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3日目:いざ、杖を探そう

 ソルーダさんの助言をありがたくもらってから、僕とイオくんはギルドで魔物素材をたっぷり売った。何しろ150匹以上のイビルドッグを狩りまくったわけで、ドロップ素材がたくさん集まっている。

 ★2の金運上昇のお守りを直前でイオくんがセットしたので、買取金額が7%UPする。ということで、以下の通りの売却金額になった。


イビルドッグの牙 800G×347個=277,600G

イビルドッグの尾 1,000G×36個=36,000G

イビルドッグの魔石 3,000×6個=18,000G


 牙がめちゃくちゃドロップしてて、最低2個~最高5個まで落ちてたみたい。合計331,600Gの7%買取金額UPだから、合計で354,812G。

 結構大変だったけどその分の価値はあったかなーというお値段だ。魔石は6個売ったけど、手元に3個残した。イオくんが魔道コンロを買う予定だから、それに使えるかなと思って。


 3日連続になるけど、陽だまりの猫亭でランチタイムに滑り込む。今日の昼ごはんは、僕がハンバーグセット、イオくんがチキンカツセット。このお店だと「セット」とつくのは全部定食スタイルだ。

 疲れた体には肉が必要。と言うわけでしばし無言の咀嚼タイム。

 ハンバーグ美味しい。出来ればチーズインにしたかったけど、イチヤでは乳製品が高い……。食後のアイスティーが運ばれてきたので、さて、そろそろPPでも振ろう。あ、ちなみにイオくんはブレンドコーヒーです。

 えーと、PP……魔法防御力と幸運を30まであげる! で、いいかな。


ナツ プレイヤーレベル12 上級魔法士レベル3

HP:150 MP:390

筋力:5 物理防御力:15 魔力:39 魔法防御力:27+3=30 

俊敏:10 器用:17 幸運:27+3=30

残りPP:0


 こんな感じっと。

 次は器用を20にしたいところ。


 イオくんは筋力・俊敏・器用に振って終了。ステータスはお互いにどこを特化させるかは分かってるし、特に問題なしとして、次がスキルだ。基本スキルをレベル10にしたから、発展スキルがごそっと増えている。

 このゲーム、初期職とか基本スキルはとにかくとっととレベルMAXにさせる方針なんだろうなあ。かなりサクサク上がるもんね。

 とりあえず僕のスキルでレベルMAXになったのは、<MP回復量増Ⅰ>と<鑑定>。

 <鑑定>はついさっき出てきた料理を<鑑定>して無事にレベルMAXになったばっかりだ。

 で、追加されたのが<MP回復量増Ⅱ>、<敵鑑定>、<上級鑑定>の3つ。<MP回復量増Ⅱ>はもちろん取るとして、<敵鑑定>は敵対している魔物に特化した鑑定、<上級鑑定>は今までの鑑定より詳細が分かるようになる、って感じらしい。

 <敵鑑定>だと弱点とかの情報が見られるようになるけど、自分より10レベル以上の敵については全部は見えない、か。


「イオくん<鑑定>上がった?」

「まだ。もうちょいだけど」

「じゃあ、<敵鑑定>はイオくんに任せていいかな」

「わかんねえけど、敵を鑑定するって行為自体にヘイトが乗るかもしれないし、それは俺が覚えた方がよさそうだな」

「確かに……! イオくん頭いいな」


 じゃあもう僕は<上級鑑定>にしよう。両方SP5ずつを支払って取得。あと残りSPは34だから……あ、魔法系がそろそろMAXになるかもしれないから貯めておく方がいいかも?

