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第十五話・第五節:謎の女

 白い巨人が、断末魔を上げながら崩れ落ちた。


 どす黒い血を撒き散らしながら、その巨体が地に伏す。


 俺は闇の刃を納めると、巨人の死骸を見下ろした。


「……こんなもんか」


 巨人は、最初期の異形らしい。


 オリジン・コアが生み出した”人類進化の実験体”。


 しかし、結果はただの”異形の怪物”だ。


 こいつを生み出した連中が、どんな理想を抱いていたかは知らないが——


 こんなものを”進化”と呼ぶつもりはない。


「——お見事」


 背後から、艶やかな声が響いた。


 俺は即座に振り向く。


 いつからそこにいたのか——


 黒髪、赤い瞳、漆黒のドレス。


 背には黒い蝙蝠の羽。


 妖艶な女が、微笑みながらこちらを見ていた。


「誰だ」


 俺は闇の刃を構える。


 が——


「怖い顔しないで。あなたに興味があって来ただけよ」


 女は微笑みを崩さず、歩み寄ってくる。


「あなた、強くなったわね。“死してなお歩む者”……ふふ、素敵な響き」


 “名前”を知っている?


 こいつ、何者だ。


「……貴様、オルド・ノクスの者か?」

「さあ?」


 女は肩をすくめる。


「私はただ、あなたに興味があるだけ。“世界の敵になる”って、そんなに悪いことかしら?」


 ——世界の敵。


 それが俺の行く道なのか?


「くだらないことを聞くな」


 俺は吐き捨てる。


「俺がどうなろうが、俺の勝手だ」

「……ふふ、そうね」


 女が微笑む——


 その瞬間だった。


「ギィィィィィ……」


 不快な音が響く。


 視線を向ければ——


「……カボチャ頭か」


 ダンジョンの闇から、“奴ら”が現れた。


 ぼろぼろのローブをまとい、首には腐ったカボチャの頭。


 異形の集団。


「チッ……こいつら、どこから湧いて出た」


 俺は刃を構える。

 その横で、エリシアが光のナイフを生み出す。


「問答無用で殲滅するわよ」

「言われなくてもな」


 カボチャ頭の異形が、一斉に襲いかかる。


 俺は闇の刃を振るい、エリシアは光のナイフを投擲する。


 刃と光が交差し、異形たちは次々に爆ぜ散っていった。


 だが——


 気づくと、“あの女”は消えていた。


「……チッ」


 あの女、何者だったんだ……?

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