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第十話・第一節:揺らぐ境界線

 異変を感じ取った俺たちは、急いでダンジョンの入り口に向かった。


 変異した門は閉ざされており、俺たちの侵入を固く拒んでいる。


「いったい何が起きているの……私たちの侵入を拒むなら、新たな入り口が出現する必要なんてないのに……」


 エリシアが不安げに言う。彼女の瞳は闇に沈んだ門を鋭く見つめていた。


「まさか……何かが中から出てこようとしているんじゃないだろうな」


 カインが低く唸る。


(俺は変化した。門も変化した……これは偶然なのか? それとも……)


 考えながらも、俺は自身の手を見つめた。さっきの戦闘で使った闇の刃の影響か、指先の感覚はまだ鈍い。


(……この力を使うたびに、何かが削られていく)


 それが何なのかは分からない。だが、本能が警鐘を鳴らしていた。


「蒼真、不安なの?」


 エリシアの声が意外と近くから響き、俺は顔を上げた。


「……いや、大丈夫だ」

「それならいいのだけど。さっきから様子が少し変よ……」


 彼女はじっと俺を見つめる。その瞳の奥に、微かな揺らぎがあった。


(こいつ、やけに鋭いな。俺の態度はそんなに不自然なのか? それとも……こいつ自身が何かを知っているのか……)


 いや、ただ単純に観察力に優れているだけかも知れない。しかし、それにしては……。

 俺の思案は長くは続かなかった。目の前の光景が俺たちの思考を吹き飛ばした。


 ——ダンジョンの門が、ゆっくりと開かれつつあった。


「おい……冗談だろ」


 カインの声が硬直する。


 中から吹き出す冷たい空気。霧のような闇が流れ出し、俺たちの足元を這うように広がる。


「……来るぞ」


 俺は無意識に身構えた。


 エリシアも腰のナイフを握りしめ、門の奥を見つめる。その表情は……どこか、複雑なものだった。


(やはり何かを知っている……? いや、まさか……)


 思考がまとまる前に、門の奥から”何か”が這い出してきた。

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