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22日目:湯の里発展の予感……!

いつも誤字報告ありがとうございます、助かります。

 あまーい! すてきー!

 というのが、ブドウを食べたテトさんの感想でした。栗とかかぼちゃ系の食べ物ほどヒットではないみたいだけど、きらきらした眼差しは宝石を見ているかのようだ。前足で粒を優しくころころしている。

「テト、それは食べ物だから食べようねー。宝箱には入れられないよ」

 しまっておけないのかー。

「また買ってもらえばいいよ、食べなー」

 はーい。

 にゃっとよいこのお返事をしたテトは、ぱくっとブドウを噛み締めて幸せそうな顔をした。見ている方まで幸せになる顔である。うちの猫かわいい。


 さて、イオくんと夕飯のおにぎりを食べつつ生産の打ち合わせをする。最初に村長とイオくんがしてた難しい話、ギルドの前の広場が整備されたらお守りを売ってくれないか? って話だったんだよね。使節団として里の住人さんも何人かサンガに行ったわけだから、自分も外に行きたい! という人はやっぱり少なからずいるようで。そういう人たちに道迷いのお守りを持たせたい、里にはお金がないから物々交換になるけど、是非……とのこと。

 OK、★2の道迷いのお守りならいくらでも作りましょう!

 作るものの品質が低くても、アナトラの生産では簡単なものを作っても必ずスキル経験値が入るように設計されているので、わずかながらスキル経験値が入る。そうなるともう、何を作っても良い、という気持ちになるのだ。

 こういうの僕が断らないことを知っているので、イオくんはその場で快諾してくれていたようだ。付き合いが長いとそのへん分かってるからスムーズだねえ。他のお守りも需要があるとのことなので、生産成功率UPのお守りとか、保存のお守りとかは作って置こうかな。腰痛は……いや絶対需要はあるけど……やめておきます。

 あ、そうそう、お守りといえば!

「今日覚えた【キューブ】で金属のサイコロ作ったら、6面に違うお守りを<彫刻>したりできないかな?」

「……それって効果時間違ってたらどうなるんだ? そして金属のサイコロはでかいと重いぞ」

「……米粒に刻むように……!」

「ナツ、自分の器用の数値を見てから言うように」

「はい」

 はい。アクセサリにできそうなくらい小さい四角に僕が<彫刻>できるはずがあろうか。無理!


 大人しく普通に生産していると、しばらくしてからひょっこりアサギくんが顔を出した。

「なっちゃーん、イオさーん、テトー! 雪乃から進捗届いてるけど聞くかー?」

「えっ、聞く聞く!」

「珈琲が出る」

「ありがた! 砂糖頼みまっす!」

 部屋に入ってきたアサギくん、迷わずテトに駆け寄って撫でつつ隣を陣取った。猫まっしぐら、という単語がなぜか頭をよぎる。正しくは猫「に」まっしぐらだったな、今の。

「あ、なっちゃんこれ村長から。里では使い道ないからあげるってさ」

 と、手始めにアサギくんが差し出したのは空の魔石だ。昨日も3つもらったのに、更に5つ追加。鬼人さんは魔法が苦手な人が多いから、そもそも聖水を作れる人がいないのかな……? だとしたらありがたく頂いておこう。

「ありがとう。明日村長さんにもお礼言っとくね」

「そうしてくれー。俺は届けただけだからな! で、それってどうすんの?」

「聖水に1晩浸けておくと、魔法石って物の元になるよ」

「詳しく」

 アサギくんが急に真顔になった。あ、これ初出情報? すでに報告されてるけど掲示板で埋もれてるんじゃ? 今検索したけど引っかからない? な、なるほどなー。


「<宝石鑑定>のスキル持ってないとわかんないのかも? 僕の<鑑定>には出るけどイオくんの<鑑定>には出ないんだよね」 

「そんなスキル持ってる人めちゃくちゃ少ないと思うんだがー! え、っていうか<宝石鑑定>なんてあるん? 俺知らないんだけど!」

「アサギくん星級って知ってる?」

「なんかその単語は聞いたことあるような……?」

「詳しく言わないけど、その人達に会えたら取得可能になります」

「超気になるじゃん。ちょっと後で真面目に掲示板で情報探す!」

 そっかー、僕たち割とぽんぽん星級の人たちに会えたから、てっきりみんなも気軽に会えてるもんだと思ってしまった。そりゃ偉い人たちなわけだから、そんなことないよね。とりあえずは魔石を聖水にぽいぽいと投げ込んで置こう。

 ミィティさんが、普通の魔石を聖水で磨いたら長持ちするよってサンガで教えてくれたけど、試せてないなあ。まだそれほど魔道具を持ってないからいまいち使い所がない。ゴーラに行ったら、魔道具のお店探してみよう。


