表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/98

第六話・第二節:空間の裂け目から現れたもの

 ズズズ……


 耳障りなノイズのような音が響く。


 街の外れに浮かぶ黒い亀裂。


 まるで虚空に傷がついたようなその裂け目から、“何か”がゆっくりと姿を現そうとしていた。


「……また厄介なもんが出てきたな」


 俺は舌打ちしながら構える。


 さっきの”監視者”も十分異常だったが、この亀裂から漏れ出る雰囲気はそれ以上にヤバい。


「蒼真、警戒して」


 少女が緊張した面持ちで警告する。


 俺が答えるよりも先に——


 ズシャッ……!


 裂け目から”何か”が這い出てきた。


 それは——


「……カボチャ?」


 俺は思わず眉をひそめた。


 裂け目から姿を現したのは、人間ほどの大きさをした”カボチャ頭”の異形だった。


 しかし、それは今まで遭遇したカボチャ頭とは明らかに違っていた。


 その体躯は異常なほどに巨大で、肩幅も広く、四肢は不気味に長い。


 まるでスーツを着た紳士のような佇まいをしているが、その顔——つまりカボチャの部分には、いくつもの裂け目があり、無数の赤い瞳が蠢いていた。


「……うわ、気持ち悪ぃな」


 思わず呟く。


「“通常のカボチャ頭”とは違う……これは”上位種”かも」


 少女の声にも緊張が混じる。


 カボチャ頭の上位種——?


 そいつはゆっくりとこちらを見下ろしながら、一歩、また一歩と近づいてくる。


 すると——


「■■■■■■■■■……」


 カボチャ頭が、“言葉”を発した。


 耳障りなノイズと、不協和音のような響き。


 人の言葉ではない。


 それどころか、聞くだけで脳が焼かれそうなほどの”異質な音”だった。


「っ……!」


 俺は頭を押さえる。


 強烈な不快感が、脳髄を突き刺した。


「気をつけて……“声”が、精神に直接影響を与えてる!」


 少女が叫ぶ。


 このままじゃマズい——


 俺はすぐに闇の力を練り、頭の中を”浄化”するように意識を集中させた。


 すると、ノイズが少しずつ薄れ、意識がはっきりしてくる。


「……クソ、こんな手まで使ってくるのかよ」


 俺は拳を握る。


 そして、目の前の”上位種”を睨みつけた。


「だったら、ぶっ飛ばすまでだろ」


 再び戦闘態勢を整える俺。


 カボチャ頭の上位種も、それに応じるようにゆっくりと両腕を持ち上げた。


 次の瞬間——


 戦いの幕が切って落とされた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