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第四話・第三節:最強の死者、始動

 少女の言葉が胸に残る。


「考える時間はそう長くないわよ」


 確かに、その通りだ。


 俺の存在が”予定外”であるならば、いずれオルド・ノクスとやらが動き出す。

 その前に、俺自身の在り方を決めなければならない。


 俺は何者なのか。

 何のために蘇ったのか。

 ……そして、俺がこの力をどう使うのか。


「決めるしかねえよな」


 小さく呟き、拳を握る。


 ドクン——


 その瞬間、俺の全身を電流のような感覚が駆け抜けた。


「……っ!」


 視界が暗転し、脳内に無数の断片的な映像が流れ込んでくる。

 それは——俺が死ぬ直前の記憶。


 雨の降る夜。車のブレーキ音。俺の体を突き飛ばす強烈な衝撃。視界がぐるりと回転し、激しく地面に叩きつけられる感覚。

 遠ざかる意識の中で、何か機械的な音が聞こえた。……そして——“誰かの声”が。


(……誰だ?)


 事故の瞬間、確かに俺は死んだはずだった。

 だが、その直後の記憶が、まるで”カット”されたかのように抜け落ちている。


 もしかして、あの瞬間——俺は”回収”されたのか?


「大丈夫?」


 少女の声が意識を引き戻す。


 俺は深く息を吐き、ゆっくりと頷いた。


「……問題ない」


 そう言った瞬間だった。


 ——警報音が鳴り響く。


 廃墟の街に、耳をつんざくようなアラームが響いた。


「これは……!」


 少女が険しい表情を見せる。


 次の瞬間——遠くの建物が爆発した。


 夜空に舞い上がる炎。瓦礫が砕け散る音。


 そして、その向こうから現れたのは——


 黒い装甲車と、全身を装甲で覆った兵士たち。


「オルド・ノクスの部隊……!」


 少女が苦々しく呟く。


「チッ……随分と早いお出ましだな」


 俺は舌打ちしながら、拳を握る。


「“考える時間”は、もうなさそうだぜ」


 オルド・ノクスの兵士たちは、一斉に銃を構えた。


 ——最強の死者の力が試される時が来た。

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