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神楽伝次郎の時間  作者: ことぶき神楽


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第27話 入れ子になる神楽

 藤江ふじえ 幸頼さちより   27歳 関東公安調査局第一部勤務

 神楽かぐら 伝次郎でんじろう  42歳 日本宗教調世会企画部長

 常磐道じょうばんどう 勝清かつきよ  42歳 日本宗教調世会調世部長

 船越川ふなこしがわ 瑠理香るりか 40歳代前半? 日本宗教調世会調査員

 柏崎かしわざき 順太郎じゅんたろう  42歳 量子物理学リーダー

 星野ほしの 龍生りゅうせい   40歳 高エネルギー物理学リーダー

 築島つきしま 光男みつお   39歳 ナノテクノロジーリーダー

 雨宮あまみや 静香しずか   38歳 時間理論データ解析リーダー

 桜庭さくらば ゆめ    35歳 AIロボティクスリーダー


「柏崎先生が確保されたのですね。常磐道部長、お手数かけました」

 常磐道を見つけ、神楽はあいさつする。

「藤江くんは、わかったかな」

 いきなり話を振ってきた。

「神楽さんが過去の時間世界に行って、証拠をつかんだことはわかるのですが、どのタイミングに行ったのかは、わかっていません」

 正直に答える。

「見られているとすれば、藤江くんだけなんだけど、さすがの前職が公安調査官でも、同一人物の違いは、わからなったようだね」

「見られている?」

 前職の部分は不問にし、神楽に尋ねる。

「三番目の僕は、藤江くんの前を横切っているんだよ。気がつかなかった?」

 神楽は笑っている。


 三番目!

 神楽は、二度以上、過去の時間世界に行ったのだ!


 今日のできごとを思い出す。

 神楽が、十二時十一分以降に、ひとり席を外した時間――十三時四十七分にリーダー全員が揃った後、神楽は席を立った。コーヒーを持って戻ってきたのは、十三時五十八分だ。

「神楽さんは、十三時四十七分過ぎに何番目かの自分を迎えにいったのですね」

「さすが藤江くん、正解。十三時五十二分に二番目の僕を出迎えにいったんだ」

「十五時三十九分に、この部屋に入って神楽部長が操作したのは、二番目の部長を再度過去に出発させるためだったのですね」

「築島先生、いつもながら鋭いですな」


「なぜ、二番目の神楽部長だと分かったのですか」

 桜庭は築島に尋ねるが、星野が答える。

「神楽部長は、同じ時間に何人も存在しているので、時間移動を入れ子にして管理していると考えたのですよ。そうですよね」

「そのとおりです」

 築島の代わりに、神楽が答えた。


 ひとつのヒントから、氷山が崩れるように謎が解けていく。

 会話についていくだけでも、気が抜けない。


「三番目の神楽部長は、二番目の部長さんが迎え入れたのですね」

 雨宮が、謎を解く。

「みなさん、素晴らしい! 三番目の私は、十三時五十四分に二番目の私が出迎えました」

「ということは、三番目の部長は、十五時三十五分に過去の時間世界から出発して、この十九時十四分に戻ってきたのですね」

 船越川の計算が早い。


「なぜ、神楽部長は、二度も同じ時間世界に戻ったのですか」

 築島が尋ねる。

 研究者だけあって、なにごとも原因を知りたがる。全員の目が、神楽に集まっていた。

「藤江くんと船越川くんには話しましたが、僕は昨夜のうちに『今日が終わり、スパイがいなければ、今朝の八時に戻っていないと伝える』と決めたのです。しかし、僕は朝八時に現れなかった。スパイはいるということです」

 リーダーたちは、頷いている。一回の説明で納得できるようだ。

「スパイがいるとすれば、捕まえたいですよね。過去の時間世界に行けば簡単なことです。ただし、過去時間のできごとによって行動を変えてしまうと、神が嫌がる歴史の多重化につながります。僕は、出発前にスケジュールを決めたのです。どんなことが起きようと、決めた通りに動くので、歴史が変わることはありません。コーヒーいただいてもいい?」


 船越川は、コーヒーを淹れに制御室を出る。

「一番目の僕、つまり時間世界を移動していない僕は、みなさんと一緒にいたので、個人ごとの行動は把握できません。過去の時間世界に戻ってスパイと鉢合わせしたら、台無しですからね。二番目の僕は、監視室でモニターすることにしたのです」

 船越川が戻ってきた。神楽は、コーヒーを受け取る。

「ただ、監視するだけでは時間がもったいないので、みなさん全員が会議室にいた十四時五十九分までに、エレベーターホール内への監視装置の設置、モニターの映像保存装置の切り替えと配線の切断を予定したのです。その後に停電させて、スパイに『自分以外にもスパイがいる』と焦らそうと計画したのです」

 すごいでしょと、神楽はコーヒーを口にした。

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