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3日目:ちょっと成長


 15匹でした!


 って元気に宣言したけどもう気力が無い。最後に出てきたチーフ、レベル10とかだったんだけどどういうこと? めちゃくちゃ強くて死に戻りを覚悟したよね。

 イオくんが土壇場でレベルアップしたのと、僕の<水魔法>がレベル7になって【アクアレイン】と【アクアヒール】を覚えたおかげで、かろうじてギリギリ競り勝った感じ。レベル10のチーフはそれまでのチーフと違って噛みつきで出血の状態異常とか付与してきたせいで、イオくんの「身体保護のお守り」は途中で壊れちゃって大慌てだった。


「い、生きた……!」

「それ俺の台詞!」


 HPレッドゾーンに入っているイオくんが、叫びつつその場に寝転がった。疲労困憊の様子である。僕? HP満タンだよ、後衛だもの。

「あー、状態異常マジ怖い。ナツが気づいてお守り投げてくれなかったら死んでたなこれは」

「ヒーラーとしてHP減る速度には気を付けてるからねー。気づいてよかった」

 途中でやけにHPの減りが早くなったイオくんに、自分の「身体保護のお守り」を投げつけて【アクアウォール】使ってる間に素早く装着してもらったおかげで、出血ダメージは何とか1回食らっただけで防げた。我ながらファインプレイだと思う。


「消耗が激しい。このお守りもあと1回で壊れるぞ」

「帰ったらまた作んないと。イオくん、そろそろポーション飲めるよ」

「よっしゃ」

 クールタイムを置いてポーションを飲んだことで、イオくんのHPが100回復してレッドゾーンを脱出。チーフのレベル10は強すぎた、イオくんの武器が氷雪の剣になってなかったら詰んでたよほんとに。ダメージ量が初心者の剣とは比べ物にならないから。


「そろそろ★2のポーションに切り替えたほうが良さそう?」

 ポーションは品質の★が増えると×100ずつ回復量が増えていく。今までは★1の100回復で回してきたけど、イオくんのHPはすでに300以上なので効率が悪くなってきた。

 金額的な効率は★1のほうが良いんだけど、それでピンチになってたら元も子もないし。覚えたばかりの【アクアヒール】はHP小回復だから、回復量100~150くらいでランダム数値で、安定を考えるとちょっと心もとないし。

「そうだな、MPもHPも★2に切り替えるか」

「ポーションのクールタイム変わるから注意」

「了解」


 チーフを15匹倒すためには、普通のイビルドッグを150匹たおしているわけで、魔物素材のドロップがとんでもないことになっている。バイトラビットでも使った、団体を釣ってウォール系魔法で一網打尽作戦でさくさく倒したとはいえ、そこそこ時間がかかってしまった。

「13時近いね。イチヤに戻ってお昼食べよう」

「腹減ったー。焼き鳥食いながら戻ろうぜ」

「僕塩がいい!」

「俺も塩にするか」

 動いた後は塩分が欲しくなるよね。


 午前中いっぱいを狩りに費やしたおかげで、僕とイオくんのプレイヤーレベルはそろって2つ上がっていた。プレイヤーレベルが上がってもPPは自動振り分けと手動振り分けで2ずつもらえたから、合計4PPもらえた。どうやらプレイヤーレベルでも職業レベルでも、とにかくどっちでもいいからレベルが上がればPPはもらえるっぽい。

