表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
217/337

24日目:ダンジョンチャレンジ2度目!

 ダンジョンの説明ボードでは、現在何組がダンジョンにチャレンジしているかを確認できるらしい。

 このダンジョンは現在1組挑戦中となっているので、これは確実に雷鳴さんだろう。村長さんの家を出ていった時間を考えると、もうそろそろ戻ってきそうだね。

「11時か。昼飯とどっち先にする?」

「ダンジョンでしょうそこは!」

「ダンジョン行きましょう!」

 ダンジョーン♪

『テトのことは私が守るから大丈夫よ、安心してね』

「全員一致か」

 ということはイオくんもダンジョン先に行きたいんだね。まあ、お昼ごはんは最悪、ダンジョンの中で食べればいいからなあ。13時に炎鳥さんが孵ることを考えると、ワンチャン間に合ったら嬉しい。ただあの庭の様子だと、13時なんて盛り上がり最高潮だろうからなー! 正直あの人だかりに割り込んで見学できる気がしないし、落ち着いてからご挨拶に行くのでもいいかなって思うんだよね。


 というわけで、さくさくと如月くんと僕達のパーテイーを連結して、テトに「エクラさんの指示に従ってね」と言い聞かせ、いざ、ダンジョンへGO!

 ちなみにテトさんは如月くんに対して「イオはつよいけど、ナツはかよわいからまもってー」とか訴えてた。翻訳はしない、しないぞ……! 

「テトなんて言ってるんですか?」

「がんばってねって」

 ちがうのー! ナツまもってっていってるのー! ちゃんとおはなししてー!

「テトさん、大丈夫だよ、如月くんは賢いからそんなこともう分かってるよ!」

 たしかに、きさらぎかしこい……。じゃあいいよー。

「よし」

 あ、イオくんがなんか察して呆れた顔で見てる……! でも僕のちっぽけなプライド的に、「テトが如月くんに僕を守ってって言ってる」とは言いたくないのである、なんか生暖かい目で見られる気がするので!


 まあ、僕のプライドの話は置いといて。

 二度目に足を踏み入れたダンジョンは、最初のときとだいぶ違う感じだった。踏み入れた先にあったのは円形の空間で、そこから正面に1つだけ、大きな扉がついている。今いる空間も、ちょっと暗くて岩がゴツゴツしてるワイルドな感じ。洞窟の一部のように見える。今回は不思議な植物とかもない。

「連結パーティーでも入れることを確認」

 とイオくんが言う。

 見ると如月くんも無事にダンジョン内に入っていたし、ステータスとかも問題なく普段と同じように確認できるみたいだった。もう少しトラベラーさんが増えたら、連結をさらに束ねた連合の状態で入れるかどうか確認したいところだ。


 テトとエクラさんの姿は見えなくなったけど、なんとなーく上の方にいそうな気配がする……。<魔力視>をこっそり使ってみると、天井近くにエクラさんのまばゆい魔力が輝いているので、あのへんに隠れてるんだなってのは分かった。声もこっちに聞こえないようにしてくれてるみたいだ。

 正直その配慮は助かるなあ、戦闘中にテトに心配するような言葉をもらったらそっちが気になって集中できないかもしれないし。

「前回とはだいぶ違うねえ」

「前回入ったときはどんな感じだったんですか?」

 とりあえず感想を言うと、如月くんが周辺をキョロキョロしながら問いかけた。

「あのときは1本道の廊下があって、その両側に3部屋ずつ魔物がスタンバイしてたよ。一応、どこから戦うかとかは選べて、外からどんな魔物がいるかも確認できたんだ」

「へえ、親切ですね。襲ってきたりは?」

「部屋に入ったら戦闘開始って感じだったかな。それで、1つ部屋を攻略したら宝箱が出たんだよね」

 ねー? とイオくんにも話を振る。

「そうだな。倒す敵が増えるほど宝箱がグレードアップする仕様だった」

「へえ! 何が入ってたんですか?」

「ナツのローブ用レア素材」

「ああ……」

「なんか如月くんに納得された!」


 でもそういえば気になるね、宝箱。連結の場合、それぞれのパーティーに宝箱が出るんだろうか。そうでないと宝箱の取り合いになりそうで闘争を生みそう……いやこのゲームフレンドリーファイアないけどさ。

