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第三話・第四節:レジスタンスの少女の目的

 冷たい夜風が吹き抜ける。

 ダンジョンの入り口前、静まり返った廃墟の街に、俺と少女だけが立っていた。


「……お前の力と、ダンジョンの出現。無関係ではないのでしょう?」


 そう言った少女は、まるで俺のすべてを見透かすように紅い瞳を細める。


 俺は警戒を解かずに答えた。


「さあな。俺が知りたいくらいだ」


 それを聞いた少女は、少しだけ口元を歪める。


「……とぼけるつもり? それとも、本当に何も知らないの?」


 その声には探るような色が滲んでいた。

 どうやら、こいつは俺のことを”知っている”側の人間らしい。


「お前は誰だ?」

「レジスタンスの者よ」


 少女はそう名乗った。


 レジスタンス。

 つまり、何かしらの”支配”や”権力”に対して抗っている組織ということか。


「レジスタンスが、俺に何の用だ?」


 俺の問いに、少女は少しだけ目を伏せ、何かを考えるような素振りを見せた。

 そして、静かに言葉を紡ぐ。


「……この世界は、おかしいのよ」


 俺は黙って続きを待った。


「ある日突然、“ダンジョン”が現れた。そして、それに呼応するかのようにお前のような異質な力を持つ者が現れた。……だけどそれは偶然じゃない。すべて”仕組まれたもの”なのよ」


「仕組まれた?」


 少女はコートの裾を翻しながら、一歩、俺に近づく。

 そして、じっと俺の青い瞳を見つめながら、はっきりと告げた。


「お前も、その”計画”の一部……そうでしょう?」


 その言葉に、俺の胸がざわめく。

 ——まるで、俺が”造られた存在”だと言わんばかりの口ぶりだ。


 俺は低く息を吐き、少女を見据える。


「……証拠は?」


 少女はポケットから小さなデバイスを取り出し、スイッチを入れた。

 直後、暗闇の中にホログラムが浮かび上がる。


 映し出されたのは、どこかの研究施設の映像。

 そして、そこに映っていたのは——


 無数の培養カプセルの中で眠るたくさんの”俺”の姿だった。

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