 でも気になる新スキルもいくつかあって、まずは<空間探索>。これは<感知>と<鑑定>のレベルMAXで出てくるスキルなんだけど、室内などで隠し扉や隠された空間を探す、と言うスキル。役に立つかどうかは不明だけど、なんとなく探偵っぽくてちょっと興味が惹かれる。隠し扉とかめっちゃ探してみたい。

 あとは4属性魔法+光闇魔法の取得で出てくる<魔力ブーストⅠ>、単純に魔法攻撃力を上げるスキルなのでほしい……けど、あんまり何も考えずにばかすか魔力上げちゃうと、イオくんのヘイト管理を邪魔することがあるんだよなあ。

 多分、ソルーダさんやイライザさんの名前を覚えたことで出たと思われる、<上流作法><社交ダンス><宝石鑑定>などは、持っていると星級の住人さんたちからの好感度が上がるらしい。いや、うーん、スキル内容的には、いらない、多分使わない、けど……。


 イオくんに確認したところ、「俺は<上流作法>だけ取るかな、騎士系のRPちょっとやりたいし」と返ってきた。マジか。特殊なスキルだから基本スキルにも関わらずSP5もするのに。

「住人の好感度上げたいなら、1つだけ取れば?」

「ダンスは絶対ないので、僕も取るなら<上流作法>か<宝石鑑定>なんだけど、身近に宝石なんかあったっけ」

「剣の道にはあったな、儀式用の剣とか」

「ああ。……うーん、じゃあイオくんと同じの覚えても面白くないし、<宝石鑑定>取ってみる」

「おう。あと何迷ってんだ?」

「<魔力ブーストⅠ>と<空間探索>だよ」

「前者はとってもいいんじゃないか、回復にもバフにも乗るだろうし。後者は……使い方がわからんな」


 イオくんは素早く掲示板を検索したらしい。こういう時さくっと調べてくれる行動力、本当にいつも助かる。……ハッ! 僕が自分で調べてればよかったのでは!? 慌てて掲示版を開こうとしたら、イオくんは掲示板を閉じたところだったので、完全敗北ですねこれは。

「<空間探索>は遺跡とかで通路見つけるのに使うらしいぞ。壁の向こうに空間があるかどうかを立体図で確認できるってさ」

「くっ……イケメンは行動力さえ備えている……っ!」

「普通に褒めてくれ」

「行動力のあるイオくんはさすがだなと思います!」

「うむ」

 僕だって自分だけでゲームするときは、ちゃんと自分で調べるんだよこういうの。でもイオくんと一緒だとイオくんがやってくれるって思っちゃう、これが……甘えというもの……! とても普通にダメだと思う。自立しなければ。


「でも、遺跡かあ! そんなものまであるんだ」

「早速イチヤから北に挑んで遺跡を見つけた猛者がいて、結構情報出てたぞ」

「へー、ダンジョンっぽいやつかな?」

「結構ガチの遺跡っぽくて、魔物も住み着いてはいるけど謎解きがあるとか」

「普通に面白そう」

 いつかは行ってみたいね、遺跡。でも今じゃなくていいか。

 今回は<空間探索>を見送って、<宝石鑑定><魔力ブーストⅠ>を取得。これもそれぞれSP5なので、残りSP24はキープしよう。

 イオくんは<HP自然回復量増Ⅰ>と<盾術>がレベルMAXになったということで、それぞれ上級の物を取得したとのこと。あと<上流作法>を取って、残りSPは28。

「<風魔法>の【クリーン】欲しいけど、発展スキルはSP5以上かかることだし、ちょっとキープしたい」

 だそう。完全に同意。


 遅めのお昼を終えた僕たちは、今度こそ杖の値段を確認すべく、武具通りへ向かった。イライザさんが教えてくれた店の前、ショーウィンドウに飾られた杖を確認する。

「短杖と長杖があるけど、ナツが今使ってるのは短い方だよな?」

「そうだよー。長杖より発動は軽いんだけど、威力が落ちる。長杖は威力が上がるけど、クールタイムがちょい長い、って感じ」

 30センチ以下の杖が短杖、それ以上は長杖に分類されるらしい。

 魔法を使う媒体として、杖が一番無難だし数も多いけど、指輪や腕輪、扇子等、素材さえ間違っていなければ様々な代用品もあるそうだ。僕は杖、魔法使いっぽくていかにもな感じが好きだけどね。

