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24日目:親切設計モンスターハウス

「【ファイアレイン】!」

「【ファイアレイン】!」

 【ダークラッシュ】に続けて【ファイアレイン】を前方に撃ち込むと、なんにも考えずに襲ってきてる感じの敵がだいぶ殲滅できた。と言ってもまだ371匹も残ってるけど。

「左の方の敵は動かないな。あっちの最高レベル18なんだが、如月今レベルいくつだ?」

「今プレイヤーレベル17です!」

 イオくんの質問に、MPポーションを飲みながら如月くんが答えた。僕達よりプレイヤーレベルが1つ上だけど、多分SP貯めるために戦闘頑張ったんだろうなというのは予測できる。

「ちなみに上級魔法取れてる?」

「察してください……!」

 あ、はい。だめなようです。

「SPがマジで無いんです」

「うーん、魔法剣士系がどのゲームでも大器晩成型と言われる所以だねえ……!」

 特に如月くんはどっちかといえば剣士メインで、魔法は補助的に使っていきたいみたいだったしなあ。


「4属性だけあげるほうが効率いいみたいだけど……」

「それも考えたんですけど、サンガ近郊で闇属性の敵に当たったとき、やっぱ光と闇もないと不便だなって思って」

「あー、弱点属性とそれ以外って、ダメージ量結構違うもんね……」

「特にこれから出てくるであろうアンデット系は<光魔法>ないとやっぱ厳しいらしいんですよ。よし、次何行きます?」

「じゃあ土魔法行こう」

「了解です」

 イオくんが前衛で敵をばったばったと切り捨てて行くので、魔法攻撃に怯んで一旦下がった魔物たちがまた攻勢に転じている。何しろ数が多いので、このまま囲まれたらしんどい。どんどん削ってかなきゃ。

 僕が杖を構えたのに気づいたイオくんが即座に下がって来た。そして追いかけてくる魔物の群れにむけて、っと。

「「【サンドラッシュ】!」」

 タイミングばっちり。ある程度数を減らせたら、如月くんとイオくんが残ったのを蹴散らしに行くので、その間は後衛らしいお仕事をしよう。土魔法でダメージが一番軽いのは、相性的に風属性の敵だから、風に強い火属性で一旦壁を張る。

「【ファイアウォール】!」

 少数、前衛を抜けて来ていた魔物を阻むと、2匹ほどそのまま突っ込んできて消滅。壁の前で立ち止まった魔物はイオくんが対処してくれる。


「【サンダーアロー】! 【アイスアロー】!」

 レベルの低い魔法を中心に使って、だいぶHPの減っている敵を探してトドメをさしていくと、如月くんがめっちゃ羨ましそうに僕の魔法を見ていた。

「如月くん、氷と雷と樹も取る?」

「正直SPさえあればめっちゃほしいです、エフェクトかっこいい!」

「だよねー! 【ライトショット】!」

 そうなんだよ、すごくかっこいいんだ。雷鳴さんも雷魔法特化したいって言ってたからなあ。如月くんは特化じゃなくて器用貧乏型でやってくみたいだけど、それでもこのかっこよさに惹かれる気持ちは理解できる。

 前衛2人がばかすかアーツを放って、ガンガン敵を削っていく。おかげであっという間に敵の数は残り300を切った。30分くらいでここまで減らせたらだいぶ効率がいい。

 それにしても薄暗い中で戦うの、<識別感知>を意識してないと危ないし、面倒だな。

「【ライト】! 【強化】! 【拡散】!」

 前にも使った、【ライト】を引き伸ばすやつ。前回は【拡大】を使ってみたんだけど、今回は部屋中に光を散りばめろー! って気持ちで【拡散】にしてみた。イメージがものを言うのだ。光の球体が小さくちぎれてばーっと部屋中に飛んでいく感じ、ちょっと楽しい。部屋がすごく広い場合は【拡散】のほうが適してるかも。


「ナツ、今のもう1回!」

「了解!」

 いくら強化していても、元になっているのはただの【ライト】なので、1回だけだとそこまで明るくならない。【ライト】はクールタイム超短くてすぐ使えるようになるから、同じ呪文を3回くらい繰り返すと、かなり視界が良くなった。

「力技……!」

 とか如月くんがちょっと呆れてたけど気にしない!

