第二話・第四節:決着、そして異変
黒炎をまとった拳が、カボチャ頭の異形へと突き刺さる。
——ゴガァッ!!
鈍い衝撃とともに、カボチャの顔が激しく歪んだ。
その瞬間、空間全体がビリビリと震える。
異形は苦悶の声を上げながら、ゆっくりと後退した。
「グ……ギギ……!」
頭部に大きく亀裂が入る。
黒い霧のようなものが、そこから噴き出していた。
(……効いてる。こいつの”核”は、やっぱりこのカボチャの頭か)
なら、やることは一つ——
「——砕く!!」
俺は再び拳を振るった。
——ドゴォォォッ!!!
拳が異形の頭部を直撃する。
次の瞬間——
パキ……ンッ!!
亀裂が一気に広がり、カボチャの頭が砕け散った。
同時に、異形の身体が影へと溶け、崩れ落ちる。
「……終わったか」
俺はゆっくりと息を吐いた。
だが——
ゴゴゴゴ……ッ!!!
ダンジョン全体が再び揺れ始める。
「……何だ?」
カボチャ頭の異形が消滅した祭壇の中央から、黒い光が漏れ始めた。
それはまるで”闇の泉”のように、底知れぬ禍々しさを放っていた。
(……これは、ただのダンジョンのボス討伐じゃねぇ)
何か”別の力”が、この場所にはある。
俺は警戒を強めながら、ゆっくりと祭壇へと歩み寄った。
黒い光の中心に、“何か”が浮かんでいる。
それは——
「……黒い”仮面”?」
異様な存在感を放つ、闇に染まった仮面だった。
まるで俺を誘うように、仮面がふわりと浮かび上がる。
そして——
「蒼真……」
突然、どこかで聞き覚えのある”少女の声”が響いた。
「っ!?」
俺は周囲を見渡した。
だが、誰もいない。
ただ、仮面だけが、なおも不気味に漂っていた——。