表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
196/399

22日目:お手伝いは無事に一区切り

いつも誤字報告ありがとうございます、助かってます。

 20センチ四方くらいの金属サイコロが19個できた頃、僕の<金属加工>スキルは更に2つ上がって、【スフィア】という新しいアーツが出てきた。今度は球体にするアーツだ。基本スキルは成長が早いから助かるね、SPも貯まるし。

 サイコロを一回【プレス】して、その一部を小さく【スフィア】にして……よしよし、ビー玉くらいの丸い玉ができたので、これを……。

「テトー。金属だけどボールできたよー」

 わーい!

 ぽいっと転がしてみると、大喜びでとびつくテトさんである。小さいから、金属だけど結構転がる。それを追いかけて飛びついては転がし、飛びついては転がしと大はしゃぎしている……僕を乗せたままで。

 うーん、降ろしてもらえると思ったんだけどな! がっくんがっくん揺れて割と激しい運動してるのに、乗ってる僕が全然酔わないのはテトさんの<騎乗者保護>スキルのおかげだろう、ありがとうテト。でもできれば降ろして……できれば……!

 と懇願してみましたが、テトさんの返事は「だめー」でした。

 イオとやくそくしたもーん。

 だそうです。くっ、契約者の僕よりもイオくんとの約束のほうが優先されるあたり、テトの中でのピラミッドがなんか理解できる……! イオくんが強者なのは分かってたけどさー!


 ナツー。これほしいのー。

「いいよあげるよー。金属だから食べないでねー」

 わかったー、ありがとー!

 前足で球体をころころするのがお気に召したらしい。にゃはーっと満足そうにしたテトは、そのままにゃにゃにゃっと呪文を唱えて影から箱を呼び出した。宝物入れにするって言ってた箱だね。器用にそれを頭で開けて、金属製のビー玉は僕の初期装備の上にちょこーんと乗せられた。

「……テトさん、なんで僕の初期装備入れてるの?」

 イオがねー、びんわれるかもしれないから、クッションにしろってー。

「あ、そういえばミィティさんが作ってくれた瓶入れてたね。そっかー、イオくん頭いいからそういうのすぐ思いつくんだよ、えらいねー。僕のローブでよかったらいくらでもクッションに使って」

 ありがとー!

 またしても器用に頭で蓋を閉めて、テトは再び宝箱を影にしまった。とても満足そう。よかったね……。満足したら僕を降ろしてくれたりとか……あ、ハイ駄目ですか。ぐぬぬ。


 とりあえず【キューブ】で作った四角い金属は、積み上げてても崩れたら危ないし、一旦インベントリにしまっておこう。イオくんの【クリーン】事業早く終わりませんか! と様子を伺ってみたところ、そろそろ終わりそうだったので大人しく待機……。

 長屋の解体はすでに終わっていて、門から里に入ってすぐのところに大きく広場が出来上がっていた。単身で長屋に住んでいた人たちは結局、炊事場の近くの方に移動になったらしい。

 老朽化して放置されていた屋敷があったから、それを解体して新たに2階建ての共同住宅を建設中なんだって。今イオくんが木材を綺麗にしてるのも、そっちで再利用するから。今日これから急いで建築を進めて、明日には住めるように整えるというからすごい。部屋面積そのものはちょっと狭くなるっぽいんだけど、炊事場が近いというのが利点で、みんな結構あっさり移動に同意してくれたとか。

 わかる、立地が便利な方がいいよね。それはそうとして今日の夜はどうするのかな? と思ったら、丘の上の一軒家住まいの皆さんが協力して全員を一泊させてくれる事になっているのだそう。抜かり無いねえ。

 瓦礫を処分して土地を大体均したら、共同住宅が終わり次第ギルドの移築が始まる。多分雷鳴さんたちがサンガに着くのは今日だから、サンガに数日滞在して話をまとめてもらうとして、帰ってくるのにも最低2日はかかって……まあ十分間に合いそう。