「あー、やっぱりな。こっち右側にいる魔物は全部レベル10くらいのやつ。で、あそこらへんうっすら地面の色違うの分かるか?」

 一旦近づいてきた魔物を倒し終わったらしいイオくんが、広い空間の真ん中寄りのあたりを指差す。たしかに、薄い茶色が普通の茶色になった、ってくらいの僅かな差があるな。

「あそこで区切られてる?」

「あのラインから左側の敵、こっちに向かってこないだろ? 多分向こうに足を踏み入れない限り襲ってこない。あの真ん中のグループはレベル13から15くらい」

「ちゃんと一息つける設計になってるんだ、親切ー!」

 ってことは、今この右側の魔物を全滅させたら、一度休憩できるってことか。


「こっち側って残り70匹くらい? 如月くん、MP大丈夫だったら【アクアレイン】いこう!」

「足ります! いつでも!」

 言いながら如月くんも【ロックオン】を宣言した。おお、ヘイト集めるスキル取得したんだね! ……そりゃSP足りないよ、と思わなくもないけど!

「イオさんが使ってたの便利そうだったんですよ!」

「心読むのやめよう!?」

 まあたしかに便利そうなスキル間近で見ちゃうと欲しくなる気持ちは分かるけれども。

 如月君のスキルに反応した魔物たちが、わっと一斉に群がってくるので、その一団に向けて魔法を放つ。密集してくるから、属性相性はあんまり考えなくて大丈夫。とにかく潰せる敵だけ潰せばよいのである。

「行くよ! 【アクアレイン】!」

「【アクアレイン】!」

 ちなみに、【ファイアレイン】より【アクアレイン】のほうが視覚的に明るいんだよね。水より火のほうが一般的に明るいイメージだと思うんだけど。なんか不思議。

「よし、ナツも積極的に仕留めろ!」

「了解!」

 というわけで使えるようになった魔法をじゃんじゃん使って行く。いつもだとヘイトに気を使って攻撃魔法を連発することは無いんだけど、敵のレベルが10くらいなら何発か食らっても死なないからあんまり気にしなくていい。それに、イオくんがなんか新しい、ヘイトを奪うスキル取ってくれたから、多少攻撃しすぎても案外大丈夫だったりする。


「よし、こいつで最後です! 【ダブルウイング】!」

「如月くんナイス!」

 えーと、魔物の残数が200で、左側の強敵がいるあたりには10匹くらいしかいない。数が多いだけで右側は楽勝だったなー。と思っていると、イオくんがなにかに気づいたようで、「おい」と声をかけて天井付近を指さした。

「あ、宝箱」

 イオくんの指さした先に視線を向けると、空中に浮かんだ宝箱が見える。天井からボール状の透明なバリアみたいなのが降りてきていて、その中に銅の宝箱が入っている。その宝箱が視界に入った瞬間、システムメッセージが表示された。

「宝箱を開けてダンジョンを出ますか? だって」

「断れ」

「はーい」

 このあたりの仕様は前と同じだね。中央の敵を倒しきったら銀になって、左側の強い敵を倒したら金になるかな?


 如月くんも同じように宝箱を見たらしく、「おおー」と感嘆の声を上げていた。ダンジョン初めて入るってことは、宝箱も多分初遭遇だよね。やっぱりこういうゲームの定番アイテムなので、実際目の前にするとテンション上がっちゃうものなんだ。

「あれって、グレードアップするんですか?」

「多分な。俺達が前回潜ったときは、全部の部屋の魔物を倒すかギミックを解けば、宝箱のグレードがどんどん上がってったぞ」

「最初木箱だったんだけど、金の宝箱にまで育ったよー」

「へえ! じゃああれも金になりますかね」

「多分? 全部倒せば行けると思う!」

 とは言え、その前に次の敵と戦う準備だ。僕はMPポーションを飲まないと。イオくんもHPポーションを飲んでいるので良しとして、如月くんはMPも回復しておいてもらいたい。

