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第三話・第三節:帰還とレジスタンスの少女との邂逅

 仮面を手にした俺は、祭壇を後にし、ダンジョンの出口へと向かった。

 洞窟のような通路は、先ほどまでの異形との激戦の余韻を残している。

 破壊された壁、焦げた床、そして黒く染まった血痕。


(……まるで戦場の跡だな)


 自分の戦いぶりを改めて思い返すと、今の俺がどれほど”異常”なのかがよく分かる。

 かつての俺は、ただの人間だった。

 だが、今は違う。


 死から蘇り、未知の力を得た”最強の死者”——それが今の俺だ。


 この力が何なのか、まだ完全には理解していない。

 だが、一つだけ確信がある。


 ——俺は、もう”普通の人間”ではない。


 ザッ……ザッ……


 足音を響かせながら、俺は出口へと歩を進めた。

 そして、やがて薄暗いトンネルの先に、月光のような淡い光が見えた。


(……ここが、出口か)


 俺は警戒を解かずに進む。

 ダンジョンの奥にあった祭壇の異常性を考えれば、まだ何が起こるか分からない。


 そして、ダンジョンの入り口まで戻ったとき——


「……やっと出てきたのね」


 静かな声が響いた。


 俺は即座に身構える。

 そこに立っていたのは、一人の少女だった。


 癖のある白く長い髪、雪のように白い肌、憂いのある紅い瞳——その姿は、夜の闇の中で際立っていた。

 彼女の纏う黒いコートが風に揺れる。


(……アルビノか?)


 一般的に珍しい特徴を持つ少女。

 だが、それ以上に”ただの人間”とは思えない異様な雰囲気があった。


「お前は?」


 俺が問いかけると、少女はゆっくりと歩み寄る。

 そして、まっすぐに俺を見つめ、こう言った。


「……お前の力と、ダンジョンの出現。無関係ではないのでしょう?」


 その言葉に、俺は思わず目を細める。


(……何だ、こいつ)


 この少女——俺の”異常”を、見抜いている。

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