必要だった彼女らにはそれが十分すぎる贈り物だった。

一人また一人と泣き始めていた。

すると女主人も泣いていた。



朝日が昇り、ルクシアたちは街の門へと歩き出す。


酒場の女主人と、数人の常連客が見送りに来ていた。

バレント、ジル、トマスもいた。みんな酒場の常連でルクシア達を何かと助けてくれた。

「元気でな」「また来なよ」「気をつけて!」


手を振るルクシアたちに、惜しみない拍手と声が送られる。


振り返ると、女主人が静かに微笑んで手を振っていた。


フェルヴィアはぽつりと言った。


「……あの人、母さんみたいだったね」


リレアが静かに涙をこぼす。


セレナは黙って遠くを見るだけだったが、その頬に一筋、涙が光っていた。


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