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21日目:新しい魔法始めました。


 さて、<原初の魔法>を手に入れた僕には、SP12が残されている。

 取れるのだ、<樹魔法>と<氷魔法>。これはもう取るしか無いのではないか? SP2しか残らないけど、実質0でなんとかしている雷鳴さんとか如月くんとかもいるわけだし……!

 テトだって新しい魔法みたいよねー? と聞いてみたところ、きらきらのみたーい。と言われたのでこれは許されているはず。

「それでは<氷魔法>と<樹魔法>を取ります!」

「まあそれは許されるな」

「許された!」

 ゆるすー!

「テトもありがと!」

 よしよし、イオくんとテトが許してくれるならば問題はあるまい! 取得!

 SP2になってしまうと流石に「くっ、これ以上は……!」って感じだけど、魔法はどうせいつか取るんだから良しとしましょう。えーと、それじゃあ色々謎が多い<樹魔法>から見ていこう。


「初期から使える魔法が植物類を成長させる【グローアップ】と、足元に罠を仕掛ける【トラップ】だけなわけですが!」

「トリッキーだな?」

 いや、ほんとトリッキーだし、<樹魔法>だけ魔法の系統違うねこれ。他の魔法は全部、最初に覚える魔法はアロー系なのに。トラップってどんなだろうと思って説明を読んだところ、足元に植物の輪っかを作って敵を転ばせるというやつだった。草結び……?

 敵を崩すために使うものだと思うんだけど、バイトラビットとかイビルドッグ系の猪突猛進系の敵にすごく強そう。プレイヤーもそうだけど、敵も転ぶと体勢を立て直すのに少し時間がかかるからチャンスタイムになるんだよ。

「んー、この先どんなアーツが出てくるのかが全然予測できない……」

「その【グローアップ】ってやつ、農作物も育てられるのか?」

「あ、どうだろう。……うん、植物全般に効くらしいよ。あくまである程度の成長促進だから、何度かかけて成長を確認する必要はありそう」

「雷鳴が欲しがりそうだな」

「確かに。教えておかなきゃ」

 そういえば農業希望の雷鳴さんが一番欲しがりそうな魔法だね、これ。試しに種植えてみて成長させて味を見るとか……? 雷鳴さんが<雷魔法>より<樹魔法>を先に取得してしまったら僕の責任……だけど欲しがりそうな情報を回さないという選択肢はない。


 今頃枝道を歩いている頃だろうし、夜になってキャンプ張ったかな? ってころにフレンドメッセージを入れておくことにしましょう。僕は先に<氷魔法>の確認を……っと。

「うん、<氷魔法>は【アイスアロー】と【アイス】というイメージ通りのものが出てきたね」

「アローはわかるとして、【アイス】は?」

「えーと、普通に氷の塊を出す魔法。氷の大きさは消費するMPによるらしい。【アイス】」

 試しにMP2で作ってみたところ、冷蔵庫でよく作るサイコロ大の小さい氷がころんと出てきた。テトの目の前にできたので、不思議そうに首をかしげたテトがあーんと口を開けて……。


「あ、テトそれ冷たいよ」

 つめたーーーい!!

 遅かった。テトさん涙目になって氷をカジカジしている……。吐き出すという選択肢はないらしいのでそこはえらいけど、テト冷たいの苦手なのをすっかり忘れてたね。

「……いや、何でも口に入れるんじゃねえよ」

 とイオくんが呆れたような口調でテトを撫でてあげている。正直僕がテトの目の前に出しちゃったせいだと思うので、そこは僕が謝っておこう、ごめん。

「テトは僕が差し出すものは何でも美味しいと思っているらしいので……。ほらテト、リィフィさんの飴だよー、口直しにどうぞ!」

 あまいのー!

 屋台で買いだめした飴のうち、きれいな青い飴をチョイスして差し出すと、さっき冷たい思いをしたくせに何の警戒心も抱かずにかぷっと食べるテトさんである。確かにちょっと心配になるなあ。


「テト、美味しいものをもらっても、俺とナツ以外に付いて行くなよ」

 すごく真顔でそんなことを言うイオくんに、テトはちょっとだけキリッとした顔をして、

 テトはナツとイオのところのこだもんー。

 と答えている。信じたい、この言葉。まあ大丈夫だとは思うけど、イオくんの危惧もわからないでもないので、僕はこのやり取りについてはスルーしておこう。

 そういえば、リィフィさんの飴、青と赤のチェック模様のがあるんだよね。庭の炎鳥さんたちが生まれたら、これあげるの楽しみだなあ。魔力を含んだものが好きだってソウさん言ってたし、エクラさんのところの蜜花も好きかもだ。

 考え事をしつつ座卓の上に目をそらすと、そこに転がっていたのはイオくんが持ち込んできた空の魔石が3つ。そう言えばこれに魔法を込めてみようって話してたっけ?

 色が抜けたのか、ガラスっぽい感じの魔石はそら豆位の大きさ。何を込めればいいのかわからないけど、【ピュリファイ】でいけるかな? こういうのって<鑑定>したら詳細が出てきたりしない?

「<鑑定>」

 とりあえず基礎の基礎だから、やっておくに越したことはないでしょう。そう思ってスキル発動した僕に、イオくんが横から口を挟む。

「空っぽの魔石ってことくらいしか情報出なかったぞ。素材としては砕いてガラスに混ぜると綺麗らしい」

「え、イオくんの方それだけだった?」

「ナツは?」

「一晩、聖水に浸してから攻撃魔法以外を込めることで、魔法石ってものになるらしいよ」

「……ああ、<宝石鑑定>必要なやつか」


 なるほどそれだ。僕の<鑑定>だけ情報多いってことは、イオくんが統合してない鑑定があるということ。<宝石鑑定>は星級の人たちに出会ったときに取得可能になったやつだから、イオくんも取得できるとは思うけど……いるかと言われると、正直なところ必要なさそう。ま、どっちかが取ってればいいか、必須情報じゃなさそうだし。

「魔法石っていうのは宝石と違うのか?」

 きらきらー?

