第四話・第一節:暴かれる真実
ホログラムに映し出された映像を、俺は無言で見つめていた。
白い研究施設の中、整然と並んだ培養カプセル。
その中で、俺とまったく同じ姿の”誰か”が目を閉じて眠っている。
——いや、違う。
“誰か”じゃない。
これは、間違いなく”俺”だ。
しかも一人や二人じゃない。
「……どういうことだ?」
絞り出すような声で問いかけると、少女はホログラムを消し、紅い瞳を俺に向けた。
「そのままの意味よ。お前は、“造られた存在”なの」
その言葉を、俺はすぐには受け入れられなかった。
確かに俺は一度死んだ。そして蘇った。
だが、それが何かの”計画”によるものだと?
「信じられないかもしれないけど、これが事実よ」
少女は静かに言葉を続ける。
「お前が目覚めたとき、青い瞳になっていたでしょう? それは”ある条件”を満たした者にだけ現れる特徴なの」
俺は思わず目を細めた。
「……何の条件だ?」
少女は一瞬ためらったが、やがて小さく息を吐き、言った。
「“死を超越した存在”になること」
心臓が、ひとつ跳ねた気がした。
「ダンジョンの出現と、お前の復活には共通の黒幕がいる。そして、その黒幕は”死を超越する兵士”を造ろうとしている……お前のような存在をね」
「……俺が、その”兵士”だと?」
少女は真っ直ぐに頷いた。
「お前は、“彼ら”の実験の一つの成功例。でも、それだけじゃない。お前にはまだ”役割”があるのよ」
「役割……?」
少女は視線を逸らさずに言った。
「お前は、“世界の敵”にされる運命にある」
その言葉に、背筋が冷たくなるのを感じた。