勇者犬ハスキーの詩~異世界転移をして更に賢くなったハスキーの話
「ワンワンワン!」
「カイザー!ただいま!」
僕はハスキー犬のカイザー、ご主人一家の健児君が帰って来たのでお出迎えなのだ!
健児君はお散歩マスターなのだ。ルートをその日の天気に合わせて選択できるのです。
僕のおかげなのだ。
さあ、飛びつくぞと思ったら。
ボア~
光に包まれて。
「カイザー!眩しい!」
知らない場所に来たのだ。
☆☆☆グランドル王国召喚の間
「勇者様~召喚!」
「ワンワンワン!」
ザワザワザワ~~
「犬?!」
「オオカミ?」
「賢そうな顔をしているが犬だ?」
「そんな。あちらの世界の15歳の少年を召喚したのに・・」
「ワ~ン?」
あれ、人間の言葉が分かるようになったぞ。
だけど、
「ワンワンワン!」
としか話せない。
「・・・これは、ステータスオープン!」
「ジョブ犬、スキル、気弾、飛翔?!翻訳スキルワンダフル・・・」
「「「「はあ~」」」
「もう一回やるには魔石が足りない!」
「ええい。とりあえず行かせろ!儀式を行うぞ!」
「御意!」
・・・・・
「勇者殿、山にドラゴンが住み着いている。退治されよ」
「ワン!」
僕は馬車に乗せられて、山に行ったのです。
「さあ、ここからは勇者様にお願いします。あの洞窟に住んでいます」
「ご飯とおやつはここに置いておきます」
「ワン!」
僕は洞窟に向かって吠えたのです。
「ワンワンワンワン!ワオ~~~ン!」
ご飯を食べて。
「ワンワンワンワン!ワオ~~~ン!」
おやつを食べて
「ワンワンワンワン!ワオ~~~ン!」
すると出てきたのです。
【うっさい!お前はフェンリルか?】
「ワン!」
「しかし、我を恐れぬとは、鑑定!・・・何だと、犬だと!ただの犬?そんな・・犬は我を見たら逃げ出すぞ。相当な犬だな」
ボム!
デッカいトカゲが赤黒いお姉さんになったのです。角があるのです。
「ほら、これをやるから鳴くな」
「ワン!」
ボト!
大きなお肉をもらったのです。
「ハア、ハア、ハア」
「しかし、分からぬ。我を前にして恐れぬとは何を望む?念話!」
「何?お散歩?遊んで欲しいだと?」
「ワン!」
・・・・
お姉さんと遊んだのです。
「綱をつけて欲しいとは珍妙な生物だのう」
「ワン!」
「何?これが絆だと?フン!」
「ほら、ボールだ!取ってこい」
「ワン!」
「お前、空飛べるだろう。やって見よ」
「ワン!」
フワ~~~
「キャインキャイン!」
「自分で飛んで驚くな!」
それからお姉さんに修行をつけてもらったのです。
「ワオ~~~~ン!」
ダンダン!
「よし、それが気弾だ!」
吠えたら、木が倒れたのです。
お姉さんにお願いしたのです。芸を覚えたいのです。上手くできないのです。
「お手!」
「ワン!」
「お座り!」
「ワン!ワン!」
「おい、動くの早いぞ!」
「待て!・・・いい。涎が垂れているぞ!ヨシ!」
「ワン!」
それからお姉さんとお話をしたのです。
「何?異世界から連れてこられたのか?」
「ワン!」
「非道な。我はただこの場所が気に入っているだけだ。人族の街は襲わないぞ!文句を言ってやる!」
☆☆☆王宮
「ヒィ、勇者様がドラゴンの背中に乗ってやってきた」
ボム!
「人族どもよ。何て非道なことをするのだ!このワンコを元の世界に帰してやるのだ!」
「しかし、魔石が足りません」
ドン!
お姉さんが空間から石を出したのです。
「さっさとやらんか!」
「はい!」
「お座り!」
僕は魔方陣の真ん中でお座りをして、お姉さんとお別れをしたのです。
「フン、お前との二週間、悪くなかったわ!」
「クゥ~~~ン」
お姉さん。ごめんなさいなのです。
僕のご主人は・・・
「分かっている。しかし、あまり無駄吠えはするなよ」
「ワン!」
ボム!
