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第四話・第四節:迎撃戦

 銃口が俺に向けられた瞬間、全身の血が沸き立つような感覚に襲われた。


 ——来る。


 オルド・ノクスの兵士たちは迷いなく引き金を引いた。


 ババババババッ!


 無数の銃弾が夜の闇を切り裂き、俺に向かって殺到する。


 普通の人間なら、ここで終わりだっただろう。

 だが、俺は——


「——遅えよ」


 右手を振るう。


 その一瞬、空気が歪んだ。


 黒い影のような何かが俺の腕から広がり、銃弾をすべて弾き飛ばす。


「なっ……!?」


 兵士たちの驚愕の声が聞こえる。


 俺の体の内側から、得体の知れない力が溢れ出しているのを感じた。

 黒く脈打つオーラ——まるで生き物のように蠢く闇の波動。


「……こいつが、俺の”力”か」


 悪くない。


 不意に、兵士たちの一人が肩に付けた通信機に手を伸ばす。


「対象、確認! 報告する——『死を超越した兵士』、起動を確認!!」


 その言葉がトリガーだった。


 兵士たちが一斉に陣形を組み直し、俺を囲むように動く。


「やる気満々ってわけか……上等だ」


 俺は軽く息を吐くと、地面を蹴った。


 瞬間、視界が一気に流れる。


 ——一歩で距離を詰める。


 銃を構える兵士の目の前に、俺の姿があった。


「……ッ!?」


 俺の動きに対応しきれなかった兵士の喉元を、黒い腕が貫く。


 ズシャッ!


 抵抗する暇もなく、兵士の体が宙を舞い、地面に叩きつけられた。


「化け物が……!」


 別の兵士が叫び、グレネードを取り出す。


「ッ……!」


 俺はすかさず距離を取る——が、間に合わない。


 グレネードが俺の足元に転がり、閃光と爆発音が夜を引き裂く。


 ——ドォォォン!!


 炎と煙が巻き上がる。


 だが——


「……これくらいで、止まると思ったか?」


 爆炎の中から、俺はゆっくりと姿を現した。


 外套は焦げているが、ダメージはほぼ皆無。

 自分でも驚くほど、“この体”は頑丈にできている。


「バケモノめ……っ!」


 兵士たちは恐怖に駆られ、後ずさる。


「逃がすわけねぇだろ」


 俺は闇の力を右腕に集中させる。


 黒いエネルギーが螺旋を描きながら収束し——


「——喰らえよ”死者の一撃”」


 俺の拳が地面を砕いた。


 ——ズガァァァン!!


 衝撃波が兵士たちを吹き飛ばし、装甲車を横転させる。


「……!」


 生き残った兵士たちは、慌てて撤退を開始する。


「チッ……逃げるか」


 追うべきか。


 だが、その時——少女の声が飛んできた。


「追わないほうがいい! “監視者”が来る!」

「……監視者?」


 少女が指さした方向——そこには、黒い霧の中から”何か”が現れようとしていた。


 ——ゾワリ、と。


 首筋に走る、得体の知れない悪寒。


「これは……」


 俺は思わず、拳を強く握りしめる。


 ——最強の死者の戦いは、まだ終わらない。

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