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第十一話・第二節:影より生まれしもの

 闇の中から現れたのは、異形の怪物だった。


 それは人の形をしているが、明らかに”人”ではない。


 体は黒い霧のように揺らめき、顔はぼんやりとした仮面のようなもので覆われている。


「……新手か」


 俺は闇の刃を構え、一歩前に出る。


「こんなの、今までのダンジョンにはいなかった……!」


 エリシアが驚愕の声を上げる。


「ってことは、こいつらは”このダンジョン”に特有の敵ってわけか……」


 カインが剣を抜き、低く構えた。


 その瞬間——


 影の怪物が、一斉に俺たちへと襲いかかってきた!


「っ……!」


 俺は反射的に闇の刃を振るう。


 黒い刃が闇の怪物の体を裂いた——はずだった。


 だが、怪物の体は霧のように散り、すぐに元の形に戻る。


「……チッ、実体がないのか」


 厄介な相手だ。物理攻撃が通らないとなると、別の手を考えなければならない。


「後ろ、来る!」


 エリシアの声に反応し、俺はとっさに横へ飛んだ。


 次の瞬間、俺がいた場所を影の爪が引き裂く。


 速い——!


「くそっ、どうすりゃいいんだ!」


 カインが焦りながら剣を振るうが、同じように効果がない。


「普通の攻撃じゃダメみたい……なら!」


 エリシアが両手を組み、魔力を集中させる。


「——光よ!」


 彼女の掌からまばゆい光が放たれ、周囲を照らした。


 その瞬間——


 影の怪物が苦しむようにのたうち回った。


「……効いてる?」


 俺はすかさず、闇の刃を怪物に突き立てる。


 すると今度は、確かに手応えがあった。


「光で実体を持つ……そういう仕組みか」

「つまり、エリシアが光を当ててる間に倒せばいいってことだな!」


 カインが意気込む。


「ええ、でも長くはもたない……急いで!」


 エリシアが必死に魔力を注ぐ。


 その間に俺とカインは、一体ずつ確実に仕留めていった。


 影の怪物たちは次々と倒れ、やがてすべてが霧散する。


 静寂が戻った。


「……なんとかなったか」


 カインが息を整える。


 エリシアも肩で息をしながら、安堵の表情を浮かべた。


 だが——


 俺の胸には、言い知れぬ不安が残る。


(……こいつら、一体何なんだ?)


 このダンジョンがただの迷宮ではないことは明らかだ。


 何者かが意図的に作り上げた……しかしいったい何のためにこんなものを作り出した?

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