☆☆☆佐々木家
「道子、どうだった」
「お母さん。SNSで呼びかけたけど、反応はないわ」
「グスン、僕のせいだ!」
「健児、泣いている暇があったら迷い犬のチラシ配りに行くわよ。保健所にも知らせておいたから大丈夫よ」
「姉ちゃん」
ピコン♩
「あら、ラインがついたわ。まあ、カイザーが見つかったそうよ。え、届けてくれるって?」
>有難うございます。お迎えに行きます。
>いいえ。私も犬好きでして、近くまで行きます。そこで。
>分かりました。有難うございます。では、聖女市聖女観音の農道でお願いします。
・・・・・・・
「ククククッ馬鹿は~けん。犬ごときに30万円の謝礼を払うってよ」
「ば~かでい」
「ウケる~」
俺たちがネットで闇バイトを探していたら、犬ごときに30万円払う馬鹿が見つけた。
「一応、クレーンでハスキーのヌイグルミを取ってきたぜ」
「騙されないだろう」
「ウケる~」
そして、あわよくば脅して家に侵入してお金を取るぜ。
「ワン!」
「あ、ハスキーがいるぞ!」
「ワンワンワン!」
鑑定したのです。こいつら悪い奴なのだ。家の近くにいたのです。
「ほお、ちょうどいいわ。乗れ」
「ウケる~」
「ウワ~~~ン!!」
気弾を放ったのです。最小限の力なのです。
「ギャアアー、何か当たったぞ」
「ワンワンワン!」
ボコボコボコ!
「ヒィ、車に凸凹できているぞ」
「に、逃げろ~」
ブロロロロロ~~~
逃がさないのです!
「ワン!」
僕は空を飛んで車を追いかけたのです。
「ワオ~~~~ン!」
空爆なのです。
「「「「ギャアアアアーーーーー」」」
ガシャン!
これだけにしておくのです。
・・・・・・・・
「あれ、琉士さん。いないわ」
「いたずらなのかしら、ラインも既読つかないわ」
「ワン!」
「・・エッ、カイザー、カイザーなの?」
「ウワワワ~~ン、カイザーごめんなさい!」
僕はママさん。お姉さん。健児君にヨシヨシされたのです。
「カイザーをここに置いて行ったのね。お礼を受け取らないなんて、良い人だったのね」
「世の中、悪い人はいないな」
僕は、また、この一家と暮らせるようになったのです。
しかし、家の中に入れられたのです。
「いなくなったら悲しいわ!ベットを買ったから家の中で寝てね」
「散歩は当分道子と健児の二人ね」
「「はい」」
「ワン!」
テレビを見られるようになったのです。
こっちの世界でも人の言葉は分かるままなのです。
ニュースも分かるのです。
‘’ニュースです。聖女市の農道で事故が起きました。車に乗っていた若者たちは危険運転を行い。車は大破しました。空飛ぶハスキー犬に襲われたと供述しており。薬物使用が疑われています。
『ウケる~ハスキー飛んでいたし!』
『ハ、ハスキーが、ハスキーが口からアメハメ波を出した!』
「まあ、怖いわ。この近くなのに、あんなに善い人がいるのに悪い人もいるわね。気をつけなければいけないわね」
「ワン!」
ビキニアーマーのお姉さんのおかげなのです。
この家は僕が守るのです!
「カイザー、ご飯よ」
「ワ・・ン」
角のお姉さんと約束したのです。無駄吠えはやめたのです!
「まあ、カイザーお利口になったわね」
そうなのです。僕は賢いのです。
だから、「待て」を披露したのです。
「エ、カイザーがお座りをして、待っているようだわ」
「やめて、涎が口から出ているわ」
「待ての解除は何だったけ」
「クゥ~~~ン」
‘’ヨシだワン!’’
「「「エッ」」」
「今、ヨシって頭の中で聞こえたわ」
「ヨシよ。ヨシ。ご飯食べていいわ!」
「ワン!」
しまったのです。ビキニアーマーのお姉さんとのクセで念話を使ってしまったのです。
今はご飯なのです!後で考えるのです。
異世界のドックトレイナーの教えを忠実に守るカイザーであった。
最後までお読み頂き有難うございました。