「俺がいなくても大工さんたちが優秀だから、さくさく進めてくれるしなー」

 とぼやいているアサギくんである。その右手は一心不乱にテトを撫でている。

 木材を一箇所に集めるのに、筋力が足りていたイオくんはそのままお手伝いして、筋力が足りてなくて木材を持てなかったアサギくんは僕のところに愚痴りに来たという構図だ。鬼人さんは種族的に筋力が伸びやすいからねえ、ハクトくんくらいの子どもですら僕より筋力ありそうだもん。

「ちなみにアサギくん筋力はいくつ……?」

「え、聞く? ボーガン威力補正あるとは言え驚きの16でここまで来たぜ。マジできつかったけど。クリティカルで威力上がるって言っても、そろそろ20は欲しい」

「2桁あるならいいんじゃないかな……」

「あれ、まさかなっちゃん筋力にPP振ってない感じ?」

「筋力はいらない子なので!」

「逆にすげえ!」

 とりあえず掲示板で確認した限りだと、全てのステータスを一旦10まで上げるのが必須と言われているらしい。色々デメリットがあるから理解はできるよ。


「このゲーム、職業によってやること全然違うからなー、王道の進め方が存在しないと言うか」

「前に召喚士さんにどんなふうに進めるのか聞いたことあるけど、たしかに別ゲーだった気がする。弓の種類って多いの?」

「多いぞ! アーチェリー系、和弓系、短弓、ボーガン、くらいまでが王道。飛び道具全般弓士で開始になるから、他にもブーメランとか投げナイフもあるし、変わったところだと吹き矢とか」

「お、おお……」

 それは多彩だねえ。遠距離攻撃好きだから、正直弓士と魔法士で迷ってたんだよなあ、最初。ただ、今までやってきたゲームでも回復覚えてヒーラーやることが多かったから、慣れ親しんだほうを選んだんだよね。<調薬>と<投擲>を取って弓士でポーション投げるプレイもありだったかなあ。


 と、そんな話をしているうちに、木材を一箇所に集め終わった大工さんたちとイオくんが戻ってきた。

「終わったぞー」

 と気楽な感じでアサギくんに手を上げるのが、この大工集団の親方であるレッカさんだ。鬼人さんの、特に男性はヒューマンより一回り大きいんだけど、レッカさんも例に漏れず背が高くて筋骨隆々、いかにも大工さん! って感じ。イチヤで知り合いになったキガラさんと同じくらいかな? このレッカさんが物々交換で仕事を請け負っている店が、里で唯一の工務店ということになる。

「お疲れー。時間あるし、木材を共同住宅の方まで運ぶところまでやるか。昼は炊事場で何か作って食べられるし」

 と返すアサギくんは猫獣人で、なおかつ、あえて身長を低くしたと豪語する小ささ。この2人が並んでいると、なんかこう、巨人と小人感があって、すごくファンタジーを感じる。微笑ましいというか……!

 ちょっと和みつつ、僕も作った金属のサイコロを出して全部レッカさんに渡しておいた。<金属加工>で取り出したものだから武器向きじゃないけど、里の鍛冶師に預ければ壁の芯になる棒にしてくれるんだそう。役に立ってよかったよ。


 ホッとしている僕のところに、仕事を終えたイオくんが戻ってくる。よし、とりあえず交渉から入らねば。

「イオくんお疲れ! 僕もう降りていい?」

 いや、別に無理やり降りようとすれば降りられないことはなかったんだけど、テトが悲しむ姿は見たくないから、テトがいいって言うまで待ってたんだよね。そしたらテトはずっと「イオがいいっていったら、いいよー」、みたいな感じだったからさー。イオくんは僕を見て、テトを見て、うむと一つ頷いた。

「テトちゃんと乗せてて偉かったな。もういいぞ」

 テトおしごとちゃんとしたのー。ほめてー。

「やった、じゃあ降ります。イオくんはテトのことを褒めて!」

「おう」

 ようやく降りられた……! 安堵する僕である。

 街中でテトに乗ることって今までなかったから、なんか他の人達が歩いてるのに自分だけ楽して悪目立ちしてる感がすごくいたたまれなかった……! 誰も気にしてなかったかもしれないけど、僕は気になるのだ。


