第二十話・第三節:力の解放
黒き大剣を構え、俺は足を踏み出す。
「試してやるよ、この力をな」
そう言い放った瞬間——俺の体が闇に溶けるように動いた。
怪物どもが群がる。
だが、俺の動きはそれをはるかに凌駕していた。
「——遅い」
刃を振るう。
漆黒の軌跡が空間を切り裂き、敵の群れを両断する。
一振りごとに、数十体が吹き飛ぶ。
黒い血が飛び散り、ダンジョンの壁に染み込んでいく。
それでも敵の数は減らない。
むしろ倒したそばから、新たな影が生まれる。
エリシアの援護も追いつかない。
「……キリがないな」
俺は一歩引き、敵の動きを見極める。
だが、その時——
『力を解放しろ』
仮面の声が脳内に響いた。
「——フッ」
息を吐き、俺は闇の力を解き放つ。
大剣の刃が脈動し、黒い稲妻が迸った。
「——砕け散れ」
俺がそう呟いた瞬間、大剣が禍々しい光を放つ。
刹那、俺の視界が一気に加速する。
敵の動きがスローモーションのように見えた。
(なるほど、そういうことか——)
俺は笑みを浮かべ、大剣を振り下ろした。
黒い斬撃が空間ごと引き裂き、前方の敵をまとめて消し飛ばす。
波のように押し寄せていた怪物の群れが、一瞬で”消えた”。
「……ッ!」
仮面の男が一瞬、表情をこわばらせる。
その顔を見て、俺は確信した。
(この力——こいつらが想定していたものを超えている)
ああ、そうか——納得する。
だからこいつらは俺を殺し、蘇ったあともエリシアに始末させようとした。
「……面白くなってきたな」
俺は、黒き大剣を構え直した。