 テトさんの期待のこもった眼差しに、僕は頷いて答える。多分きらきらだよ。

「宝石とよく似てるけど、宝石ほどの価値はなくて、イミテーション用に使われる人工宝石のことだって。宝飾職人さんたちが宝石加工するときの練習用に使ったり、本物の宝石を買えない人たちが代用品として愛用してるらしいよ」

 僕がイチヤでたくさん<宝石鑑定>を使ってたとき、イミテーションと表示されたやつがこれだね。魔道具を使っていて空になった魔石を使うから、リサイクル品でもある。色とかは、込める魔法によって異なるそうだ。

「1回やってみたいね。イオくん僕のマグカップ出して」

「おう」

 飲み物用に何個かマグカップは買ってあるけど、イオくんが出してくれたのは木製のやつだった。テトがうっかり倒しても割れない物なので安心。これに【アクアクリエイト】で水を入れて、マギプランツの粉を溶かして、【ピュリファイ】……っと。聖水を作ったら、あとは空の魔石を3つとも中に転がして、明日まで待ちだ。


「あ、今ので<上級光魔法>レベル5になった」

「新しい魔法覚えたか?」

「えーと、レベル3でも新しいの覚えてたんだけど、【スポット】っていう、対象にスポットライト当てる魔法。使わないから今まで存在を忘れてたね……」

 生活魔法的な分類のやつだと思う。暗闇で探しものとかするときピンポイントで照らせるけど、正直ライトで良くない? って感じ。まあ、任意のものを輝かせる魔法だから、美術品とか目立たせるのに使うんだろうな本来。

「で、レベル5で覚えたのが【ライトショット】、範囲小の攻撃魔法だよ」

 範囲攻撃魔法は、レインやラッシュが直径3メートルくらいとすると、このショットは直径1メートルくらいだそうで、狭いし範囲攻撃としては微妙そうなんだけど、威力が強い。純粋に単独魔法のランス系と同じくらいの威力があるし、敵が確率で盲目状態になるというオプション付き。MP消費量はそこそこだけど、使い勝手は悪くなさそう。

「光魔法でも盲目ってことは、眩しさで目が潰れるのか」

 と納得したようなイオくんである。恐ろしいことを言うなあ。

 ところで<上級闇魔法>もレベル3で新しい魔法を覚えてて、こっちは【シャドウ】っていうやつだった。任意の物体や人を影に隠すという魔法で、<迷彩>と同じような効果だけど、対象が大きくなるほどMPを使うらしい。現在の僕のMPは460あるけど、人を1人隠すには最低でもMP1000 は使うそうなので、こちらも使い所が無いなあ。


「どうする? ちょっとフィールド出て魔法の使い勝手確認するか?」

 と気の利くイオくんが言ってくれるけど、空を見るとすでに夕暮れ時に差し掛かりつつあるようだから、流石に今からフィールドは怖いかなあ。

「明日にしようか。テト、明日ちょっと乗せてほしいけど大丈夫?」

 まかせろー!

 わーい、とその場でぴょいんと跳ねるテトさん。やっぱりちょっとキリッとしている。あ、明日フィールドに出るということは、フォレストスネークを狩るチャンスがあるね。肉! 肉集めたい! ただ蛇相手に<樹魔法>が効くかどうかはちょっとわからないという……。足のない敵に【トラップ】って使える? その辺確認しなきゃだ。

 ナツー、きらきらもあしたー?

「テト、そのマグカップ倒したらだめだよ。その魔石は明日魔法を込めてみるから、うまくできたらテトに1個あげるね」

 きらきらー!

 わあいって喜ぶテトさんだけど、白系が好きだろうから、【ピュリファイ】を込めてあげよう。多分テトビタっぽい金色がかった輝きになる……はず? 楽しみだね。


「というわけでイオくん、僕は生産をたくさんしたのでお腹が減っています」

「おう、何が食いたいのか言ってみたまえ」

「もらったばっかりのハニーラビットのお肉があるよね!」

「あれか」

 そう、あの甘いお肉! あれ買ったのイチヤだったし、まだテトいなかった頃だからテトにも食べさせてあげたい。それに、あのときは量が少なくて普通に焼いて味見しただけだったんだよね。今なら、イオくんの<料理>スキルがあるのだ……! つまり味見したときより確実に美味しいものが食べられるのである!

 リアルだとウサギ肉って煮込み系のお料理が多いみたいなんだよね。トマト煮込みでもワイン煮込みでも僕はどんと来いだよ!

 わくわくと期待を込めて見つめていると、イオくんは少し考えてから、よし、と一つ頷く。

「食いしん坊にそこまで期待されちゃ仕方ない。……今夜はウサギ肉のシチューに決定」

「やったー!」

 やったー!

 バンザイする僕、そしてそんな僕につられて喜んで飛び跳ねるテト。この場合は多分ホワイトシチューの方でしょう。ビーフシチュー系も美味しいけれど、ホワイトシチューはホワイトシチューでザ・家庭の味って感じで好きなのだ。

 僕の家のホワイトシチューは人参玉葱じゃがいもにほうれん草と鶏肉が定番!


「イオくんなら焦がさずホワイトソースを作れるからね、ドリアを作れる料理人なので!」

「料理人じゃなくてもホワイトソースは作れるんだよ、弱火でやれ」

「だが作るつもりはない!」

「知ってる」

 料理できる人はみんなえらいので、僕は褒め称える係になろうと思います。えらい!

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