「それで、雪乃さんたちどうだった?」

 イオくんが珈琲を差し出してくれてから……僕には当然カフェオレです……切り出すと、アサギくんは「そうだった」と姿勢を正す。テトが僕の膝の上に上半身をでーんと横たえて「ブラッシングの準備OKですよ?」みたいな顔をしているけど、まずは話を聞いてからだ。撫でてごまかしておこう。

「雪乃たちだけど、今日の午後にはサンガについたってさ。雷さんがもう街中フラフラしてて捕まんないって愚痴ってた。あの人マジで自由だな」

「好奇心の赴くままに気が向いたところに行く感じだよね。絶対朝市好きだと思うんだ」

「朝市楽しいもんなー。そんで、ギルドマスターとの面会許可は取れたから明日会うって。使節団の鬼人さんたちは、その中の一人が戦時中に生き別れた姉と再会したとかで大盛りあがりだったってさ。そんで、今日の一番の収穫なんだけど、トラベラーに声かけることには成功したから、明日以降どんどんトラベラーがこの里に来てくれる!」

「おおー!」

 素晴らしい! それは確実に朗報! アサギくんのクエスト一覧見てると、トラベラーが10人里に来たら枝道が太くなるらしいし、まちづくりにも人手が欲しいもんね。人が増えたら湯屋も立派なやつができるかもしれないし、楽しみ!

「そんで、そのトラベラーたちがサンガで里に行けるようになった話も広めてくれてるところ。うまくギルドと教会が誘致できたら、かなりいい感じに発展できると思うんだよなー。ってなわけで、なっちゃんたちが夜寝て起きたら、結構変わってるかもだぜー」

「早く里が発展して欲しい。足湯だけでも」

 イオくん本当に足湯が好きだな? まあでも、湯船作るよりも足湯のほうが作りやすいかも……? 寝ているうちに完成してたりしたらすごくありがたいので、ちょっと期待して眠りにつこう。


 きさらぎくるー?

「テトさん、如月くん好きだね? でも来るかどうかはわからないなー、メッセージで聞いてみようか」

 きさらぎはテトをなでにくるのー!

「自分に自信のあるタイプの猫! 大変よろしいと思います」

 その言葉はちゃんとフレンドメッセージで伝えておこう。如月くんならもしかして来てくれるかも知れないからね、テトを撫でに。わからんけど。

 アサギくんが一通り報告した後、じゃあまた明日な! と帰っていくのを見送ってから、テト用のブラシを取り出してブラッシングを開始する僕である。今日毛並みを褒められていたテトは、ブラッシング大好きっ子に育ってくれました。さらっさらつやつやの猫毛に皆酔いしれれば良いのだ……!


「まあ明日すぐ来るって感じでもないな。ツバキたちにあげる甘味でも作るか」

 くりー!

「言っておくが栗は使わないぞ」

 そんなー!

 があん、とショックを受けたような顔をしたテトさん、そのまま小さく「にゃ……」とつぶやいて崩れ落ちた。なんて素晴らしいリアクションなんだ。イオくんもちょっと笑っちゃってるよ。

「栗は残り少ないからな。よそに分けてやる分は無い」

 すくない……。テトにはたべさせてくれる?

「テトとナツには後で栗入り蒸しパン作ってやるよ」

 それならゆるすー!

 にゃあん、と途端に元気になって顔をあげるテトさんである。ねえイオくん、会話できてるでしょこれ、会話してるよね? テトの副音声聞こえてるんでしょ、正直に言おうか?? とジト目で詰め寄ってみたけど、「わかりやすいからだいたい分かるんだよ、おまえと同じで」という回答をもらって、ですよねって思った。分かってたけど、テトも心読まれてるんだな……。


「で、子ども担当ナツ。子どもが好きなお菓子ってなんだ?」

「うーん、栗じゃなくても、蒸しパンがいいんじゃないかな。ほんのり甘いし甘すぎないでしょ」

「あー、素朴な感じのやつな。それにするか、木苺のジャムでも練り込んで」

「最高だと思います。僕の分も!」

 甘味に慣れてない子どもたちに食べさせるものだから、ほんのりした甘さから行かないと。焼き菓子系は刺激が強すぎると思う。甘さ控えめで行こう。

「そういや波多野家で最初に食べたおやつ、蒸しパンだったな」

 懐かしそうに笑ってイオくんが言う。そうだっけ? そうだったかも。お母さんがちょうどバナナ入りのお菓子作りにハマってた時期かな。バナナ蒸しパン、あれ結構美味しいんだよね。