 イオくんに褒められてにゃふーっとドヤ顔を披露したテトは、ごろごろ喉を鳴らしながら僕にすり寄って、ほめられた! といつものご報告タイム。よかったね、と僕がテトを撫でている間に、イオくんがアサギくんたちの次の予定を聞き出している。

「そうそう、共同住宅の壁を塗る作業まで今日やりたくてさ。里の備品に漆喰の壁を作る材料はあるっぽいんだ、でもこれは乾かないと壁としては強度が不十分で……」

「それで引き渡しが明日なのか。……あ、ナツ、お前【ドライ】って魔法使えなかったか?」

 お、そう言えばそんなものがありました! イオくん毎回僕のできることまでちゃんと把握しててえらいな。

「あるよー! 何でも乾かす魔法!」

「神! それって何魔法?」

「<風魔法>、上級じゃなくても取れるはず」

「マジかー!」

 アサギくんはまた<風魔法>欲しい、とぐぬぐぬしていたけれども、ステータス画面でSPを確認して再び諦めていた。実際、便利だけどね<風魔法>。上級になると覚える<ヘイスト>とか、俊敏重視のアサギくんにはめちゃくちゃ役に立ちそうだけどなあ。

「じゃあ、壁塗終わった頃にまた手伝い来てくれると助かる。午後3時くらい……もっと遅れるかも? フレンドメッセージ入れとく」

「いいよー! 僕たちこれからフィールドで狩りしてくるから、肉落ちたら差し入れするね」

「助かるー! あ、なっちゃんたち里の西方面から来ただろ? 北の方少し行くと、ハニーラビット出るぞ」

「有益情報!」


 ハニーラビットと聞いて、テトが耳をぴぴっと動かした。

 きのうのしろいのー!

 とシチューを思い出している。テトはサンガでもホワイトシチューを食べたことあるはずなんだけど、あのとろける肉シチューがお気に入りの様子だ。僕も正直昨日のシチューが美味しすぎて、サンガで食べたはずのシチューの味は遠ざかってしまったよね。

 ここから北の方向と言うと、サウザン川の方だから、枝道も伸びているはず。道周辺の様を見つつ、ハニーラビットを倒せたら最高かな。

「あ、でも、あの辺アント系の敵が多いんだ。あいつら酸吐いてきたり集団で襲ってきたりしてうざいから、気をつけろよ」

「アント系……巨大な蟻ってことでいいのか?」

「そうそう。一番多いのがソルジャーアントっていう、戦士タイプの蟻な。こいつら硬いし3匹で集団戦してくるし、酸吐くしマジでうざい。でも攻撃自体はそこまで強くないし、風属性だから火に弱いぞ。おかげで俺は倒しやすくて助かった」

 お、いいね。<上級火魔法>あげていこう。レベル3で覚えた【ファイアウェーブ】っていう攻撃魔法を使ってみたいんだよね。水と火はこのウェーブってつく魔法を覚えるんだけど、これ少し変わってて、自分を中心にして円形に範囲攻撃をするらしい。

 フレンドリーファイアがないからイオくんにダメージが行くことは無いけど、使ってみないと威力とか範囲とか、ヘイトの増えやすさとか分かんないし、是非使いたかったんだ。

 ちなみに、風と土はウェーブじゃなくて、光と同じでショット系の魔法になる。光と闇は両方覚えられるという噂だけど、レベルいくつで覚えるのかな?


 イオくんが他に出てくる敵の情報をいくつか仕入れてから、僕たちはアサギくんたちと分かれた。まず北方向でハニーラビットを探して、そこから西方向にずれていって白地図を少し埋めようという感じ。運が良ければ西方向でフォレストスネークを倒せるから、両方狙いたい。

 食べ物は大事なのだ。

 大工さんたちへの差し入れの分も、たくさんゲットしないとね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