「如月くん、ポーションの時間制限大丈夫?」

「あと1分で飲めるんで、もうちょい待ってください」

「OK。えーと、焼き鳥食べる?」

「呑気だな」

「いただきます」


 だってお腹すいたからさー。しょうがないじゃんそればっかりは。

 時計は11時45分だけど、ほぼ昼だからね今。かといってダンジョンの中でテーブルセットを並べるのもどうかと思うので、妥協案としての焼き鳥なのだ。イチヤのテールさんの屋台で買ったやつ、大量に仕入れておいたんだけど、もう残り5本しかない。呑気だなとか言ってた割に、イオくんも素早く受け取って食べてるんだから、さてはお腹すいてたな?

 にこにこしてたらイオくんがちょっと気まずそうに視線をそらした。ふふふ、心読まれる気まずさをたまには味わうが良いよ!

「しょうがないだろ、この焼き鳥が美味いんだ」

 お、イオくんが認めた。

「だよねー、正直焼き鳥買いにイチヤに戻るか迷うレベル」

「正直テールの屋台はサンガでもやっていけると思う」

 めっちゃ分かる。串焼き系の屋台、サンガにも結構あったけど、焼き鳥でテールさんのところほどタレにこだわって作ってるところなかったからね。色々食べたけど、やっぱりテールさんの焼き鳥が一番美味しい。


 一口食べた如月くんも、「お」と目を輝かせている。

「めっちゃ美味いですね。これどこのですか?」

「イチヤのギルド前の屋台だよ」

「あー、ツノチキンの肉を無限買い取りしてくれる人ですか」

 如月くんが言うには、テールさんの屋台自体は結構有名なんだって。その理由が、ツノチキンの肉を絶対に買い取ってくれるというクエストがあるから。如月くんも肉を売りに行ったことはあるらしいんだけど、いつも微妙に並んでいるので買ったことはなかったらしい。

「こんなに美味いんなら買っとけばよかったです」

 とちょっと悔しそう。

「商売繁盛してるならよかった。ギルドの真ん前に屋台出してるから、立地も良いし、良い匂いするからなあ」

「あの匂い反則ですよねー、並んでなければ買ってたんですけど。俺結構せっかちなんで、列になってるとそれだけで敬遠しがちなんです。次イチヤ行くタイミングあったら、買いに行きたいですね」


 そうなんだよね、イチヤ。

 ずっと考えてたんだけど、本サービス開始する前に1回くらい戻って夜のフィールドを体験したいって話を、イオくんともしてたんだよね。

 夜のフィールドは昼間出る魔物に+10レベルくらいの魔物が出るっていうから、イチヤ周辺の夜なら今の僕達にちょうどいいレベル帯だと思うんだ。まだ夜の戦闘ってしたこと無いけど、今後地図を埋めるために歩き回ってれば、どこかでやらなきゃいけないんだろうし。

 街周辺の魔物のレベルは、イチヤ周辺が1~10、イチヤから1つ離れるごとに11~20、2つ離れると20~30、って感じに強くなって行くんだけど、街から離れたフィールドに関しては、結構レベル帯がバラバラらしい。一応、生態系みたいなのがあって、それに沿った強さの魔物が配置されていたりする。

 ジュードだけは例外で、あそこは魔王と戦ったときに最前線だったという関係上、特別に強い魔物が出たりするんだって。僕達が行くとしたら、最後かな?


 まあでも、絶対にやりたいかって言われると別にそうでもないからなあ。

 今まで通り夜は飛ばしちゃってても、今のところ特に不都合はないし。素材とかも錬金術や調薬やってるわけじゃないから、夜限定の素材が必要、ってこともない。一応、夜のほうが良い品質の素材を集めやすいらしいんだけどね。

 なので、今のところは湯の里を楽しんでからゴーラに行くのが最優先、その後ヨンドまでは確定路線でいいかなあ。

 先のことはその時考えよう、うん。


 とりあえず如月くんがMPポーション飲んだので、次の段階に進もうか!

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