表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/98

第十八話・第二節:白い少女の戯れ

 足元に広がる影が、不気味に蠢いていた。

 カボチャ頭の従者どもが次々と這い出し、黒い紋様の刻まれた異形の仮面が不気味に歪む。


「ふふ……やっぱり強いのね。でも、どこまでいけるかしら」


 白い少女がくるりと舞いながら、指を鳴らす。


 瞬間——


 カボチャ頭たちの胴体が膨張し、頭が弾け飛んだ。


 飛んだカボチャが、俺に向かって殺到する。


「っ……!」


 即座に闇の刃を振るう。

 だが、飛来するカボチャはまるで意思を持つように軌道を変え、再び俺を狙ってくる。


「あははっ! すごいでしょ?」


 少女が楽しげに笑う。


「私の可愛いカボチャ頭は頭部が爆発するの。しかも、ちょっとした魔法も込めてあるんだから。いっぱい楽しんでね、最強の死者さん」


 俺の動きを見透かしたかのように、カボチャが四方から迫る。

 それらが触れる寸前——


「……消えろ」


 闇の刃が螺旋状に広がり、周囲を一閃する。

 飛来するカボチャを一瞬で切り裂いた。


「もうッ! 雑なことをしないで。せっかく作ったんだから、もっとちゃんと遊びなさいよ」


 少女が不満げな顔をする。


 爆発の余波を受ける前に、俺は闇の力を解放し、その場から跳躍した。

 一瞬で間合いを詰め、少女へ向けて闇の刃を振るう——


 ——が、刃は虚空を裂くだけだった。


「ふふっ、やっぱり速いのね」


 少女は背後に瞬間移動していた。


 俺が振り向くより早く、彼女は手をかざし——


白焔はくえん


 白い炎が俺を包み込んだ。


 ——だが、その程度の熱では俺を止められない。


 闇の力を集中させ、一気に炎をかき消す。


 少女が目を見開く。


「わぁ……本当にすごい。こんなことまでできるのね」

「……遊びは終わりだ」


 俺は闇の仮面に手を触れた。


 瞬間——


 世界が歪んだ。


 ——俺の力が、また一段階高まるのを感じた。


「ふふっ……いいよ、その調子」


 少女が満足そうに微笑む。


「ねぇ、最強の死者さん。もっと、もっと見せて……」


 俺の体を包む闇が、これまでとは違う形を成し始める。

 黒い仮面が脈動し、視界が鮮明になった。


 敵の動きが、まるでスローモーションのように見える。


「へぇ……」


 白い少女が興味深そうに俺を見つめていた。


「やっぱり、あなたは特別ね」


 俺は言葉を返さず、地を蹴った。

 一瞬で彼女の懐に入り、闇の刃を振るう——だが、またも空を切る。


「ふふっ、惜しい」


 少女はふわりと舞い上がり、俺の刃の軌道を避ける。

 だが——


「もう逃げられないぞ」


 俺はすでに次の一手を繰り出していた。

 影が少女の足元から這い上がり、その体を絡め取る。


「こういうのは好きじゃないわ」


 少女が指を鳴らすと、白い光が迸り、影の拘束を焼き払った。


 その瞬間、俺は少女の背後に回り込んでいた。


「——しまっ」


 刃が、少女の肩を斬り裂く。


 白いドレスに血のような赤が滲んだ。


「わぁ……やられちゃった」


 少女は驚いたように肩を押さえ、それから——楽しげに笑った。


「やっぱり、あなたはとっても面白いのね」


 少女の足元から光が立ち昇る。

 気がつけば、彼女の周囲には無数のカボチャ頭たちが並んでいた。


「でもね、これはあなたのための舞台じゃないの」


 少女が手を掲げると、カボチャ頭たちが一斉に俺に飛びかかってきた。


「試してみたいわ。あなたがどこまで強くなれるのか」


 俺は無言のまま、闇の刃を振りかざした——。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