閑話:おまけのアナトラ公式サイト
アナトラ公式サイト、毎日更新中!
「契約獣と旅しよう!」のページより。
Q:契約獣って、なあに?
A:アナトラの中で出会える、あなたのパートナーとなる存在。それが契約獣です!
召喚士の方が契約するのが「戦闘用」契約獣、それ以外の皆さんが契約できるのが「戦闘しない」契約獣となります。召喚士の方は職業レベル等に応じて召喚可能数が決まりますが、それ以外の皆さんは1人1匹までしか契約できません。
このページでは、召喚士以外の皆さんが契約できる「戦闘しない」契約獣についてお話していきます。
(小さなクマ型契約獣、リトルベアーが楽しそうにリンゴを持っている画像)
Q:どうやって契約するの?
A:街にある「契約獣屋さん」で契約しましょう。ただし、イチヤにだけ「契約獣屋さん」はありませんのでご注意ください。
街によってお店で会える契約獣も異なりますので、無理に1箇所で決めるのではなくて、ピンとこなければ他の街でまた契約獣屋さんを探すのも良いでしょう。
運命の契約獣と出会えるかどうかは、時の運もあります。じっくり考えてくださいね。
(小さなうさぎ型契約獣、ラヴィネが首をかしげて考えているような画像)
Q:契約獣って、何ができるの?
A:色々なことができます、戦闘以外。
探索が得意な子、走るのが得意な子、ものをたくさん持てる子もいれば、心地よい眠りにいざなってくれる子もいます。
その子がどんな能力を持っているのか、実際に会って確かめてみてください!
(もこもこ羊型の契約獣、ハイドシープがぴょんっと飛び上がっている画像)
Q:契約獣って、どうして1匹しか契約できないの?
A:一期一会を大事にしてほしいからです。
……運営的な話をすると、トラベラーさんのIDに紐づけてしまいますので、1匹しか登録できません。だから、なにか事情があってその子とお別れしてしまうと、次の子と契約することができないのです。
この紐づけは解除できないものです。大切なたった1匹の契約枠、どうか慎重に選んでくださいね。
(黒い犬型契約獣、ガイドドッグがぺこりと頭を下げている画像)
Q:契約獣って、何を食べるの?
A:契約主の魔力が主食です。
トラベラーさんたちが自然に過ごす中で、溢れて自然に排出される魔力を取り込んでいます。基本、それだけで十分生きていけますが、中には人の食べ物に興味を示す子もいるでしょう。
私達が普段食べている食べ物は、契約獣にとっては嗜好品として食べることができます。人が普通に食べるものは食べさせても大丈夫ですが、契約獣にも好みがありますので、好きな味や嫌いな味もあるでしょう。仲良くなったら、一緒におやつを食べるのも良いですね。
(黒い鳥型の契約獣、ブラックバードがリンゴを咥えている画像)
Q:契約獣にも好みがあるの?
A:あります!
アナトラでは、住人さんたちだけでなく契約獣にも自立型思考するAIを組み込んでいますので、それぞれにかなり細かい個性付けがされています。どんな子になるかは完全にランダム生成なので、人懐こい子、人見知りする子、強気な子、気弱な子、明るい子、おとなしい子、本当に様々な性格付けがされています。行動パターンや思考パターンも、契約主さんたちと過ごすことで影響されてどんどん変わっていくかもしれません。
あなたの契約獣は、どんな子に育つでしょうか? 楽しみですね!
(グレイの毛並みのケット・シーがカタログを掲げてウエルカムポーズを取っている画像)
Q:契約獣って、どうやって連れ歩くの?
A:契約獣のホームは、契約獣屋さんで買えます。ブローチ型、ペンダント型、ストラップ型から形状を選べますし、中をどんな空間にするかも選択可能です。
街中で普通に連れ歩いても、フィールドを一緒に歩いても良いのですが、フィールドで戦闘になってしまうと外にいた契約獣は自動的にホームに戻ります。なつき度が上がってくると、常にあなたと一緒にいるようになり、あまりホームに戻りたがらなくなりますよ。
(デフォルメされた真っ白のヘビ型契約獣、グラスシーカーがしゅるっと誰かの腕に巻き付いている画像)
Q:なつき度って?
