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2日目:イオくんは剣をゲットする

 イライザさんのクエストは評価Sでクリアしていた。


 報酬として100,000Gがいつの間にか支払われていて、その他報酬欄に「イチヤの重要な情報」「星の好感度上昇」「トラベラーズギルドの好感度上昇」と書かれている。

 ……うん。うん?


「アバルって、領主様では?」

 ちょっと頭が回らないですね……。ひとまず確認の上でそう問いかけると、イライザさんは「そうだ」と軽く肯定した。

「最も、ハンサは当主ではなく、先代当主の弟だが。それに、最後のアバルなんだ。戦争でハンサ以外のアバルは全員死んでしまった」

「え!」

「ハンサが死んだら、王都から次の3等星が送られてくるだろう。だが、イチヤの住民はアバルを敬っているからな。すぐには受け入れられないかもしれない」

「それは、仕方ないのかもしれないけど、あんまりよくないですね」

「ああ。だからハンサはなるべく領主一族のイメージから遠ざかろうとして、果樹園をやっているんだ。何しろあいつはなんでもできるからな、別の意味で信者みたいな者たちが多い」


 あー。

 イオくんとある意味同じような感じかな。イオくんもなんでもできるから変な信者が多いもんね。でもこれで謎が解けた、異世界から入ってきた新しい調味料をなんでハンサさんが作ってるかって、そういう情報を真っ先に知れる立場にいるからかあ。

「俺たちはハンサから直接アバルを名乗られてないんだが、それは知ってもいいのか?」

 困惑したようにイオくんが問う。本人以外から苗字と身分を明かされるって、確かに良くないことかも?

 でも、イライザさんは「構わないだろう」と軽く一蹴した。

「イチヤの住人なら皆知っていることだ。住人とうまくやっていれば、いずれどこかで誰かから聞き及ぶ」

 な、なるほど。

 「あれが町長さんだよー」くらいのノリで「ハンサさんはアバルだよー」って言っちゃうのか。まあ、イチヤの人たちにとってはアバル=領主様みたいな認識なんだろうし、理解はできるね。「NINJAじゃなかったのか……」というイオくんのつぶやきは聞かなかったことにして、偉い人たちと知り合いになっちゃったんだなーと理解する。


 ソルーダさん、イライザさん、ハンサさん。ハッ、まさか他の1家とも知らない間に知り合ったりしてないよね?えーと、エナ家?

「ナツ、エナはもうこの世に無い家だ」

「イライザさんまで心読んでくる!?」

「いや、分かりやすいのでつい。残念ながら、エナは全滅したんだ。特に正義感の強い家だったのでな、味方を見捨てて撤退するということがどうしてもできなかった」

「なんて潔い生き様……!」


 そしてわかりやすいってソルーダさんにも言われた気がする。僕そんなにわかりやすいのかなあ。付き合いの長いイオくんが心読んでくるのはともかく、ソルーダさんとかイライザさんとかほぼ初対面だというのに……!

「なるほど、それでソルーダが人手不足で星落ちできないと言っていたんだな」

 言ってたねそんなこと。イオくん僕へのフォローは無しですか。そうですか。

「ナツが分かりやすいのは今に始まったことじゃないし」

「するっと心読んでくるこの人!」

 僕一人がなんか釈然としない気持ちを抱えたまま、イライザさんとの会合はお開きになったのだった。

 解せぬ!!!



「満足感がすごい」

「良かったね」

 晩ご飯の時間帯だったけど、イオくんがどうしてもと言うので閉店間際の「剣の道」に滑り込んで、お取り置きしてもらっていた長剣を購入した僕たち。

 武具通りの店はほとんど20時には店じまいになっちゃうみたいで、杖の値段だけでも見に行くつもりだったんだけど、断念して剣だけ購入になった。

 大喜びのイオくんの横から<鑑定>してみると、こんな感じの剣だった。


氷雪の剣 品質★5 未強化

氷雪の力が込められた長剣。攻撃そのものに属性は乗らないが、稀に敵に氷結状態を与える。

装備条件:魔力15以上(不足があるため、本来の能力を発揮できません) 器用15以上

効果:筋力+10 稀に氷結効果付与 追撃30%


「つっよ!?」

 追撃30%は強くない? こんな序盤で入手していい武器じゃないよこれ!

「剣士ビルドで魔力に数値振る奴いないからなー、本来魔法剣士用なんだろうけど、追撃がマジで優秀」

「あー、魔法剣士だと筋力にも魔力にも振り分けしないとだから、攻撃力そのものがあんまりパッとしないのかもね。そのための追撃かあ」

「強化したらさらに魔力求められる可能性はあるけどな。装備の為にあと2レベル、早急に上げたい。明日狩りからでいいか?」

「いいよー」


 しかし、未強化かー。

 つまり武器の強化要素があるということだよね。強化って、どうやるんだろう? 修復とはまた別なんだと思うけど……。

「よし、夕飯食って寝るかー」

「一回ログアウトするんだよね。休憩10分くらいでいい? もっとたっぷりとる?」

「夜食でも食うなら30分取るぞ」

「あー……禁断の……」

「真夜中のカップ麺の誘惑」

「やめて」

 本気で食べたくなって来ちゃうのでやめてほしい。


「徹夜のつもりで夕方から夜までたっぷり寝たから、睡眠は大丈夫なんだけど、食欲については制御に自信がない!」

「まあ俺もだな。夜のうちに上手くサンガにたどり着けたら、朝食休憩取るつもりだけど……ナツ、現実世界に飯の用意あるんだろうな?」

「パンあるからピザトーストかなー」

 2・3日はゲームに集中するつもりで、インスタント食品と冷凍食品を買い込んである。いざとなったら出前もあるし。と言うようなことを告げると、イオくんは非常に微妙な顔をしたけど、「まあ、食うならいいか」と一旦飲み込んでくれた。許された。


「今はアナトラ進めるために夜食は諦めよう」

「じゃ、10分休憩で」

 と言うわけで、夜の屋台でホットドックを買い込んで食べたあと、ギルドの二階で睡眠――と言う名のログアウトをするのだった。


明日やること

・テールさんにお肉を売る

・杖を見に行く

・レベル上げ!

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