 職業レベルの方も順調に上がって、現時点でのステータスはこんな感じ。


ナツ プレイヤーレベル12 上級魔法士レベル3

HP:150 MP:390

筋力:5 物理防御力:15 魔力:39 魔法防御力:27 

俊敏:10 器用:17 幸運:27

残りPP:6

<水魔法>レベル9 【ウォーターアロー】【アクアクリエイト】【アクアウォール】【アクアヒール】【アクアレイン】

<上級火魔法>レベル2 【ファイアアロー】【イグニッション】【ファイアウォール】【パワーレイズ】【ファイアレイン】【ファイアヒール】 / 【ファイアランス】

<土魔法>レベル5 【サンドアロー】【サンドウォーク】【サンドウォール】

<風魔法>レベル5 【ウィンドアロー】【クリーン】【ウィンドウォール】

<闇魔法>レベル2 【ダークアロー】【ダークアイ】

<光魔法>レベル2 【ライトアロー】【ライト】

<MP回復量増Ⅰ>レベル10(MAX) <彫刻>レベル9 【フリードロー】【インスピレーション】

<魔術式>レベル6 <識別感知>レベル2 <罠感知>レベル2 <鑑定>レベル9 

<節制>レベル3 <瞑想>レベル2 <魔法操作>レベル2 <ヘイト低下(小)>レベル4

固定スキル:<ヘイト軽減Ⅰ>敵からのヘイト20%軽減 <MP軽減Ⅰ>使用MP20%軽減

残りSP:43


 アクセサリと装備は割愛。 

 スキルも結構カンストしてる。<鑑定>がもう少しでレベル10だから、その辺にあるもの全部<鑑定>して帰ろうっと。<彫刻>は、今日作業場にこもったら上がるだろうし。PP振り分けとスキル取得はお昼食べながらやろう。

「剣の耐久は思ったより減らないな。一安心だ」

 と、焼き鳥を食べ終わったイオくんは言う。「そうなんだ?」と相槌を打ちながら<鑑定>。えーと、耐久32/500……減った分が32ってことかな。

 あの怒涛の連戦を終えて32なら、減りは少ない方なんだろうか。

「修復ってどうするの?」

「耐久が100切る前に鍛冶屋に持っていけばノーリスクで上限まで回復するらしいんだが、100切ってから持っていくと上限が減ったり壊れたりするらしい」

「怖っ。頑健のお守り、今日作るから使って」

「頼む」


 えーと、今日作るものは、頑健のお守りが2つ、身体保護のお守りが……4つくらい作ってイオくんに予備を持たせておく。金運上昇のお守りと生産成功率UPのお守りは性能がいい奴を作って、札を作れるようになったらそっちも。

 木材はハンサさんのところで買ったやつが絶対に品質が良くなるから、大事なのはそっちで作ろう。キガラさんとこで買った端材は、★3均一品質だったっけ。

 ハンサさんのところには、サンガに旅に出る前にもう一回行かないとなあ。木材もっと欲しい。


 東門にたどり着くと、今度はアーダムさんが門番に立っていた。「お疲れさまです」と声をかけて門をくぐると、「ソルーダが来てるぞ」と情報をもらった。

 詰め所に向かってみると、またしてもソルーダさんはどでかいお弁当をかっ込んでいるところで……なんか毎回ちょっと間が悪いなあ。

 僕たちに気付いたソルーダさんは、水を飲んで口の中のものを飲み込んでいる。口にものを入れたままでしゃべらないのは育ちが良いから、だよね。


「お2人とも、差し入れをありがとうございます」

「ああ。無理して飲み込まんでもいいぞ。ソルーダのおかげでいい武器が買えたからな、ちょっと礼が言いたかっただけだ」

イオくんが装備中の剣をぽんぽんと軽くたたいてそういうと、ソルーダさんはにっこりと笑った。

「あの店、良いでしょう? 望み通りの武器が出てくるんです」

「ああ、店主の質問に答えるだけで理想的なのが手に入った。これは長く使えそうだ」

「ある程度のところで強化をしていくのがおすすめです。強化すると耐久度も回復しますからお得ですよ」

「そうなのか」


 ソルーダさんはそれから、剣の手入れだとか装備品の選び方なんかをちょっとだけ教えてくれる。これはイオくんにとって良い情報だ、と思ってにこにこ聞いていたら、途中でソルーダさんは僕に視線を向けた。

 何かな? と首を傾げたところ、なんか慈愛に満ちた微笑みを向けられる。

「ナツさんはローブかケープか……コートでもいいと思いますが、防具で魔法士向きとなると魔物素材を使ったものがいいでしょうね」

「魔物素材ですか? バイトラビットの毛皮みたいな?」

「いえ、マギスパイダーの糸とかアラクネの糸とかが代表です。軽くて丈夫で耐久性に優れ、物理防御力を上げてくれる優れものですよ」

「前回、子供でももうちょっと体力あるって言われたのでちゃんと物理防御力上げましたよ!」

 HPだってお守り込みでHP180になったし! そこまで心配しなくても大丈夫だし!

 と必死に主張したけど、ソルーダさんの慈愛のまなざしは変わらなかった。あれか、僕子供枠に入れられてるのか。そりゃイオくんのHPの半分しかないけど! お守り外したらさらに下がるけどね!?


 憤慨する僕をスルーして、イオくんはパーティー掲示板にアラクネの糸、マギスパイダーの糸、とメモを入れている。買う気満々では??

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