A:契約獣から契約主に対する好感度のことです。
普通にお店で契約した場合、なつき度は0からスタート。最初は頻繁にホームに戻ってしまいます。この数値が上がっていくと、もっと契約主さんと一緒にいたい! と契約獣が思ってくれるのです。
卵の状態で契約して孵したり、特殊条件下で契約獣屋さん以外の場所で契約する運びとなった子は、なつき度が最初から高かったり、特になつきやすかったりするようです。
でも、卵の状態だとどんな子が生まれてくるかわからないから、契約するのはちょっと勇気がいりますね。
(大きな猫型契約獣、フォレストウォーカー(三毛)がおすましポーズをしている画像)
*
「絶対ナツさんこれじゃん……」
お昼時、母親が作ってくれたおにぎりを頬張りながら、ぽちぽちと公式サイトを熟読するのは如月、ことリアルネームは望月新。
一見金髪ピアスのチャラ男に見えるが、その生真面目で面倒見の良い性格から後輩に好かれる好青年である。こう見えてしっかりものの長男で、妹が2人、弟が1人の4人兄弟。笑うと好青年オーラがにじみ出ている、ともっぱらの評判であった。
さて、そんな如月は今、ここ自分の高校の体育館で地元のバスケチームと高校のバスケ部の試合を控えている。別にバスケ部員ではない。弱小すぎてメンバーが足りないバスケ部にヘルプを頼まれた助っ人選手だ。
「俺そんなに運動神経よくないんだけどなー」
と愚痴りつつも、早めに来て体育館で昼飯のおにぎりを食べて、試合までには体を動かして温めておくつもりであるあたり、生真面目さがよく伝わってくる。
如月の高校では、野球部がとにかく強いせいで他の運動部がどこもかしこもパッとしないのだ。バスケ部はそれでもまだかろうじて試合ができる人数いるからよいとして、サッカー部なんか野球部とのグランド争いに敗北して練習がままならない。世の中は結果出してる部活に優しいので、世知辛い現実である。
本当は今日一日ゲームをする予定だったのだが。昼ご飯を食べるためにゲームを中断したところ、同級生から泣きの電話が入って、どうしても人数が足りないのでお願いしますとすがられては、無下にはできぬ。というわけで午後は試合をして、ゲームの続きは夜からである。
「ありがとうありがとうお前が救世主だ!」
と大げさに喜ぶバスケ部主将に出迎えられ、今に至るのだ。
まあ、如月以外は午前中から練習をしていたので、みんなの昼食に混ざったにすぎないのだけれども。
「何見てんだー? あ、それあれじゃん、クラスの女子がやるって騒いでたやつ」
「VRゲーム?」
「へー、画像リアルだな。あ、猫かわいい」
と、如月の手元を覗き込んだバスケ部員たちが騒ぎ出すのを「そうなんだよ」と肯定しつつ、如月はゲームロゴをみんなに見せた。
「今これやってるんだけど面白くってさ」
なんて説明しながら、布教活動をしておく。
試合が終わって帰ったら、多分夕方くらい。ナツたちがゴーラに向けて旅立つのに間に合ったら一緒に旅させてもらって、ゴーラでは今度こそ契約獣と契約したい。如月はそう思ってスマホの画面を閉じた。
サンガでもかなり迷った末に、なんか違う、とやめたのだ。如月としては契約獣の理想形にあるのがナツとテトのコンビなので、契約獣屋さんの契約獣たちはなんだかよそよそしく見えてしまったのだと思う。でも、最初から懐いてくれる子を探すとなると……。
やっぱ、ナツさんに卵一緒に選んでもらうしか無いな。
うむ、と如月は頷いた。正直ゲームキャラクターの「如月」の幸運値は10から一切PPを振っていない。だって幸運値って基本捨てるものだろう。それに、魔法剣士って魔力も筋力も必要だからPPが足りなさすぎるのだ。その点、ナツなら最初から幸運値も高いし積極的にPPも振っているし、おまけになんかすごいスキルまであるのだ。選んでもらわない手はないだろう。
動物は全体的に好きだから、まあどんなのが来ても大丈夫だ。だけどナツが選ぶなら、多分かわいい感じのが生まれてくる気がする。フォレストウォーカーでも良いと思う、巨大猫が並んだらものすごくかわいい。
でも、個人的な好みでいうなら鳥かなー? とか思いながら、如月はまだ見ぬ己の契約獣に思いを馳せるのだった。




