閑話:運営レターVol.2
とてもたくさんご質問いただく、クエストの発生について。
皆様、こんにちは。
先行体験会1日目を楽しんでいただいているトラベラーの皆様、ありがとうございます。体験会は10日もありますので、あまり無理せず適度に休憩を取りながら進めていただきたいと思いますが、すでにイチヤから2つ離れた街へたどり着く猛者も現れました。
先の景色を見たい、と思っていただけているなら、運営としても嬉しく思います。
さて、本日2つ目の運営レターとなります。ちょっとご質問が多かったもので、早くご説明させていただいたほうが良いかと思い、急遽作成しております。
ずばり、クエストの仕様について、です。次回の運営レターで、もともとご説明する予定があったのですが、お問い合わせがとても多いようです。
クエストAが発生しない。
クエストの発生条件がわからない。
同じ住人Bに話しかけたのに、自分と友人とでは別のクエストが発生したが、なぜか。
主にこのようなご質問が多く寄せられておりますが、申し訳ありません、仕様です。
……と、一言で終わらせるのも味気ないので、少しこのゲームの裏話をさせていただきたいと思います。
前回の運営レターでお話させていただいたように、このアナトラというゲームは「この世界を歩いてほしい、見てほしい」という運営チームの希望から作られたものです。
そのため、クエストの扱いをどうするのか、というのはなかなか悩みどころではありました。
主な他のゲームでは、街にクエストを受けられるギルドがあって、自分で適切なクエストを選んで受注するスタイルが多いです。農業系ゲームのようにクエストそのものを取っ払って、労働の対価として賃金を得るシステムもあります。
しかし、アナトラではトラベラーさんたちに探索をしていただくわけですから、ギルドでクエストを斡旋してしまうと、トラベラーさんの旅立ちを邪魔してしまいます。そこで、クエストは街中で住人から拾うシステムにして、地図をある程度埋めたらボーナスが出る仕様を追加したり、特定の場所を発見することで特別報酬が出たりするようにして、トラベラーさんたちが街の外に出やすいように設計していきました。
そこで問題になったのが、トラベラーさんたちが拾うクエストを、どのような方法で発生させるか、です。
街の中でクエストを拾うタイプのゲームは、アナトラの他にもありますが、たいていは特定の行動を取った時や条件を満たしたことをトリガーにしています。
例えば、場所Aに差し掛かったら女の子と出会って、お願い事をされて……とか。
ジョブが剣士の人がこの人に話しかけた時、会話の中でこういう問題が起こって……とか。
もちろん、アナトラも最初はこの方法で行こうとしたのです。何しろ管理が楽ですし、トラベラーさんたちにある程度共通の体験をしてもらうことは、同じゲームをしているんだ、という一体感を育てることにも繋がります。
ですが、弊社の一部の社員にテストプレイをお願いした時、その結果のアンケートに予想外の言葉がありました。
『アナトラでは、力を合わせて戦うような共通の敵がいないのだから、トラベラー同士の一体感を重視しなくてもよいのではないか? このゲームには住人の生活感が強く感じられるのに、他のプレイヤーと同じ頼み事をされると「やっぱりゲームなんだな」と感じて、なんとなくもやもやする』
と、言うものです。
運営として、この意見には目から鱗が落ちるような気持ちになりました。
そうです。アナトラの世界ではすでに魔王が倒れているのですから、トラベラーさんたちが力を合わせて戦うべき共通の敵はいません。
イベントなども今後行う予定ですが、基本は個人で楽しんでいただく感じで考えておりますし、ランキングなども実装の予定はないのです。
そうなると、たしかに、トラベラーさん同士で一体感を感じてもらう必要性はありません。ならば、全員に共通して起こるクエストは必要無いのではないか。
多くのゲームで共通のクエストを起こす理由としては、この「一体感」のためと、あとは単純にフラグ管理が楽だからです。クエストの分岐を多くすればするほどフラグ管理が複雑になり、不具合等に対処することが難しくなります。
そこで、運営チームではクエストの選択や依頼の条件などを、住人のAIにある程度自由に委託することにしました。もちろん迷ったときに相談する窓口を作成し、基本方針などは設定しましたが、現在アナトラで発生するクエストの多くは、住人の判断が大きな発生原因となっています。
会話して「この人になら」と判断したトラベラーさんに、大きな悩みを打ち明ける住人もいるでしょう。なにかのアイデアを募りたくて、多くのトラベラーさんに同じことを聞く住人もいるかもしれません。ある程度会話回数が増えて、特定の話題が上がらなければ、決して弱音を吐かない住人もいると思います。
そして、トラベラーさんたちがクエストをこなして住人の悩みを1つ解決したら、そこから思いがけず別の問題が現れるかもしれません。そういったランダム性を、そのまま住人の判断でクエスト化することにしたのです。
このクエストシステムは、良くも悪くも流動的です。
住人の気分次第、トラベラーさんの受け答え次第、あるいはタイミングの問題等でもクエストが変わります。気が合うと思ったトラベラーさんには、特別な場所を教えてくれる人がいたり、特別な技法を伝授してくれる人がいるかもしれません。逆にこの人は苦手だなと思う相手には、なんのクエストも起きないかもしれません。でも、実際人と関わるって、そういうことなのかな、と思うのです。
素晴らしいクエストに出会って、それを友人や仲間たちに共有したい、という方もいるでしょう。でも、同じようにしたとしてもそのクエストは二度と発生しないかもしれませんし、全く別のクエストが発生してしまうかもしれません。共通体験ができないことを、残念に思う人もいるでしょう。でも、それで良いと運営は判断したのです。
アナトラの世界の住人が生きている、とプレイしている皆さんに思ってもらえたら、それは我々にとって成功だと思うのです。
だから住人たちも、親しくなった人には悩みを話すかもしれませんし、親しくない人にはあまり弱みを見せないかもしれません。同じような対応で住人に接したとしても、仲良くなれたり、なれなかったりするかもしれません。
リアルの世界でもそうであるように、あなたの人生が、あなたにしか起こらないイベントに満ちあふれているように。アナトラの目指すものは、そういう、一期一会の出会いと、唯一無二の体験なのです。
もちろん、運営の思いも寄らない方向にクエストが出される可能性もありますから、今後もきちんと注視していかないといけません。予期せぬエラーが起こらないよう、運営としてもしっかり目を光らせていきます。
不確定要素の多いゲームシステムを、ゲームとしては邪道と思う方もいらっしゃるでしょう。
でもきっと、実際にアナトラの世界へ旅をしているトラベラーの皆さんは、その世界を「生きている」と思えるのではないでしょうか?
そう思ってくれたらいいな、と願っております。
運営チームでした。




