第二話・第二節:カボチャ頭の異形、襲来
カボチャの怪物を一体、また一体と砕きながら、俺は戦いの感覚を研ぎ澄ませていた。
黒炎をただ振るうのではなく、“打撃の威力を底上げする”形で使う。
そうすれば、耐性を持つ敵にも通じることがわかった。
そして——
「これで終わりだ」
最後の一体の頭を拳で砕いた瞬間、ダンジョン内の空気が変わった。
静寂。
カボチャの怪物たちの亡骸は、黒い霧となって消え去った。
俺は呼吸を整える。
(……これで全部か?)
そう思った矢先——
ゴゴゴゴ……ッ!!
ダンジョン全体が震えた。
次の瞬間、祭壇の上にいた”カボチャ頭の異形”が、ゆっくりと両腕を広げた。
「……マアダ、オワラナイ……」
その声は、地の底から響いてくるような不吉なものだった。
ズ……ズズズ……ッ!!
カボチャ頭の足元から黒い影が広がっていく。
それは床を這い、壁を伝い、天井へと伸びていく。
そして——
「……ッ!!」
影の中から”無数の手”が現れた。
細く、異様に長い指。
爪は鋭く、まるで闇そのものが具現化したような異形の手。
(……こいつ、さっきまでの雑魚とは格が違う)
直感的にわかった。
カボチャ頭の異形が、ゆっくりと俺を指さす。
「試練ハ、コレカラダ……」
次の瞬間——
ズバァン!!
黒い手の群れが、俺へと襲いかかってきた。
俺は反射的に身を翻す。
次の瞬間、さっきまで俺が立っていた場所が、まるで”腐食する”ように黒く溶けた。
(……今のを食らったら、ただじゃ済まねぇな)
カボチャ頭の異形は、なおも不気味な光を目から放ち、俺を見つめている。
(どうする……?)
俺は周囲を素早く見渡した。
戦いながら”こいつの弱点”を見極めるしかない。
次の攻撃に備え、俺は拳を握り、黒炎をさらに研ぎ澄ませる。
“本当の戦い”は、これからだった——。