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14日目:東門からフィールドに出てみよう


「頼み? どんなことだ?」

「トラベラーさんたちにもそのうち広まると思うが、来年サンガでは料理人達が腕を競う料理大会が開かれるんだ」

 それは、戦前は毎年開かれていたサンガの名物大会だったらしい。

 ナンバーワンシェフの座を賭けて、見物客たちの前で料理自慢たちが腕を振るう大会。予選の課題をこなして勝ち上がっていき、最後の決勝では勝ち残った5人のシェフがテーマに沿った料理を自由に作り、その順位を競うのだとか。

 予選の課題は、例えば「リンゴを使ったケーキ」とか、「パスタ」とか料理が指定されるけど、決勝のテーマは「貴族の方がお忍びで店に食べに来た時に出すお任せコース料理」とか、「結婚したばかりの若い夫婦が新婚旅行で奮発して食べる料理」とか、そういうシチュエーションが指定される。

 そのテーマに合うような物を作るので、ただやみくもに高級な料理を作れば良いってものでもなくて、その場で判断していく力なんかも求められるのだとか。


「しばらくは、戦争と戦後処理があって開かれていなかった大会なんだが、もうそろそろ落ち着いてきたし、今年からはトラベラーさんたちもこの世界に来る様になって賑やかになる。だから、来年の春にその大会を復活させるんだ」

「へえ、面白いな。それは俺達も見学できるのか?」

「もちろん、サンガのお祭りみたいなものだ、ぜひ楽しんで欲しい。……俺は、そこで優勝したいんだ」

 静かに、けれども闘志をたたえた声で、ヴェダルさんはそう言った。

「優勝、か。勝算はあるのか?」

「技術に関しては、他に引けを取らない。決勝までは確実に残れると思っている。だが、決勝まで勝ち上がる料理人たちの腕は僅差だからな。勝敗を分けるのは、食材の質や器の選び方等の、些細なものになると予測している」

「なるほど……食材を持ち込めば良いんだな?」

 イオくんの言葉に、ヴェダルさんは大きく頷いた。サンガの朝市に持ち込まれる食材なら、当然ヴェダルさんも色々とチェックしているだろうから、欲しいものはフィールドで収穫できる自然の恵み……その中でも品質の良いもの、ということだろう。確かに、同じ料理でも食材の良し悪しで差がつくこともあるだろうから。

「ああ。イオたちトラベラーは、街の外でも食材を探すことが出来る。それはかなりのアドバンテージだ。イオが見て、これはと思うものだけでいい。いくつ持ち込んでもらっても構わないし、いつ持ってきてもらっても良い。品質★5以上のものであれば、全て買い取ろう」


「★5以上か……。なるほど」

 イオくんは少し考えてから、その依頼を受けた。

 ちょっと気になったからクエスト画面を表示して見たんだけど……これ、クエストタイトルに時計のマークがついてるやつだから、時限クエストだね。やっぱりなあ。えーと、期限は3ヶ月だけど、何回持ち込んでもいいし何品持ち込んでもOKで、その中でヴェダルさんが納得したものだけが大会で使われる、と。

 期間に注意だけど、結構ゆるいクエストみたいでよかった。

「だが、俺達の持ち込んだ食材を無理に大会で使うことはないぞ。あくまでテーマに合いそうなら使うくらいに思っておいてくれ」

「ああ、それはもちろん。俺は妥協はしない」

「よし、それなら色々探してみる。ナツ、お前も美味しいものセンサー働かせろよ」

「頑張る!」

 ヴェダルさん、ナンバーワンシェフを目指してるのか。これは応援しなければなるまい。

 それに探しものなら、多分<グッドラック>さんも結構いい仕事してくれるんじゃないかと思うんだよね。気合い入れて探しますか!


