第八話・第四節:試される力
「お前の力が危険であることに変わりはない」
リーダーの低く響く声が、部屋の静寂を切り裂いた。
「だが、お前が本当に俺たちの味方になり得るのなら、その力を見せてもらおう」
「試すってことか?」
俺はリーダーの意図を察し、片眉を上げる。
「そういうことだ」
リーダーは無言で部下に目配せをした。
すると、部屋の奥から数名の戦士が前に出る。そのうちの一人は、体格のいい屈強な男だった。全身に傷が刻まれ、場数を踏んだ戦士であることが一目でわかる。
「レジスタンスの実力者、カインだ」
リーダーが男を紹介する。
カインは俺を値踏みするように見つめ、口の端を持ち上げた。
「お前がどれほどのもんか、確かめてやるよ」
その瞬間、彼が床を蹴った。
速い——!
目の前にいたはずのカインが、次の瞬間には俺の懐に踏み込んでいた。
「っ!」
咄嗟に後ろへ跳んで距離を取る。
だが、その動きにカインは追随してきた。
彼の拳が唸りを上げる。
俺はギリギリで回避するが、カインの動きに一瞬の無駄もない。まるで長年鍛え上げられた武人のような鋭さだった。
「どうした、さっきの勢いは!」
カインの拳が再び俺を狙う。
ここで俺は決断した。
(普通に戦っても、埒が明かないな)
俺は左腕に意識を集中する。
黒い靄が腕にまとわりつき、形を成す。
次の瞬間——闇の刃が俺の腕から生えた。
「なっ……!?」
カインの表情が一瞬、驚きに歪む。
その隙を逃さず、俺は刃を横薙ぎに振るった。
カインは寸前で後方へ飛び退く。
彼の胸元をかすめた刃が、空気を裂いた。
「へえ……やっぱり、普通じゃねえな」
カインはニヤリと笑うと、拳を握り直す。
「その力……もう少し試させてもらうぜ!」
次の瞬間、カインが地面を蹴り、俺に向かって猛然と突っ込んできた——!




