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第八話・第五節:闇の力の代償

 カインの拳が迫る。


 その瞬間——俺は無意識のうちに、闇の刃を生やしていた。


 刃が鈍い光を帯び、空気を裂く。


「——っ!」


 カインは寸前で軌道を変え、俺の脇を抜けるように回り込んだ。


 そして——すぐさま背後から蹴りを放つ!


「ぐっ……!」


 俺の身体が前のめりに崩れた。


 ——しまった、完全に読まれていた。


 カインの動きは正確で、一切の無駄がない。俺の反撃の間合いを見極め、確実に仕掛けてくる。


「その闇の刃……強力だが、お前はまだ扱いきれてねぇな」


 カインは間合いを取りながら冷静に言った。


「確かに力はすごい。だが、その力に頼りすぎてるせいで、お前自身の動きが単調になってる」


 俺は歯を食いしばる。


 確かに、今の俺はこの『闇の刃』に頼りすぎていた。


 蘇ってからというもの、俺の身体能力は格段に向上した。だが、それに甘えてしまい、元々の戦闘技術を磨くことを怠っていたのかもしれない。


「……たしかに、そうかもな」


 カインはニヤリと笑う。


「いいじゃねぇか、その自覚があるなら伸びしろはある」


 そう言うと、彼は拳を構え直した。


「この戦い、まだ終わりじゃねぇぞ?」


「——ああ、もちろんだ」


 俺も構えを取り直す。


 次の瞬間——俺の闇の刃が、また一段と黒く脈動した。


「……っ!」


 身体の奥から、何かが疼く感覚がする。


 そして、視界の端に映ったエリシアの表情——彼女の紅い瞳が、不安げに揺れているのがわかった。


(……俺は、どこまでこの力を使っていいんだ?)


 そんな疑念が頭をよぎる中、再びカインが襲いかかってきた——!

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