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第十五話・第四節:最初期の異形

 カボチャの王を倒し、あたりが静寂に包まれる。


 俺は闇の刃を収め、ゆっくりと息を整えた。


 ドクン……ドクン……


 心臓が脈打つ。いや、これは——


 仮面だ。


 俺と融合した黒い仮面が、まるで意思を持つかのように脈動している。


 ——進め。

 ——もっと深くへ。

 ——真実を、その目で見よ。


(……真実?)


 ふと、頭の中に言葉が流れ込んでくる。


 だが、それを理解する間もなく——


 ズズズ……ズズズズズ……!!


「蒼真、前!」


 エリシアの声に反応し、俺は顔を上げた。


 そこにいたのは——


 白い巨人。


 身の丈は五メートルを超えるだろうか。


 だが、ただの巨人ではない。


 全身が白く、肌は滑らかすぎて生物らしさがない。


 まるで人体模型のような無機質な姿をしていた。


 顔には目も鼻も口もない。ただ、のっぺりとした球体のような頭部。


 そして、その両腕には——


 大剣。


 いや、それは剣ではない。


 両腕そのものが、異様に長い刃になっているのだ。


「……新手か」


 俺がそう呟いた瞬間——


 バシュン!!


 巨人が音もなく、瞬間移動するように俺の懐に入り込んできた。


(はや——)


 ギィンッッ!!


 俺は咄嗟に闇の刃を展開し、巨人の斬撃を受け止める。


 だが、重い。


 とんでもない腕力だ。俺の体ごと吹き飛ばそうとしてくる。


「ッ……!!」


 後方に跳び、距離を取る。


 すると、巨人はまた無音で移動し、俺を追ってきた。


(素早く、力もある……ただの雑魚じゃないな)


 じりじりと距離を測りながら、俺は闇の力を高める。


 その時——


 ——《オリジン・コア》の創造物。

 ——《オリジナル・ヒューマン》の試作体。


 仮面の意思が囁く。


「試作体……?」


 俺がそう呟いた瞬間、脳裏に映像が流れ込んできた。


 白衣の研究者たち。

 培養槽に浮かぶ、白い肉塊。

 それを見下ろす者たちの、無感情な視線。


 ——人類は、進化しなければならない。

 ——だからこそ、我々は神の手を取るのだ。


「……!」


 目の前の白い巨人は——


 人類進化のために生み出された、最初期の異形。


 俺はそう理解した。


 同時に、巨人が再び間合いを詰め、両腕の刃を振りかぶる。


「……チッ」


 俺は地を蹴り、一気に距離を詰めた。


「どうせ、お前も”人間”じゃないんだろ?」


 闇の刃を握りしめ、力を込める。


「だったら、容赦はしない」


 ズバッ!!


 次の瞬間、俺の刃が白い巨人の胴体を両断した。

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