街角の灯りの下で ~ルクシアたちと酒場の女主人~
夕暮れの赤みが石畳を照らすころ、小さな街の外れにある古びた酒場に、五人の少女がそろって立っていた。
中に入ると、木製のカウンターの奥で、恰幅の良い中年の女性がグラスを拭いている。
「……演奏させていただけませんか?」
ルクシアが少しだけ背筋を伸ばして、そう言った。
女主人は彼女たちをじろりと見て、眉をひそめる。
「子供だけで? ……悪いけど、ここは遊び場じゃないよ。酔っ払い相手に恥かくのがオチだよ」
ルクシアはぐっと唇を結び、一歩前に出る。
「でしたら、一度だけ、私たちの演奏を聴いていただけませんか? ここで。今すぐ」
その目が真剣だった。
女主人は数秒見つめたのち、ため息とともに頷いた。
「……一曲だけだよ。聴いて、ダメだと思ったらすぐ帰ってもらうからね
角の小さな舞台にルクシアたちは立った。
短い打ち合わせの後、静かにルクシアの歌声が響く。
──それは、ただの歌ではなかった。
透き通るようでいて、どこか懐かしく、どこか哀しい声。
女主人の手が止まり、カウンターの奥でじっと耳を澄ます。
他のメンバーの奏でる音色も、どこか風のように静かで心地よい。
演奏が終わった瞬間、女主人はぽつりとつぶやいた。
「……あんたの声、なんだい、これは……不思議だね。心の奥が温かくなるような……」
そして一言、
「いいよ。あんたたち、ここで演奏しておくれ。何日でも、好きなだけ」
「で、あんたたち、名前は?」
「 本名じゃなくていいよ、芸名ってやつを名乗りな」
女主人は最初から訳ありだということを分かっていたようだった。
過去にもそんな連中はたくさんいたのだろう。
ルクシア達はそれぞれ偽名を使った。
「私は……“リュミエール”と呼んでください」
とルクシア
セレナ無表情で
「……シェイド」
ミリアは微笑して
「ヴェイルで」
リレアは小声で
「リリィ、です……」
フェルヴィアは自信満々に
「アタシは“ファルカ”。かっこいいだろ?」
【試しの一曲】
角の小さな舞台にルクシアたちは立った。
短い打ち合わせの後、静かにルクシアの歌声が響く。
──それは、ただの歌ではなかった。
透き通るようでいて、どこか懐かしく、どこか哀しい声。
女主人の手が止まり、カウンターの奥でじっと耳を澄ます。
他のメンバーの奏でる音色も、どこか風のように静かで心地よい。
演奏が終わった瞬間、女主人はぽつりとつぶやいた。
「……あんたの声、なんだい、これは……不思議だね。心の奥が温かくなるような……」
そして一言、
「いいよ。あんたたち、ここで演奏しておくれ。何日でも、好きなだけ」