「長いのも持ってみたんだけど、結構クールタイムに差が出るんだよね。僕たち2人パーティーだし、手数多い方がいいかと思って短い方にしてる」

「時と場合によって切り替えるのもありだな、両方買うか?」

「いやいや。僕そんなに器用じゃないから両方は無理だよ」

 2本持ってたってどうせ片方しか使わなくなるに決まってるので、そんな無駄な買い物はちょっとしたくないね。


 ショーウィンドウで短杖を確認すると、500,000Gくらいのが多かった。今だとギリギリちょっと足りないくらいかな? 効果は魔力+10のものが多くて、それ以外に何か効果がつく場合は値段が上がる。

「やっぱ、1,000,000Gくらい必要だよな、いいの買おうと思ったら」

「うーん。もう少しお金欲しいねえ」

 なんて会話をしていた時だった。

「きゃあっ」

 とすぐ近くで悲鳴が上がり、おさげの女の子が目の前ですってーんと転んだのは。

「えっ、大丈夫?」

 びっくりして反射的に声をかけてしまった僕。そしてナツに任せるとでも言うように一歩下がるイオくん。よし任せろー!


「だ、大丈夫です、すみません、お見苦しい所を……」

 おさげの女の子は、僕が差し出した手を借りて立ち上がった。パンツスタイルだったからよかったけど、スカートだったら危なかったな今の転び方。

「これあなたの? 落としちゃってたけど、中身大丈夫かな?」

「ああ、ありがとうございます。大丈夫ですよ、中身は採掘セットなので壊れるようなものではないです!」

「採掘?」

 足元に転がっていた道具箱を拾い上げて渡すと、同い年くらいの女の子はそんなことを言った。採掘って、実は初期スキル一覧に無い。<鍛冶>スキル持ちの人がどこかの鍛冶屋に弟子入りしたら教えてもらえるとか、別のイベントか何かで取得できるとか言われている。


「このあたり、鉱物が取れるの? ……あ、僕はナツ、こっちは親友のイオくんだよ」

 名乗ってなかったのでついでのように名乗り、いつもならイオくんには誉め言葉を付けとくんだけど、同年代の女性相手だとイオくんが嫌がりそうなのでシンプルにしておいた。イオくんはモテすぎるので若干女性が苦手なところがあるのだ。

 おさげの女の子は、

「杖作成師の助手をしているエルモです」

 と名乗り返してくれる。


「鉱石というか、宝石が取れますね。そんなに希少価値のあるものではないんですけど、水晶や紫水晶、紅水晶あたりが。お2人は、杖を買いに来たんですか?」

「あ、うん。僕の杖を買い替えたくて見てたんだけど……」

「でしたら、自分で杖に使う宝石を用意するといいですよ。その分割引になりますし、その宝石があなたに合わなくても、杖の店で買い取ってくれます」

「へえ!」


 これはいいこと聞いた!

 宝石はこの店で買い取りをしてくれるんだ、もしや早速<宝石鑑定>の出番があるかも?

「割引になったらすごくありがたいな、採掘ってどうすればいいの?道具も場所も知らないし……」

「道具なら、採掘場の外で売ってますよ! ピンからキリまでありますけど、自分に合うのを探すのもちょっと楽しいです」

「おお、宝探しみたい」

「そうなんです、採掘は当たりがあるからやめられない……っ! もし興味があるなら、私もこれから向かうのでご一緒しませんか?」


 エルモさんは強く勧めてくる。

 この人、ソシャゲに廃課金しちゃうタイプだな? と思いつつ、僕はぜひ! と元気に答えた。あ、イオくんに了解取る前に返事しちゃった。ごめん! と思いつつイオくんを見ると、イケメンはしゃーねーなみたいな顔で頷いてくれる。

 心が広い、さすがイオくんである。

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