「イオくんがたくさん食べてくれたからお母さんが喜んでたような?」

「いやなんか感動して。蒸しパンって家庭で作られるものなのかって」

「蒸し器あれば結構簡単だよ、イオくんも作ろうよ」

 ちなみにホットケーキミックスを使うと更に簡単。僕でも作れるお菓子です。テトが「ばななー?」って首をかしげていたけど、そういえばアナトラ世界ではまだバナナ見てないな。あったかいところにあるものだから、ナルバン王国には流通してないかもだ。

 将来的に、もっと南の方の国に行けるようになったら、南国フルーツが山程手に入るかもしれない。そしたらてんこ盛りのフルーツパフェ作ってもらおう。


「蒸し器か……肉まんの季節には考える」

「まさか手作りの肉まんを作るおつもりか……! 予約お願いします!」

「店じゃねえんだが」

 ケラケラ笑うイオくんである。まあでも言っておけば作ったときに食べさせてくれるはずだ、イオくんは身内に優しいので。蒸し器で作る肉まん、絶対美味しいじゃん。

 にくまんなあにー?

「ふかふかの白いパンのようなものの中に、ひき肉とか野菜とか旨味が詰まっている熱々の食べ物だよー。サンガで食べたの覚えてる? イオくんがもっと美味しいのを作ってくれるから、テトが食べるときは【適温】しようねー」

 まるくてしろいのー? あれたのしいのー!

 そう言えば家のテトさん、最初皮だけかじって中身ないって不思議そうにしてたっけ? そのあとお肉探し当てて満足そうだったから、宝探しみたいだなって思ったんだよね。それがテト的には楽しかったらしい。

 イオくん、皮はぶ厚めでお願いします!



***

ナツのステータス久々に乗せておきます。自分用備忘録。


ナツ プレイヤーレベル16 上級魔法士レベル10

HP:150 MP:460

筋力:5 物理防御力:15 魔力:46 魔法防御力:42 

俊敏:10 器用:25 幸運:45

残りPP:4


■基本スキル

<瞑想>レベル4 <迷彩>レベル10MAX <魔力強化>レベル3 <生産者の心得>レベル3 <聖水作成>レベル6

<金属加工>レベル6 【プレス】【キューブ】【スフィア】

<雷魔法>レベル4 【サンダーアロー】【スパーク】

<樹魔法>レベル3 【トラップ】【グローアップ】

<氷魔法>レベル3 【アイスアロー】【アイス】

■発展スキル

<上級水魔法>レベル4 【ウォーターアロー】【アクアクリエイト】【アクアウォール】【アクアヒール】【アクアレイン】【ディフェンシブ】/ 【アクアランス】【ミスト】【アクアウェーブ】

<上級火魔法>レベル4 【ファイアアロー】【イグニッション】【ファイアウォール】【パワーレイズ】【ファイアレイン】【ファイアヒール】 / 【ファイアランス】【ファイアウェーブ】【マジックパワーレイズ】

<上級風魔法>レベル5 【ウィンドアロー】【クリーン】【ウィンドウォール】【ウィンドヒール】【ドライ】【ウィンドラッシュ】/【ウィンドランス】【フロート】【ヘイスト】【ウィンドショット】

<上級土魔法>レベル4 【サンドアロー】【サンドウォーク】【サンドウォール】【サンドラッシュ】【クレイ】【リフレッシュ】/【サンドランス】【バインド】【レジスト】

<上級光魔法>レベル5 【ライトアロー】【ライト】【ライトウォール】【ホーリーギフト】【ライトランス】【ピュリファイ】/【ホーリーレイン】【スポット】【ライトショット】

<上級闇魔法>レベル4 【ダークアロー】【ダークアイ】【ダークウォール】【カオスギフト】【ダークランス】【ブラインド】/【ダークラッシュ】【シャドウ】

<上級彫刻>レベル10 【フリードロー】【インスピレーション】【アンドゥ】【コピー】 木材/ガラス/金属

<識別感知>レベル12 <罠感知>レベル4 <総合鑑定>レベル12 <MP回復量増Ⅱ>レベル8 

<高度魔術式>レベル4 <強節制>レベル7 <ヘイト低下(中)>レベル7

<魔力ブーストⅡ>レベル5 <魔操Ⅱ>レベル3 【クールタイム減少Ⅰ】

<原初の魔法>レベル1 ★セット1:向上【俊敏】【頑丈】

■固定スキル

<ヘイト軽減Ⅰ>敵からのヘイト20%軽減

<MP軽減Ⅰ>使用MP20%軽減

<魔法回復量増加Ⅰ>自分が使用する回復魔法の回復量を20%UP

<グッドラック>レアドロップ率UP、レア遭遇率UP、レアイベント発生率UP

<妖精の眼> 妖精郷・それに準ずる場所への扉、隠れている妖精を見つけることができる。

<意思疎通> 自分の契約獣とある程度の意思疎通が可能になる。

残りSP:23

次回は食べ物系の気楽な閑話。


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