 というようなことをイオくんにちょっと伝えてみると、「ああ」と軽く頷かれた。

「掲示板でもまだダンジョンの詳細をまとめてるところは無いんだよな。そういうの積極的にやるトラベラーは掲示板をやってない、みたいなのはある」

「あー、掲示板なんて見てる暇あったらダンジョン潜りたい、みたいな?」

 たしかに他のゲームでも、ダンジョンって好きな人は延々潜ってるイメージだった。検証班がインタビューしてくれたりして重要なことは聞き出してくれてた気がするけど、このゲームの検証班、息してないしなあ。

「一応、ダンジョン雑談してるスレッドはありますよ。でもなんかこう、定期報告みたいな感じで……」

「何を報告するの、それ」

「タイムアタックのクリア時間ですね。ハチヤのダンジョンの一つが、早くクリアすればするほど景品が豪華になる、みたいな仕様らしく、クリア時間と景品の報告が淡々と上がり続けてたりします」

「そ、そうなんだ……!」

 如月くんはさすが掲示板常連なだけあって、そういうのも見てるんだね。へーと感心している僕に、如月くんはさらにコメントを付け足す。

「ちなみに宝箱には幸運の値がそれなりに影響するそうです」

「なるほど……!」

 さっき如月くんが微妙に納得した意味がわかりました。


 そんな話をしている間に一応この空間を調べていたイオくんが戻ってきて、「他に扉は無さそうだな」と報告してくれた。ということは、目の前にあるこの扉を行くしか無いということだ。

「入るたびに中が変化するランダムダンジョンだということは、間違いなさそうだな。何が来るかわからんし、武器用意しておけよ」

「はーい!」

「了解です。じゃ、俺が扉を開けてもいいですか?」

「どうぞどうぞ!」

「なんかあったら叫んでくれ」

 如月くんは初めてのダンジョンだからか、張り切って目の前の扉に触れた。とたん、あふれる光。扉から周辺の壁へとばーっと光が走り、一周したと思ったらその光ったところから壁が崩れ始める。演出としては光ったまま崩れていくので結構綺麗だけど、半分くらい崩れたあたりで流石にピンときた。

 壁の向こうに見える影、これはもうあれでしょう。


「モンスターハウス!」


 とっさに叫んだ僕の声に反応し、イオくんが僕の背後に【ウィンドウォール】を唱える。なんか小さい魔物が当たって弾かれた!

「やっべえ、ナツ死ぬな! 根性で壁際まで突破!」

「僕が死んだらイオくんが弱体化するので! 如月くんちょっと協力お願い!」

「ラジャです! っていうかここ円形の部屋のど真ん中じゃないですか、流石に戦いづらい!」

 完全に壁が崩れ去った後にのこったのは、学校の校庭ほどの広さがある真っ平らな空間。そして、そこに蠢く無数の魔物の影である。

「右方向退避!」

 イオくんの号令が飛ぶ。こういうときはイオくんを信じるのだ! 指さされた方向に向かって走り出すと、僕の後ろに如月くんがスッと入ってくれた。ありがとうありがとう!


「ナツ自分に【ヘイスト】!」

「その手があった! 【ヘイスト】!」

 僕の現在の俊敏は素ステで10、装備で+5で15。更に【ヘイスト】で……OK、イオくんにそこまで遅れを取らずに走れる。

「【風鎧】!」

 鎧を纏ったイオくんが先に走って、その後を僕、最後が如月くんの順番で一旦壁際まで下がる。こういうのは最後尾が一番危険なので如月くんに【ディフェンシブ】。多分イオくんが一番魔物少なさそうな方向選んでくれてるはずなので、全速退避中にはそこまで魔物からのちょっかいはなかった。

 無事壁際までたどり着いて一息……ついてる暇はなさそう!

「イオくん、範囲魔法使って平気?」

「よしいけ、すぐヘイト奪い返すからレインかラッシュで頼む!」

「OK!」


 この前覚えたばかりのウエーブ系は自分中心円形、ショット系は範囲小なので今回は向かない。えーと敵の属性は……分かってたけどバラバラだよね。それなら闇か光で……!

