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【黒い森の邂逅】セレナに協力を求めるルクシア


 黒い森の奥、ひっそりとした開けた空間に三人の影があった。

 陽は木々の合間から細く差し込み、沈黙に包まれた空間にわずかな光を投げかける。


 セレナは背を木に預けたまま、腕を組み、じっとルクシアを見つめていた。

 深紅の瞳には揺らぎがない。冷ややかな視線だけが、微動だにせず相手を量っていた。


 「つまり……力を貸せと。復讐のために」

 彼女の声は柔らかく、それでいて感情のない静けさを宿していた。


 ルクシアはうなずき、力を込めて言った。


 「はい。私は……父のしたことを知っています。彼の罪も。そして、今の王はその延長線上にある。だから私が……終わらせたいんです」


 その言葉に、セレナはふうと短く息を吐き、軽く笑った。

 「ルクシア様のお気持ち大変共感いたします。素晴らしいです。王族たる身としてとても高潔なお考えです。」


  -言葉は肯定的だった。そして目は笑っていた。だがそれは冷笑とも言えるものだった。

その後もセレナはルクシアの話を聞いていた。というより聞いたふりをしていた。時折共感と賛同を示しながら…


 (……本心じゃないな)

 ミリアはその目を見て、即座に察した。


 セレナは話にうなずいてはいるが、内容には一切耳を傾けていない。

 それどころか、心の奥ではルクシアを見下して見ている――それが伝わってくる。


 (なのに……)

 隣にいるルクシアは、そんなセレナのわずかな微笑に、胸を熱くしていた。


 「ありがとう、セレナ……あなたのような人が仲間になってくれるなら、きっと……」


 (……単純すぎる)

 ミリアは、ルクシアの無防備な言葉に、知らず拳を握りしめていた。


 セレナが何を思っているか、どう考えているか――気づかないのだろうか。

 それとも気づいていて、目を背けているのか。


 そのどちらにしても、ルクシアの危うさがたまらなく腹立たしかった。


 「……仲間は、まだまだ必要なんです。もっと探したいと思っています」


 ルクシアが無邪気に言うと、セレナは一瞬だけ表情を硬くした。

 が、すぐに目を伏せ、静かな口調で応じた。


 「……あまり、大勢にするのは考えものですよ。動きにくくなるし、秘密も漏れやすい…」


 「人数が多ければ、それだけ安全」


 「…………たしかに。一理はある…」

 ルクシアがそういうとセレナは静かにそう言い、ほんのわずかに唇の端を上げた。


 (“楽勝”……ほんとうに、甘い)

 その笑みに、ミリアは再び冷たい怒りを感じた。


 「じゃあ、決まりですね! 皆で力を合わせて……!」


 ルクシアの言葉に、セレナはうなずいた。だがその瞳には、暗い炎が宿っていた。


 (私が“それ”を狙うのは、もっとずっと後……)


 ミリアは、そんなセレナの気配に震えるような危機感を覚えながら、なおも笑顔を浮かべるルクシアの横顔を見つめ続けた。

 ――この先、守らなければならないものが増えすぎる。

 だが、それでも。


 (私は……この人を守りたい)


 ミリアは、その決意を深めた。

一方セレナはミリアが自分をだんだん疑いの目でみていくのがわかった。

「こいつは要注意かな…」

セレナはルクシアの話を聞くふりをして注意はミリアに向かっていた。

時折ミリアをチラリと見るとこちらをじっと見ているのと目が合う。

その目は明らかにこちら、セレナを胡散臭いとでも言いたげな目だった。


セレナはできるだけルクシアにはわざと親しげに接した。

それはルクシアが求めてることでもあった。

一方ミリアはそういうセレナの態度が気に入らない。

でもなぜかルクシアはセレナと話すことが多くなった。

それはセレナの話術にうまく乗せられていたからだった。ミリアの嫉妬はだんだん大きくなっていった。


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