 

 ランチも食べたかったけど、時間はまだまだランチには早いし、流石に2時間もお邪魔するのもなってことで、僕たちは適当なところでヴェダルさんのお店を後にした。

 早起きした日は時間が過ぎるのがゆっくりに感じるよね。というわけで今日何しようかって打ち合わせをした結果、今日は東門から外に出てポイズンシープという魔物と戦ってみることにした。

 南西門や北門からは出たことあるけど、東門方面はまだ行ったこと無いんだよね、フィールド。毒持ちだってきいたから避けてたんだけど、僕が<原初の呪文>を覚えたから……【解毒】とか使えないかなー? ってことになったのだ。

 <上級土魔法>には状態異常回復の【リフレッシュ】と、20秒間状態異常無効の【レジスト】があるから、【解毒】が無理でもなんとか戦えると思うし。とにかく<原初の呪文>がまだまだ結構手探り状態だから、出来ることを確認していきたい気持ちが強い。

 というわけで、イオくんには身体保護のお守りを外してもらって……。


「じゃあ俺が毒もらったら検証な」

「よろしくお願いしまーす!」

 まーす。

「あ、テトはホームに戻ってて。これから戦闘だからねー」

 わかったー。がんばってねー。

 というわけで、やってきました東方面のフィールド! 門から出て南側に川が流れているから、白地図は川の向こう側と東から北東方面がまだ埋まってない。今回は川は渡らないかなー? 東方面を埋めつつ、レベル帯が合うポイズンシープと戦いに行く。闇属性の敵は初めてだから、<光魔法>を<上級光魔法>に持っていけたら良いな。


「うーん、軽く<鑑定>したけどノンアクティブだね。どのくらいからアクティブな敵が出てくるのかな」

「街から遠い場所には普通に居るらしいぞ、アクティブ。突然頭上から鳥に襲われたとかよくあるらしい」

「それは怖いね」

「<敵感知>によるとこいつらはペア行動が多いな。レベルは10~20の間」

 あ、敵もパーティー組んでるのか。まあ2匹ならいけるかなあ、3匹セットのウォータースパイダーもなんとかなったし。えーと、どこかにレベル10のペアがいたら……あ、あそこがどっちもレベル10だ。

「イオくん、あのペアで」

「OK」

 さて、それではレッツ検証!


「【斬撃】!」

 イオくんの初撃は、相手が複数の場合は【斬撃】が多い。なぜなら【斬撃】は前方範囲攻撃だから複数の敵のヘイトを取るのに便利なんだって。

 ポイズンシープは黒くて大型犬くらいの大きさがある、デフォルメされた羊だ。邪悪な感じの目をしてるから可愛くはないんだけど、背中に小さな羽がついていてふわふわ浮いているフォルムだけは可愛い。

「【ライトウォール】! 【ディフェンシブ】! 【パワーレイズ】!」

 状態異常耐性UPの【ホーリーギフト】は使わないで、他に使える攻撃魔法以外は……。

「【カオスギフト】! 【バインド】!」

 これはデバフだから、普通に攻撃魔法を使うよりヘイトが低い。左右に居るポイズンシープの、左に【バインド】で30秒の行動停止、右に【カオスギフト】で状態異常付与……と思ったんだけど、闇属性同士だからか【カオスギフト】はレジストされてしまった。イオくんはその右のポイズンシープに狙いを定めて【打撃】を打ち込んでいる。


「ナツ、アロー撃つならやっとけ!」

「了解、【ライトアロー】!」

「【ロックオン】!」

 あ、HPの減りが結構大きい。ペアだから警戒は必要だけど、個々の防御力は低いみたいだね。

 ポイズンシープの攻撃は、基本は蹴りつけと体当たりだ。比較的直線だから対処しやすい。僕もウォール系魔法がやりやすくて助かる。

 そこに、時々前足に紫色のオーラみたいなのを乗せた蹴り攻撃がある。これが毒攻撃かな? イオくんの状態を確認すると、ちゃんと毒状態になっていた。効果時間は30秒、一定HPが段階的に減り続けるスリップダメージが発生中。よし、検証!

「行くよ! 【解毒】」

 毒が蒸発するように抜ける感じをイメージして、ユーグくんをイオくんに向ける。と、イオくんの体から煙が抜けるような演出があった。あれって、オーレンさんの解呪のときの演出に似てるな。<鑑定>して毒状態は……回復してる!