「行くよ! 【ホーリーレイン】!」

「合わせます! 【ホーリーレイン】!」

 僕の魔法に合わせて如月くんも同じ魔法を使ってくれたので、これで威力が上がるはず。<光魔法>は周囲を明るく照らす感じのエフェクトがついていることが多いから、どのへんに敵が多いか大まかに確認する。

「【ロックオン】! 【ヘイトスティール】! 【薙ぎ払い】!」

 即座にイオくんがヘイトを僕から奪って、<上級剣術>の範囲アーツを発動させる。【薙ぎ払い】は、槍や棍を使う人が初期に覚えるアーツなんだけど、長剣でも戦い方に応じて出現するアーツらしい。主に、敵のヘイトを集めるような戦い方をしていると出現しやすいとか。

「左方面になんかでかい敵がいるんで、右側から対処しましょう!」

 如月くんがそう教えてくれたので、僕達は壁を背にした状態からじりじりと右方面へ向かうことにした。こういうモンスターハウスだと、後ろから奇襲されるのが一番怖いんだ。


「如月くん<光魔法>もスキル上げててえらい! 【ダークラッシュ】もいける?」

「いけます、でもSPなくて上級は取れてません!」

「そっかー!」

 ってことは、多分後から出てくる雷とか樹とか氷魔法は取れてないだろうな。なるべく範囲魔法は合わせて撃ちたい。

「角まで行ったら範囲連発してもらっていいぞ。できれば警戒する方向を絞りたい」

「OK、じゃあ部屋の角にいくまでは単発で、なるべく飛んでる敵を落としてくね」

「頼む」

 その前にイオくんに【パワーレイズ】【ホーリーギフト】をかけて……あ、ついでに【向上】も。【ヘイスト】と【ディフェンシブ】はクールタイム終わり次第イオくんにかけよう。

「【トラップ】、【バインド】、【ミスト】!」

 足止め系の魔法を連発して移動を優先しつつ、フォールバードがいたので【ファイアランス】で仕留める。魔力が上がったおかげで1撃必殺になって助かるよ。


「【フルスイング】!」

 如月くんの武器は、前に見たときと変わっていなかった。長剣よりも双剣のほうが攻撃範囲が広いから雑魚を一掃するには効率が良い。

「敵もしかして弱い……?」

「この辺はな。さっき如月が言ってた左の方に行くほど強いっぽい」

「あー、そういうことか」

 ボスがいるってことだね、周辺の敵を倒してから挑むべし。<識別感知>を使うと、実は範囲内にいる魔物の数とかを自動でカウントしてくれるんだけど、ずっと邪魔だからオフでいいや、って思ってたその機能をONにして……っと。

 多分、全部で500匹居たんだと思うんだけど、今454匹まで敵の数が減っている。範囲魔法で結構削れたのかな。

「この密度で残り450匹なら、そこまで大変じゃないかも? モンスターハウス系って狭いところで戦うほうがしんどいんだよね」

「え、まだそんなにいるんですね……」

「フレンドリーファイア無くて助かる。よし、角だ。ナツ、如月、とりあえず範囲魔法ぶっ放してくれ」

「了解!」

「はい!」


 横長の長方形の、右下の角までたどり着いた僕達。これで壁を背にして戦えるので、前方だけ警戒すればよくてちょっと楽だ。

「ナツさん、【ダークラッシュ】でいいんですか?」

「うん、とりあえず撃ち込んで、こっちに魔物が寄ってきたら次【ファイアレイン】で」

「それ終わったら俺MPポーション飲むんでちょっと時間ください」

「OK」

 如月くんは魔法剣士なので、MPそこまで高くない。多分、MPポーション回復量が低いやつをストックしてるからマメに飲まないと、ってやつか。……あ、そう言えば。

「その前に如月くんに【マジックパワーレイズ】!」

「あ、助かりますそれ!」

 イオくんには使わないけど、魔力+5すれば如月くんならいい感じにダメージ量上がるはず。これで準備はOK。

「じゃあ行くよー! 【ダークラッシュ】!」

「【ダークラッシュ】!」


 さて、殲滅戦と行きましょうか!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