「イオくん、【解毒】使える!」

「マジか!」

 イオくんが軽く口笛を吹いた。僕も吹けるもんなら吹きたいよ口笛。なんでか音が出ないんだよなあ。ちなみに指笛も出来ない僕です。

「【突撃】! おら!」

 イオくんはHPが半分以下になった片方のポイズンシープにアーツを重ねて、更に近づいたところを蹴り飛ばすという悪人みたいなムーブをした。横から噛みつこうとしたもう一匹のポイズンシープは、オーレンさんのところで買った軽くて振り回しやすい盾でぶん殴っている。運動神経が良すぎると思う。

「【ファイアアロー】! 【ウィンドアロー】!」

 もう少しだと思ったのでアロー系魔法でトドメをさして、残りは1匹。

 お、ちょうど毒攻撃がきそう。


「【レジスト】! こっちも検証!」

「おう!」

 20秒以内に攻撃が来れば、状態異常は無効になるはず。闇のオーラっぽいのを乗せた攻撃は直後にイオくんに対して繰り出されて……OK、いまのは【レジスト】成功だ。こっちもやっぱり有用だね。

「20秒もあると使えるよなあ。【パラライズ】も時間伸ばして欲しいぜ」

 あ、たしかに。<盾術>の【パラライズ】は宣言後10秒以内に盾で敵の攻撃を受け止めることが発動条件だったよね。レジストは20秒あるから、より確実性がある。

 とはいえクールタイムがあるから、連発は出来ない。ポイズンシープみたいにペアで来る敵が時間差で毒攻撃してきたら流石に食らってしまう。

 そういう意味でも【解毒】が使えたのは正直めちゃくちゃ大きい気がする。

「【アクアウォール】! イオくんアローのクールタイムそろそろあけるよ!」

「俺もアーツ入れるから打っていいぞ」

「了解! じゃあ検証終了で、【ホーリーギフト】!」

 味方へのバフ回数も杖強化のために必要だから、とにかくこまめにかけていく。そしてあと4秒、3秒、2秒、1秒……。


「【ライトアロー】!」

「【プラスインパクト】!」

 大幅に敵のHPを削る弱点属性攻撃に、イオくんの火力アーツも続けて繰り出されて、一気にHPの半分以上を失ったポイズンシープが気絶状態に陥った。

 この気絶状態っていうのは、大ダメージを与えた時に稀に起こる現象だ。5秒位敵がフラフラして何も攻撃してこなくなるし、この気絶状態の間の攻撃はヘイトをカウントされないので、ここで畳み掛けるのがセオリーというもの。

「【ウォーターアロー】! 【サンドアロー】!」

「【打撃】! 【破撃】!」

 怒涛のアーツラッシュをお見舞いして、ポイズンシープ討伐完了!


「お疲れー」

「おう、すげえじゃん、【解毒】使えたら大分でかいぞ。バランス崩壊じゃねえの」

「正直僕もびっくりしてる!」

 一応、<上級土魔法>の【リフレッシュ】の方は全ての状態異常を確率で治してくれるから、<原初の呪文>では治すのが難しそうなものはそっちを使わないとだけど。使用MPも少なくて済むし、今後は<原初の呪文>で回復できそうな状態異常は極力そっちを使いたい。

「うーん、でも麻痺とか氷結とか火傷とかは、どうやって解除すれば良いのか思いつかないなあ。睡眠なら【起床】とか【覚醒】でいけるか」

「混乱は? 【冷静】でいけないか?」

「あ、それできそう。他は……暗闇は【暗視】で」

「結構使える場面広そうだな。あ、【解毒】できるなら【耐毒】とか【抗毒】とかいけないか?」

「なるほどイオくん天才か? やってみよう!」


 それも使えたらかなり便利。

 検証継続!

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[気になる点] よく考えたら二文字って日本語だからこそだけど英語とかだとどうなるんだ?一単語とか?もしくはおまくにゲー?
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